木酢液を使用する頻度はどれくらい?木酢液を効果的に使用するタイミングとは

木酢液を使用する頻度はどれくらい?木酢液を効果的に使用するタイミングとは

 

木酢液とは、木炭をつくる際に出た煙を冷やして液体にしたものです。木酢液は酢酸やアルコールなど、さまざまな成分を含んでおり、その中には殺菌作用や土壌改良に役立つ作用があると言われています。どの成分がどのように作用するのか、具体的な働きについては解明されていない面も多い木酢液ですが、有機農業の分野で注目されている有用なアイテムです。

そこで本記事では、注目されている木酢液の効果や効果的な使用頻度について紹介します。

 

 

木酢液の効果

木酢液を使用する頻度はどれくらい?木酢液を効果的に使用するタイミングとは|画像1

 

木酢液の効果について説明する前に、木酢液の現状についてあらかじめ説明させてください。

木酢液はかつて殺菌用「農薬」として登録されていました。しかし現在では登録が失効している「失効農薬」という扱いです。そのため、農薬取締法により、農薬の効果をうたって販売することは禁止されています。木酢液は医薬品でも農薬でもありません。薬効も認められていません。

そのため、以下で紹介する効果も「認められた」効果ではありません。しかし実際に公的試験期間や農業で利用され、効果が発揮された事例として紹介していきます。

 

土壌改良への効果

  • 土壌消毒
  • 土壌中の有用微生物の増殖促進

などの効果が発揮されたという報告があります。

木酢液は「酸性」のため、土壌消毒に役立ちます。作物を植える前の土壌に20〜30倍に希釈した高濃度の木酢液を撒くことで、殺菌作用があります。木酢液は土壌中で7〜10日ほどで分解されるため、その後は苗を植えることができます。

また200〜400倍に希釈された溶液を利用すると、有用微生物が増殖し、病原菌が減少すると言われています。有機質肥料(米ぬかや腐葉土等)を施肥後、木酢液を散布すると、より効果が高まります。

 

植物への効果

  • 植物の生長促進
  • 作物がミネラルを吸収しやすくする

などの効果が発揮されたという報告があります。

具体的な機構は解明されていないものの、低濃度に希釈した溶液を散布すると、植物の芽や根の生長が促進されると言われています。

 

その他有効成分への効果

木酢液を使用することで相乗効果を発揮するものがあります。

例えば発芽促進等に効果があると言われているニンニクや防虫作用のあるトウガラシに含まれる有効成分を抽出するのに用いられ、相乗効果を発揮します。

また農薬に400〜1000倍希釈になるようにして木酢液を混ぜると、その農薬を葉面散布した際、葉の農薬吸収力が高まると言われています。農薬の多くが酸性溶液に溶けやすいこと、木酢液に含まれる油成分に展着剤(農薬の効果を高めるために、農薬を付着させやすくするもの)としての効果があるのでは、と考えられています。

 

病気への効果

イネ苗に発生する「いもち病」を抑制する効果があると言われています。

「いもち病」の発生を抑える手順は以下の通りです。

  1. イネの種子を50倍に希釈した溶液で24時間浸漬
  2. 育苗期間中、200倍希釈液を潅水がわりにイネに与える

 

 

木酢液を使用する頻度

木酢液を使用する頻度はどれくらい?木酢液を効果的に使用するタイミングとは|画像2

 

土壌改良で使用する場合

植え付けの10~14日前に施しましょう。

50〜100倍に希釈した溶液を土壌に施し、よく耕します。木酢液は7〜10日ほどで分解されるので、その後定植しましょう。

 

植物の生長促進に使用する場合

10〜15日おきに散布しましょう。

葉物野菜の場合には収穫2週間前に1回散布することもおすすめされています。

散布する際には500〜1000倍に薄めた溶液を利用しましょう。200〜300倍だと、葉に斑点ができてしまうなど、薬害が発生する可能性も否めません。効果を感じられなくても、急に濃度をあげることはしないよう注意してください。

 

防虫や殺菌に使用する場合

1ヶ月に2~3回散布しましょう。

定植前の土壌に散布する場合には、高濃度に希釈した溶液を散布するのもOKですが、作物にダメージを与えないためには、希釈濃度500〜1000倍からスタートするのがおすすめです。

 

 

木酢液を使用する際の注意点

木酢液を使用する頻度はどれくらい?木酢液を効果的に使用するタイミングとは|画像3

 

濃度を確認する

先でも述べましたが、高濃度の溶液をまくことで植物が傷んでしまう可能性があります。そのため市販品を使用する場合には、推奨されている濃度に従って使用するようにしてください。

また木酢液には毒性の強い「ホルムアルデヒド」が含まれています。

木竹酢液認証協議会で認証された市販品の木酢液・竹酢液30品を分析した結果、平均が275ppm(0.0275%)で、最高値が602ppm(0.0602%)でした。

引用元:木酢液・竹酢液Q&A 日本木酢液協会

とはいえ、正しく希釈して使用する分には人体に影響はありません。110ppmのホルムアルデヒドを含む市販品を200倍に希釈して使用し、200cc/1㎡に散布したとしても、空気中にホルムアルデヒドは検知されないと言います。また食用キノコや魚の中にもホルムアルデヒドが100〜200ppm含まれるものがありますが、食品衛生調査会はこの濃度を「人の健康を害う恐れはない。」としています。

ただし、「ホルムアルデヒドが含まれている」という事実を頭に入れておくことは重要です。使用する際には、推奨されている濃度で使用することを心がけましょう。

 

皮膚に使用しない

木酢液には、民間療法として「いぼ治療」「水虫治療」に使える話がありますが、園芸用の木酢液に関しては「あくまで園芸用」だと考え、皮膚に使用しないようにしてください。

 

アルカリ性と混ぜない

木酢液は、酸性です。アルカリ性のものと混ぜて使用しないよう注意してください。アルカリ性と酸性を混ぜると中和反応(酸と塩基が反応し、塩と水が生じる反応)が起きます。中和が起こると、酸・塩基ともにその性質が打ち消されてしまいます。

 

参考文献

  1. 木酢液・竹酢液 林野庁
  2. 木酢液・竹酢液Q&A 日本木酢液協会
  3. 木酢液
  4. 木酢液・竹酢液の話 園芸マメ知識
  5. 植物の活力アップ!木酢液の効果と使い方|蜂などの虫除けやイボや水虫にも効く!?
  6. 意外な効果も!?木酢液で植物を守ろう。
  7. 中和とは?定義から塩、中和の化学反応式の作り方まで徹底解説

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