2017/08/04 レポート

【ウルトラファインバブル】オランダ最先端農業研修-最終回-

投稿者:カクイチ

【研修目的】

決して広い国ではないオランダが世界第2位の農産物輸出国です。ハウス温室栽培の分野で世界最先端の農業を生で見て日本との違いを感じ、この経験を今後の私たちの使命でもある「日本を農業で元気にする」に活かしたいという想いからこの研修を企画・実行に至っています。
今回でオランダ研修編は最終回です!

研修期間:2017年5月8日(月)~5月14日(日)
カクイチ参加人数:6名

もうだいぶ日にちが経ってしまいました。。。

最終回は

<オランダ研修施設編>

と題しまして、耕作するための施設、システム、環境づくりなどにフォーカスしてご紹介します!

 

【5日目】

デモクウェークライ(DEMOKWEKERIJ WESTLAND)

ワーニンゲン大学とも共同研究を行っている産学一体のセンター。

1900年に設立。1979年から日本でいう農林水産省直属の機関。

オランダの温室栽培の中心的な役割を担っている施設。6社から始まり、現在、30社のブースが常時見学可能。また、41ヶ所(100㎡)の研究機関。60名が在籍。

協賛企業の一覧

一年中見本市が出来るような場所で企業からの要請で研究・調査もしています。

1)デモンストレーション 2)リサーチ 3)ノウリッジの共有を目的とした、産官学が一体となって事業を行う農業施設展示場のような場所です。

来年3月には65社が参加する、《DEMO》・《LABO》・《学校》が一体化された施設が新たにオープン予定とのこと。

《DEMO》

パプリカのロックウール栽培の展示スペース。

デモの内容を真剣に聞くT氏。(笑) 左の白い高設ベットは下の支えで固定されているタイプ。右のオレンジはパプリカなどを栽培するための上からつるすタイプ。

 

《LABO》

こちらの写真は二酸化炭素濃度とトマトの育成の関係性を研究中。

こちらの写真は他企業から依頼されて実地している研究。なんの研究かは企業秘密とのこと。

ほかにもキュウリにカビを生えさせて、病気との関連を研究するなどあちこちで研究風景が見学できました。

 

《学校》

来年3月開設予定の施設農業専門学校。

国際花卉センターも併設予定で世界50カ国の企業から出資されています。因みに日本企業は今のところないそう。

おしゃれなカフェテリア

内装のモデル。緑が沢山あって近代的♪

今回案内してくれた方がちょうど水耕栽培に関する研究中とのことで私たちのウルトラファインバブルに関する話をしたところ、まだこちらではウルトラファインバブルは検証はできていない分野とのこと。

やっぱりウルトラファインバブルは日本が一歩先を進んでいる!?

全体の雑感は産官学が合同で行う常設展示場のような場所でオランダにとっていかに農業が国を支える一大産業かがわかる施設でした。

カクイチでも、この施設を参考に、プラス”コミュニケーション”、”コミュニティー”という軸を盛り込んでいきたいですね。

 

プリヴァ社(PRIVA社)

施設園芸施設内の空調システム開発、制御分野において世界のリーディングカンパニー。同社のマキシマイザーはモニター農家でもよく話に出てくることがあります。

わざわざ私達の訪問にあわせて日本の国旗を揚げてくれました!遠くにオランダと日本の国旗が並んでいるのがそれです♪ 嬉しいですね~!

プリバ社の水循環システム概要

プリヴァ社のシステムを使用した場合、10%の成長促進効果、50%の節水効果が期待できるとのこと。

この他にも見習うべき内容が沢山ありました。例えば売上高20% 7000万ユーロをR&D(研究開発費用)に投資。研究開発部門の技術スタッフはなんと全体社員の3分の1。大きくない会社が世界的に特定の分野で活躍するための重要な秘訣だと感じました。これはカクイチも是非見習わなければ、、、、。

 

もともとは温室用暖房器具の販売をしていたプリバ社。

オシャレな施設内装

時代に応じた変化が感じられます。

 

 

コパート社(KOPPERT社)

生物的防除(天敵)、微生物、マルハナバチ(交配用)、などを取り扱い、天敵昆虫の生産で世界トップ!

それこそ「”小さいこと”をやって”大きくなってきた”」と担当者のBram氏。

害虫を食べる「良虫」を発見し、繁殖させそれを世界に販売展開している企業。まさに無農薬栽培には必要不可欠の存在で、今オランダの施設栽培されているトマト、きゅうり、パプリカ農園の80%以上に普及している。日本でも最近よく話を聞くようになってきました。

生物的防除(天敵)リスト ダニを食べるダニなど害虫に合わせて天敵を選択。

昆虫以外にも微生物(生物的防除)も取り扱っていました。

こちらはマルハナバチ。オランダでは一切のホルモン剤が使用禁止のため、果菜類の受粉は自然受粉かマルハナバチによる受粉です。

うわぁ~。うじゃうじゃブンブン飛んでます。

マルハナバチは6~8週間で回収、交換され、日本でも広く使われています。

同社では売り上げは毎年10~13%アップし続けていて、年商1.85億ユーロ。このうちの10%は研究開発費に投資されている。

”日本を農業で元気にする”を掲げている私達としては、問題解決を体現してきた会社として大いに参考になるお話でした。

<オランダ研修 総まとめ>

「農業がオランダの国を支えているというプライドを持って農業を行っている。」

「子供達にも農業に是非携わってほしい」

様々なものがシステム化された中で一番印象にのこっているのが各農家さんの、農業に対するパッションとポジティブなマインド。

 

そして、オランダ滞在実質4日間で13の施設を見学しましたが、全ての施設で徹底した生産性の向上を追求し続けている姿が目に焼きついています。

施設栽培のシステム化の全ては収量を上げることに集約されているようで、エネルギーや水も管理することが当たり前。

「システム化され水を徹底的に管理する施設」「エネルギーに対する考え方、使い方」「バイオ農家で聞いた循環型の農業」「生物的防除」。

しかし、こんなに学ぶことの多かったこのオランダ研修ですが、「農業用水の開発」という点でみれば手法・方向性に関してオランダに答えはないように感じました。

一つに「水のコンサルタント」はオランダの大規模ハウスでは有効かもしれませんが日本の中小規模ハウスでは経費負担が多く、採用する事は難しい。

専門知識をもってハウスや空調・水管理のシステムなどのコントロール、それを日本流にアレンジすることが最大の課題だと感じました。

 

そんなこんなで身も心もおなかいっぱい状態で日本へ帰国。

私達もオランダに負けないよう引き続き研究・開発に励みます!!