注目集まる業務用野菜生産【後編】業務用野菜生産の助成金について

注目集まる業務用野菜生産【後編】業務用野菜生産の助成金について

業務用野菜を生産するメリットについてご紹介した前編はこちら

 

 

業務用野菜関連の助成金

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業務用野菜の支援事業として「加工・業務用野菜生産基盤強化支援事業」があります。「輸入>国産」となっている業務用野菜のシェア奪還が背景にあり、補助金が交付される産地には条件がありますが、対象契約に従い、業務用野菜を安定供給する産地を対象に、取組面積に応じた支援を受けることができます。

独立行政法人農畜産業振興機構の公募事業で、審査により「事業実施主体」が決定します。

事業実施主体
農協連合会(要件あり)、農協、農事組合法人、農地所有適格法人、特定農業団体、農業者の組織する団体

引用元:加工・業務用野菜生産基盤強化事業について(平成30~31年度採択) 平成31年度1月 農林水産省

令和元年度の「事業概要」は以下の通りです。

<対象品目>
えだまめ
かぼちゃ
キャベツ
スイートコーン
たまねぎ
にんじん
ねぎ
ほうれんそう
レタス

<取組期間>
生産・流通の構造改革の取組、作柄安定のための取組は3年間。
→目標年度(以下2つの成果目標(①-1または①-2のいずれかの一つと②)を設定)は5年間。加工・業務用の事業者との間で締結する契約も5年間となっています。

①-1 単収の向上(現状、新規生産の場合には全国か都道府県の現状に比べ、 +10%以上)
①-2 生産または流通コストの削減(現状、新規生産の場合には全国か都道府県の現状に比べ、 -10%以上
② 契約取引を行う栽培面積の増加 目標年度までに新たに契約取引を行う栽培面積の増加

<助成単価等>
事業対象面積当たり、15万円/10a

参考:加工・業務用野菜生産基盤強化事業について(平成30~31年度採択) 平成31年度1月 農林水産省

 

手続きの流れ

農林水産省の『加工・業務用野菜生産基盤強化事業について』という資料に詳細が書かれています。詳細を知りたい方はこの資料を印刷し、大まかな流れが書かれた資料と詳細が書かれた資料を並べて確認することをおすすめします

ここでは簡潔にまとめます。

<用意するもの>
まずは事業実施計画を用意します。

事業実施計画の内容は

  • 成果目標(5年後)及び現状

3年目まで計画(↓)

  • 構造改革の取組※1
  • 作柄安定の取組※2

5年目まで計画(↓)

  • 面積
  • 契約内容(数量、面積等)

※1「構造改革の取組」は

  • 加工・業務用ほ場の設定
  • 実需者との一定期間の事前契約の締結(5年間)
  • 実需者ニーズに即した生産・出荷
  • 生産コストの低減
  • 流通コストの低減
  • トレ-サビリティシステム等の導入

の取り組み全てを、事業対象面積全域で3年間実施しなければなりません

※2「作柄安定の取組」は

  • 土層改良・排水対策
  • 病害虫防除・連作障害回避対策
  • 地温安定・保水・風害対策
  • 土壌改良資材施用

の取り組みを、事業対象面積全域で3年間計画的に実施する必要があります。

ただし、こちらは「構造改革の取組」のように「全てを3年間実施する」のではなく、

  • 1年目は上記取り組みから3つ以上
  • 2年目は2つ以上
  • 3年目は1つ以上

といった形で実施します

各取り組みの具体的な事例は、加工・業務用野菜生産基盤強化事業の資料3〜4ページに記載されています

また対象品目の出荷前までに加工・業務用の事業者との間で契約を締結する必要があり、これにも条件があります。

契約書等により、事前(出荷前まで)に契約を締結
契約期間、契約数量(面積契約の場合は当該面積)等を記載したもの
契約相手が中間事業者の場合、実需者を含めた3者契約
契約数量を大幅に増加(新規の場合を含む)する場合、輸入品の代替等であり、既存国内産地からの置換えではないこと。

引用元:2ページ 加工・業務用野菜生産基盤強化事業

それぞれの条件に沿ったものを準備した上で、

  • 交付申請
  • 事業実施計画
  • 契約内容確認書
  • その他、計画等に変更が生じた場合には変更したもの

を提出します。

 

提出の流れ

詳細は加工・業務用野菜生産基盤強化事業の資料7〜8ページに書かれています。資料に“※都道府県ごとに事業実施計画(応募資料)の提出先等が異なりますので、機構HP等をよくご確認下さい。”とあるように、提出する際は提出先に注意しましょう。

なお、事業実施主体が

  • 事業実施計画の応募
  • 交付手続き
  • 申請が通った後の、事業実施状況報告手続き

を行う場合には、都道府県法人に提出するだけです(先で紹介したように、提出先に注意)。

都道府県法人が内容確認後、(独)農畜産業振興機構に提出し、

  • 事業実施計画の場合は「採択通知」が
  • 交付手続きの場合は「承認等」が
  • 申請が通った後の、事業実施状況報告手続きの場合は「改善指導」が

(独)農畜産業振興機構から事業実施主体に送られます。

事業実施主体が直接(独)農畜産業振興機構に提出する必要はありませんが、都道府県法人と都道府県、(独)農畜産業振興機構でのやりとりが手続きごとに少々異なるので、各「事業スキーム(計画、体系、枠組みといった意味)」が気になる方は加工・業務用野菜生産基盤強化事業の資料8ページをご確認ください

 

令和2年度の情報

(独)農畜産業振興機構のHPで「加工・業務用野菜生産基盤強化事業」の最新情報を確認することができます。

(独)農畜産業振興機構のHPへいき、「機構の業務・統計情報」の「野菜」と書かれた部分をクリックします。

次に「業務に関する情報」内にある「野菜農業振興事業」をクリックします。

「加工・業務用野菜生産基盤強化事業」は下の方にあります。

「加工・業務用野菜生産基盤強化事業」をクリックすると、

このページ(↑)にたどり着きます。ここに“情報が更新され次第、当ページにてご案内いたします。”と記載があります。

令和2年度の予算案は出ているので、業務用野菜の支援に興味がある場合には、公募受付情報をこまめにチェックしておくことをおすすめします(2020年3月17日の時点では令和2年度の公募受付情報なし)。

なおこのページでは、過去の公募結果も確認できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

参考文献

  1. 加工・業務用野菜をめぐる状況 令和元年12月 農林水産省
  2. [ゆらぐ基 広がる危機](2) 増える加工・業務野菜 需要取りこぼす国産 日本農業新聞
  3. 『現代農業5月号』, 2018年5月1日, 農山漁村文化協会
  4. 加工・業務用野菜生産基盤強化事業について(平成30~31年度採択) 平成31年度1月 農林水産省
  5. 21 持続的生産強化対策事業 – 農林水産省

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