土の重要性を知る。作付け前に土について考えよう

土の重要性を知る。作付け前に土について考えよう

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高品質の農作物を育てようと思った時、何が一番重要だと思いますか?
確かに味がいいと定評のある品種や抵抗性があり実が多くなる品種を選んで育てることも重要なのですが、農業の基本は”土”にあります。農作物の生育に適した土を使わなければ、せっかくの高品種の種子もうまく育てることができません。

土づくりは、ルーチンワークとして取り組み慣れている人もいるかもしれません。しかし農作物に最適な土の条件などを知っておけば、連作が続き農作物が育ちづらくなった土を改良するのも難しくないでしょう。今一度、土について考え、その重要性を学びましょう。

農作物に適した土の条件とは何か

農作物に適した土の条件は保水性、排水性がともによく、有機物を多く含んでいることが挙げられます。土の色や土の状態は様々であり、粘土質の高い土もあれば、砂のようにサラサラとした土もありますが、中間体の土である「壌土」が野菜づくりには適しています。
また野菜であれば窒素・リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムと硫黄や鉄、亜鉛や銅などの微量要素が必要になってきます。これらの養分がバランス良く含まれていることも重要であり、土の状態によっては足りない部分を補うものとして「肥料」が用いられるのです。

しかしこの肥料も化成肥料や配合肥料ばかり施してしまうと、野菜の収穫が短期間で済むメリットはありますが、土の状態が徐々に悪化していき、収穫量も品質も落ちてしまうという難点があります。これを避けるためには有機物を混ぜ込むことも重要です。有機物を加えると、土壌生物達が有機物を分解し、その過程で生成された物質により団粒化を進めることができます。ネバネバとした物質が多く、それによって細かい土の粒が集まり土の中にすき間を作り出してくれます。すき間が増えれば、先に紹介したように良い土の条件の1つである「排水性」や通気性の良さに結びつきます。
土にまつわる様々な要因が合わさって、良い土をつくりだしていることが分かります。

土をさわり、確かめる方法

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自分の農地が良い土かどうかを確かめるには、実際に土をさわり観察する必要があります。まずは土の感触や色味を見て、良い土の状態かどうかを判断しましょう。
まず土の粒は粘土のような細かい粒もあれば、れき(小石)のような大きな粒もあります。
そのためこれらの割合が良い土かどうかを判断する材料となります。割合とは言いますが、土を触ることで把握することはできるので、次の5つの土の状態のうち、自分の農地がどの状態を示しているか確認してみましょう。

「埴土(しょくど)」

砂のようなサラサラとした感じはなく、ぬるぬるとした粘土の感じが強い状態。土を少量の水でこねたとき、こよりのように細長くなるのが特徴。

「埴壌土(しょくじょうど)」

大部分が粘土であり、20%~30%ほど砂を感じる状態。少量の水でこねたとき、マッチ棒くらいの太さにできるのが特徴。

「壌土(じょうど)」

砂と粘土の割合が半々のもの。こねると鉛筆くらいの太さにできる。最も農作物を育てるのに向いていると言われる状態。

「砂壌土(さじょうど)」

7~8割が砂の感じであり、粘土はわずかに感じる程度。水でこねても棒状にすることができない。

「砂土(さど)」

ほとんど砂の感じでサラサラとしている。水でこねても棒状にもならず、細かく散らばるだけ。

生育に最適なのは「壌土」ですが、その他の土の状態を好む作物も存在します。
粘土質の土の場合にはサトイモや枝豆が、砂質の土の場合にはスイカやカボチャ、サツマイモや落花生などがその状態の土でも生育します。ただ土壌改良を行ないたいという場合には、「壌土」のような割合となるよう土づくりに取り組まなければなりません。

粘土質の土の場合には、川砂やバーミキュライト(土壌改良用の土)などを投入し、粘土質の土にはない“すき間”を作り出します。5L/㎡ほどまき、その後堆肥を加え有機物を分解する土壌生物の力も借りて団粒化に努めましょう。

堆肥は毎年2~3kg/㎡加え、十分に耕します。また保水性には長けていますが、排水性の悪い粘土質のために、水がたまらないような排水路や畝(うね)を高くし水はけを良くするといった工夫も必要です。

砂質の土の場合には、黒土や赤土といった水田土壌などに用いられる土を約3kg/㎡、土をふかふかとする堆肥や腐葉土も約3kg/㎡同時に投入し、耕すことで土壌改良が見込まれます。作付けの際、堆肥の投入の後、必要用に応じて石灰資材を投入するかと思いますが、砂質の場合には肥料を保つ力が弱いため量を少なめにすることを心がけましょう。

土のpH、電気伝導度の調べ方

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pHや電気伝導度も、作付け前の土の状態を見るには必須項目と言えます。
土壌の適正なpHは6.5程度です。6.0を下回るとその土は酸性となります。また6.5~7.0以上になってしまうと、生育に必要な微量要素(ホウ素や鉄など)が土壌中で溶解しにくくなってしまうため、細かなpH調整が重要となります。

電気伝導度(EC・Electrical Conductivity)は土壌中の塩類濃度を調べるための目安です。この濃度が高ければ高いほど養分量が多いことを示します(表示単位はmS/cm または dS/m )。

いずれも先に紹介したように「土を触る」といった方法ではなく、専用に用意された測定器を用いる必要がありますが、測定方法は至ってシンプルなので測ること自体に手間はありません。pHであれば蒸留水で土を溶き、そこへ測定液を加えた時の色の変化を測定するものもあれば、土に差し込むだけで測れるものもあります。どのようなキットであってもホームセンターで入手可能なアイテムです。pH試験紙を使えばより安価に測定することが可能です。EC測定器は容器に蒸留水と土を入れてかき混ぜ、土が沈殿したところでその上澄み液に測定器をつけ測るだけです。

正確なpHを測る場合には測定器やキットが必要になりますが、ざっくりと農地が酸性かどうか見分けるには、雑草の観察でも把握することができます。強い酸性でも育つことのできる雑草がいくつかあるため、雑草の性質を知れば土の状態も把握することができます。例えばスベリヒユやスギナといった雑草は、強い酸性土壌でも生えるだけでなく乾燥ぎみの土でも生育が可能です。粘土質の土でも育つ雑草ならカヤツリグサやハコベが、かたく締まった土でも育つものならオオバコやゼニゴケが挙げられます。普段は厄介な存在である雑草ですが、生育環境を理解するにはうってつけの存在と言えます。

ちなみに酸性土壌を適正なpHに保つためには、石灰質肥料を混ぜる必要があります。目安として1㎡を10cm耕す場合には、消石灰を加えるなら80~100g、かき殻など有機石灰を混ぜるなら100~150gを施すと、酸度が1あがります。土の深さに比例した量が必要になります。注意点としては、雨が降ると石灰質が固まってしまうため、加えたら手早く耕すことです。
有機質肥料として鶏ふんを使い続けると、土壌がアルカリ性に傾くため、アルカリ性土壌を調整する場合には鹿沼土の細粒かピートモスを混ぜることで調整が可能です。

 

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