有用な肥料を使うために。肥料表示の見方

有用な肥料を使うために。肥料表示の見方

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食の安心安全志向が高まる昨今、化学肥料を使用しない有機栽培の存在や、肥料も農薬も使わない自然農法で育てられた農作物が目に入る機会が多くなった気がします。

肥料を使わない、化学肥料は使わない栽培法も、その農作物のブランドに付加価値をつけることができると考えていますが、肥料の必要性を知った上で肥料を用いることも、美味しい農作物をつくる上では必要だと思うのです。

今回は有用な肥料を使うために、肥料に記載されている表示の見方について紹介していきます。肥料を使う意味を改めて見直し、農作物に適切な栄養分を与えられるように努めましょう。

今一度”肥料”の存在意義を考える

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植物に必要な養分を与えるために必要なものが「肥料」です。自然界であれば枯れ葉や落ち葉、動物のふんといった外部から取り入れる要素が残り、うまく生態循環が行なわれるため、必要な要素は自然と供給されていきます。しかし畑は人工的な環境です。育った作物は収穫物としてその場から回収されてしまいますし、生育のために雑草は取り除かれてしまいます。自然な循環が行なわれないことで、必要な要素をうまく得ることができないため、肥料で補うことになるのです。

肥料の表示を見てみよう

肥料の裏面を見てみましょう。商品名だけでどのような肥料か分からなかったとしても、原料の種類や保証成分量を見ることで、肥料自身の特徴を知ることができます。

まず「肥料の名称」は、肥料が販売される前、登録や申請のために使われた名称で、いわば正式名称となります。
「原料の種類」はこの肥料に何が含まれているのかを具体的に見ることができます。
食品表示と同様、割合の多い順に書き並べられているので、主原料が何なのかを把握することができます。その原料内にウシが利用されている場合、BSEの原因となる脳や脊髄が含まれていないことを示す記述が加えられます。

保証成分量の見方を分かりやすく

肥料の表示で最も注目すべきは「保証成分量」なのではないでしょうか。
肥料の成分表示は3つの数字で簡易的に表示されます。8-8-8や4-6-6と表示されるのですが、これは「窒素:リン酸:カリウム」の配合比率を表示したものです。この要素は植物にとっては必要不可欠な存在です。窒素はいわば葉を作る主成分であり、リン酸は実を、カリウムは根を作る成分です。

窒素成分が少なめの肥料であれば、イモ類や豆類に用いることが多いのですが、ぜひ「専用肥料」を見かけた場合には裏の「保証成分量」を見比べてみてください。恐らくその野菜の生育に必要な割合で配合されているはずです。肥料を用いる前には、育てる野菜が必要とする栄養分の条件も知っておかなければなりません。しかし必要な養分を理解できれば、肥料選びもスムーズに進むでしょう。ただし実際の含有量はあくまで“保証値”のため、示されている数値より多いことがあります。「肥料取締法に基づく表示」の場合には、「主要な成分の含有量等」と表示され、実際の含有量が記載されるので、確かな含有量を把握したい場合には、「肥料取締法に基づく表示」がなされている肥料を選びましょう。

化学肥料と有機肥料の使い分け

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肥料には化学的に無機質原料からつくられたものと、動物性・植物性の有機物の中で、窒素・リン酸・カリウムを含むものを原料としたものがあります。有機肥料の場合には、原料や製造工程によって規格が定められています。堆肥や米ぬかなどは規格が定められていないため、法律上では有機肥料ではありません。

「化学肥料がいい」「有機肥料がいい」という話は、様々な栽培法でつくられた農作物が消費者に浸透したことから、よく議題に挙げられるようになったと思うのですが、私個人としては使い分けることこそが安定した農作物の収穫には適切なのではないかと考えています。

例えば有機肥料の場合、肥料としての効果はゆっくり働きます。土壌に施すと、土壌中に棲む微生物によって分解される行程を挟むため、植物に吸収されるまでに時間がかかります。しかし肥料の成分含量が少ないこともあり、塩類集積などの問題が現れにくく、農産物の品質向上には非常に役立ちます。また土壌中の生物多様性に寄与するのも、有機肥料の特徴と言えるでしょう。
しかし化学肥料と比較するとどうしても価格が高くなりますし、供給量も限られます。効果が表れるのがゆっくりという点も、短所になる場合があります。そのためまず生産効率をあげることを目的とするのであれば、スムーズに植物が養分を吸収できる化学肥料の利用もオススメなのです。成分含量も、化学的工程を踏んでいるためムラなく含まれています。そのため肥料を必要とする土の状態を明確に把握していれば、非常に使いやすい肥料だと言えるでしょう。

役に立つオススメ有機質肥料

化学肥料と有機質肥料の使い分けを私はオススメしています。
化学肥料を使い、農作物が安定的に生産できるようになったら、化学肥料で少しバランスの崩れてしまった土の状態を整えるために、有機質肥料を使う・・・という流れも、農地環境を整えるだけでなく、しっかり生産量も保持するためには必要なのではないかと考えています。

最後に有機質肥料で野菜の生育にも役立つオススメ肥料をご紹介します。

「油かす」

ナタネや大豆から油をしぼった後に出るかすのことです。リン酸とカリウムの含有量は少ないのですが、窒素を多く含む特徴があります。有機質肥料の特徴として、効果が表れるのがゆっくりのため元肥に利用するのがオススメです。野菜を育てる際、油かすだけではリン酸とカリウムが少ないため、後述する骨粉と草木灰で足りない養分を補いながら育てるようにしましょう。難点があるとすれば、においが少々きついところが挙げられます。

「骨粉(こっぷん)」

ブタや鶏の骨を高温の蒸気圧で処理後、乾燥、粉砕させたものです。リン酸を多く含んでおり、「く溶性」という根や微生物が生成する有機酸に少しずつ溶けていくという性質があります。こちらも油かす同様元肥として利用します。動物の骨と聞くとBSE問題が浮かぶ人もいるかもしれませんが、やはりBSEの影響でウシを使った骨粉はほとんど出回っていません。

「草木灰(そうもくばい)」

その名の通り、草や木を燃やした時に生じる灰を指し、主成分はカリウムです。有機質肥料にしては珍しく即効性があるため追肥として利用することもできます。ただし肥料表示をよく確認するようにしましょう。成分量に差が生じやすい製品でもあります。

 

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