農業で役立つ認定制度4選

農業で役立つ認定制度4選

世の中には様々な資格があります。車の運転に必要な普通免許や、日商簿記検定のような会計関連のもの、野菜ソムリエやスマートフォンの実務検定などなど…。

運転免許のように、一定の行動を行うために持っていないとダメな資格もあれば、英検のように自分の能力を対外的に示す資格、趣味に近いも資格まで千差万別です。難易度も様々で、司法試験のように難しいものから在宅試験や講習で簡単に取れるものもあります。

農業の世界にも資格や認定制度が存在します。その農地で取れた作物の安全性を保証してくれたり、農法を証明してくれたりします。この記事では、農作物に付加価値を付けるための認定制度をご紹介します。

■取得しておくと取引の際に有利な認定制度4選

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有機JAS認証制度

農薬や化学肥料などの化学物質に頼らない自然な農法で作られた食品を認証する制度です。農作物以外に、畜産品や加工食品、飼料も認定の対象となっています。認定された食品には「有機JASマーク」を付けることができます。このマークがない食品に「有機」や「オーガニック」、または類似した名称を表示することは法律で禁止されています。認定へのハードルは高く、その食品が作られるまでの全ての工程がチェック対象となります。

種や苗の管理から始まり、肥料や病気・害虫の駆除方法、栽培から収穫、加工や出荷のあらゆる場面において、有機JAS規格で認められていない農薬・肥料が使われていたり、JAS認証外の食品が混入したりしないかを確認されます。この認証を得れば、そういった厳しい審査を乗り越えた証明になるので、大きな付加価値が得られます。

グローバルGAP

グローバルGAPは、日本における唯一の国際標準です。GAPとは、Good Agricultural Practiceの略称で「適正農業規範」などと訳されます。グローバルGAPの認証を受けることで、食の安全と持続可能な生産管理ができていることが世界に認められることになります。

ロンドン五輪で選手のために用意された食品は、このグローバルGAPの基準を満たしている必要がありました。2020年の東京五輪に向けても同様の基準が課せされるとされています。認定への道のりは厳しく、認定を得るための期間は1~2年、費用は250万以上かかります。その基準を維持していくための経費もかかるので、農家への金銭的負担は大きく、大規模農家でなければ認定を得るのは難しいかもしれません。しかし、認定された食品は世界基準を満たしていることになるので、全世界に安全性をPRできます。

JGAP

前述のグローバルGAPの日本版で、Japan Good Agricultural Practiceの略です。グローバルGAPよりも安価に、生産した食品の安全性を満たしていることを、日本の基準で認定してくれます。JGAPを得ていれば、グローバルGAPを取るためのプロセスも容易になるため、将来的にグローバルGAP認証を目指してJGAPに挑戦する農家の方もいます。
日本の基準とはいえ、JGAPを利用する外資系企業も増えてきており、JGAPの認定農場は海外にも存在しています。日本GAP協会はJGAPを国際的な認証へと格上げを計画しており、将来的にJGAPの国際的な価値が高まることが予想されています。認証を受けた場合、認定農場として証明書が発行されます。食品にはJGAP認証農場マークを表示することができ、食品の価値を高めてくれます。なお、GAPには他にも「都道府県GAP」や「JAグループGAP」などがあります。

エコファーマー制度

エコファーマー制度は、環境に優しい「環境保全型農業」に取り組む農家を「エコファーマー」として認定する制度です。農薬や化学肥料の使用を抑えた農家が対象となります。都道府県単位で認定を行っており、2016年度の認定件数は15万4669件です。エコファーマーになるメリットは、国や自治体からの支援が増えることです。農業に関する助成金をもらえたり、各種の支援制度を利用したりすることができます。

「エコファーマーマーク」を無料で農作物や名刺、チラシなどに使うこともでき、商品や生産者の宣伝やアピールにもなります。上記3種の認定制度よりも取得までのハードルが低く、助成金という直接的な経済メリットもあるので、取得したときのコストパフォーマンスは高いと言えます。

 

 

■まとめ

日本は多くの農業生産物を輸入に頼っており、同時に食の安全に関する意識は世界最高水準の国です。安全な食品を求める気運は世界的に高まっており、日本にはそういった市場に安全な食品を提供できるポテンシャルがあります。世界と戦える農業を目指した場合に、様々な認定を受けていれば、それだけ食品の付加価値や信頼性が高くなります。

国際競争力のある農作物を作れば、食品輸入国から輸出国へと生まれ変わるになることができるかもしれません。今回紹介した認定制度は、いずれも食品の安全性を認めてくれるものか、安全な食品の生産を手助けしてくれるものです。

ハードルが高いものもありますが、興味がある場合は取得を目指してがんばってください。

 

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