「ノウフクJAS」が始動。障害者雇用と農業の担い手確保で注目を集める農福連携

農福連携とは、

障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組

引用元:農福連携の推進:農林水産省

です。

障害者等の就労や生きがいづくりになるだけでなく、現代の日本の農業が抱えている課題である高齢化や後継者不足を解決することが期待されています。

 

 

ノウフクJASについて

「ノウフクJAS」が始動。障害者雇用と農業の担い手確保で注目を集める農福連携|画像1

 

「ノウフクJAS」は、そんな農福連携を広めるきっかけとなるものです。

まず「JAS」とは、国が制定した「食品・農林水産品やこれらの取扱い等の方法などについての規格」のことです。今までは、JASの対象は農林水産物の品質に限られていましたが、2018年4月からは生産方法、取り扱い方法も規格の対象となりました。

ノウフクJASは、そんな日本農林規格(JAS)認証のひとつであり、障害者が生産に関わった食品を認証するものです。障害者が生産に関わった農林水産物とそれらを原材料とした加工食品を認証します。

ノウフクJASの認証マークを付けることで、農福連携を消費者にアピールすることができます。

 

 

農福連携で得られる農業者側のメリット

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ノウフクJASは始動したばかりでまだまだ新しいものですが、この認証が農福連携を広めるきっかけになるのでは、と農林水産省は考えています。推進される農福連携ですが、農業者側にはさまざまなメリットがあります。

労働力不足を解消

日本の農業は、人口減少や高齢化、それに伴って後継者不足や耕作放棄地の増加など、さまざまな問題を抱えています。特に農業人口の減少は顕著なものです。1997年には414万人いた農業人口が2018年には182万人、半分以下に減少しているという統計が発表されています。

そんな中、農福連携が広まれば、働き手不足を解消することができます。

もちろん「どのように障害者と接したらいいかわからない」「どう指導したらいいかわからない」などの課題が生じることでしょう。しかし農福連携は、ただ闇雲に障害者を労働力として受け入れるわけではありません。障害者を支援する機関と協力しながら、時間をかけて進めるものです。

社会貢献につながる

農福連携に取り組むことで、障害者の就業機会を提供することにつながります。また障害者を受け入れることで人が流入し、人と人との交流が盛んになるきっかけになれば、地域活性化につながる可能性も十分にあります。

 

 

農福連携を行う場合にはどのようなことをすればいいのか

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農業者側から農福連携に取り組む場合は、まず障害者福祉施設や福祉関連団体などと連携し、順序立てて、福祉事業、障害者と関係を築いていくことが重要です。農福“連携”ですから、農業と福祉が互いを理解することが大切です。

まずは障害者の農業体験や実習などの受け入れから始めてみましょう。農業体験を通じて障害者と交流したり、特別支援学校の実習を受け入れてみたり、障害者と接するところから始めます。

次に障害者福祉施設や福祉関連団体などと請負契約を結ぶ方法です。いきなり雇用するのではなく、施設や団体と契約を結び、障害者に農作業をしてもらいます。繁忙期などの決まった時期ごとに請負契約を結べば、農業者側はその時期に必要な労働力を確保でき、障害者には仕事がある時に就労機会を与えることができます。

最後に「雇用」です。彼ら一人一人の障害特性や個性に合わせた作業工程を用意することが重要です。単純作業に分割したり、障害者が取り組みやすいよう作業を見直したことで、作業の効率化が進み、経営改善につながった事例もあります。

農福連携の相談窓口について

障害者雇用に関する相談窓口には以下が挙げられます。

  • ハローワーク(全国約550箇所)
    →障害者向けの職業相談や職業紹介を実施
  • 障害者就業・生活支援センター(平成20年度の時点では全国205箇所)
    →障害者に対する職業準備訓練等、就職に向けた準備支援
    →関係機関との連絡調整等、就業面・生活面での支援
  • 地域障害者職業センター(都道府県ごと)
    →事業者向けに、指導方法や定着に係る相談を実施
  • 高齢・障害者雇用支援センター(都道府県ごと)
    →各種助成金に係る相談
  • 農林水産省経営局就農・女性課女性・高齢者活動推進室及び農政局経営・事業支援部経営支援課(地方ブロックごと)

が挙げられます。

障害者を雇用する際には支援制度や助成制度を活用することができますが、もちろん条件があります。また市町村等が独自で支援策を用意している場合もあるため、まずは上記の相談窓口で農福連携について相談するのがベターです。

  • 職場適応訓練
    →実習生や訓練生を受け入れることへの支援制度です。都道府県知事が事業主に実施訓練を委託します。訓練期間(6ヶ月、重度の場合は1年以内)終了後も引き続き雇用してもらう制度です。訓練期間中の委託費は1人2万4千円/月(重度の場合は2万5千円/月)。
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業
    →金銭的な支援ではなく、ジョブコーチが事業者と障害者の両方に支援を行う制度です。ジョブコーチは障害者が職場に適応できるよう支援を行います。障害者とどのようにコミュニケーションを図るべきか、作業を指導すべきか悩んでいる人に取り入れてほしい制度です。標準的な支援期間は2〜4ヶ月です。
  • 精神障害者ステップアップ雇用奨励金
    →精神障害者の常用雇用をめざす制度です、一定期間(最長で1年間)かけて就業時間を伸ばしていき、雇用を目指します。事業主への支給額は1人2万5千円/月です。

 

参考文献

  1. 農福連携の推進:農林水産省
  2. 農福JASが始動 4事業者認証 連携 商品でPR 日本農業新聞
  3. 農業と福祉の融合「農福連携」が注目される理由とは? SMART AGRI
  4. 福祉分野に農作業を~支援制度などのご案内~ 農林水産省 厚生労働省
  5. 農業分野における障害者就労マニュアル 農林水産省経営局 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
 

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