病害虫を倒すのも微生物の力?!有用微生物の増やし方

病害虫を倒すのも微生物の力?!有用微生物の増やし方

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病害をもたらす虫や微生物は、自然界には当たり前に存在しているため、存在自体を殲滅(せんめつ)することは現実的ではありません。
しかし病害虫を放置しても農作物のためにはならないのは確かです。

病害虫が発生してもすぐ農薬や防除剤を利用して排除するのではなく、

どのような株から発生してしまうのか?
いつ頃タネをまくと発生しやすいのか?
肥料の量は関係しているのか?

など観察することを推奨しています。
なぜなら農作物を健全に育てるためには、農作物自身が病害虫に対する高い抵抗性を身につけるべきだと考えているからです。そして観察を続ける中で、どこにでも存在する“微生物”こそ、病害虫を倒す秘密を握っているのではないかと考えました。

 

微生物はどこにでもいる

微生物はどこにでもいて、有用なものも有害なものもバランスよく存在しています。
農作物を育てる上で重要な役割を果たす“土”ですが、作物を育てることのできる良い土の条件には「土壌中の生物多様性」も挙げられます。

土壌生物には有機物を分解し、土の団粒化を促すものもいれば、施された肥料を植物が吸収しやすいように分解してくれるもの、空気中の窒素を植物の根に供給するものなど様々です。
病害をもたらすものや生育阻害を行なう菌もいますが、生態系のバランスさえ取れていれば、病害菌が異常増殖して被害が及ぶ、ということもないのです。

そして土壌だけでなく、茎や葉にも微生物は存在します。有用な微生物であれば、葉から分泌される栄養分を糧に生育し、病原菌の繁殖を抑えるものもいます。

 

葉にいる微生物の増やし方

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葉にいる微生物の働きは、抗菌物質を出し、病害菌を抑制することにあります。物質を作り出すだけでなく、病原菌自体に寄生し、病原菌を病気にして滅するものもいます。単純に葉の上で生存競争を繰り広げる微生物もいます。葉にいる有用微生物は発酵食品でもおなじみの酵母や乳酸菌、枯草菌(バチルス属など)が挙げられます。人にとっても有用な微生物ばかりなので、安心感がありますね。

葉にいる有用微生物を増やし、病原菌から防除したいのであれば米ぬかを利用することをオススメします。リン酸やマグネシウムなどのミネラル、ビタミンが豊富に含まれている米ぬかは、有用微生物にとって絶好のエサとなります。微生物の好む成分のため、生ゴミ堆肥をつくる場合にも米ぬかの利用は推奨されています。

増やす方法は難しくなく、散布するだけでいいのですが、この際葉や土が湿っていることを確認しましょう。乾いている環境下より湿っている環境下の方が、微生物にとって最適な環境と言えるため、曇りの日や夕方に撒くことがオススメです。葉にいる有用微生物は有機酸やアルカリ物質を分泌して米ぬかを分解吸収します。その際瞬時に葉の上が強酸性、強アルカリ性と変化するため、病原菌にとって好ましくない環境を用意することができるのです。

 

堆肥の投入も土壌微生物を増やす方法のひとつ

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保水性や排水性を良くするため、土をふかふかにしてくれる堆肥には、土壌微生物を増やす効果もあります。堆肥の原料は植物が主原料のものと家畜ふんが主原料のものがありますが、いずれも堆肥に含まれる有機物が微生物のエサとなります。堆肥自身にも微生物がついているため、微生物の多様性を促すことにもつながります。生態バランスが取れれば、病害菌のみが異常繁殖することも防げるため、病害は起こらないでしょう。

土壌微生物を増やすことのできる堆肥ですが、土づくりをする際は、土が適度に乾いている時に行ないましょう。畑がぬれている状態で耕すと、後々土がかたまってしまいます。だからといってカラカラに乾いている状態では土が粉々になってしまうため、“適度に”乾いている状態を見極める必要があります。

また作業は作付けの3週間前に行ないましょう。作付けまでに時間をおく理由ですが、土をふかふかにする堆肥を耕すと、土にすき間ができるのですが、その際一時的に土が乾いてしまいます。時間がたてばなじむので乾燥の心配もありませんが、時間をおいてじっくりなじませることを意識しましょう。

 

微生物を味方につけると何が起こるか

微生物を味方につけることで得られる利点は多々あります。
例えば土壌中であれば、微生物が多くなると“土が活きている”状態になります。微生物が豊富な土であれば、酸素も水も良く通し、pHも最適と言われる5.0~6.0を保つことができます。有機物を分解する能にも長けていますから、農作物が根から栄養分を吸収しやすくなるでしょう。微生物には吸収を補佐することもできれば、根に必要な栄養分を作り出すこともできます。

葉の上の微生物、特に米ぬかを用いて病害虫を防除する際、乳酸菌の繁殖により葉の上のpHが4.5以下の酸性となります。酸性の環境下では病原菌はほとんど生活することができません。乳酸菌の出す乳酸によって微生物が淘汰されるのです。また乳酸菌の出す有機酸によって、土に含まれるミネラルを植物が吸収しやすくなる効果もあります。

そして微生物による防除は「有用微生物に有効な成分を用意するだけで済む」ということも、農業従事者にとって利点と言えるでしょう。
微生物同士は常に生存競争を繰り広げています。私達はその中でも私達にとって有用な微生物が増えるように手助けをするだけで良いのですから、ある程度の世話をすれば、ある意味放っておくことができるのです。

ただし両方の微生物について理解がないと、誤った手助けにより病害虫を元気にさせてしまう場合もありますから、有用微生物と有害微生物の生育環境の違いは頭に入れておいた方がいいかもしれませんね。

 

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