土づくりにおいて、肥料が野菜にもたらす影響とは

土づくりにおいて、肥料が野菜にもたらす影響とは

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農業において、土づくりはとても重要です。

土づくりが野菜にもたらす影響は大きいのです。野菜がしっかりと根を伸ばし、生育に必要な養分や水分を吸収するためには、土の状態を把握し、野菜の栽培に適している状態に整える必要があります。

野菜栽培に適切とされる土の条件は、土がふかふかとしていて適度な隙間があること、肥料の吸収力がいいこと、多様な生物が生育していることが挙げられます。土をつくる際、一番始めに投入される「堆肥」によってこの条件はほぼ満たされるのですが、必要な栄養分を補う「肥料」は野菜の栽培において、どのような影響をもたらすのでしょうか。

消費者の食への安全・安心志向が高まっている昨今、化学肥料を利用するメリット・デメリットや化学肥料を利用しない有機栽培・自然栽培といった栽培方法がもたらす影響について調べてみました。

 

化学肥料を利用するメリット

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化学肥料が野菜にもたらす影響は、野菜が生育する上で足りていない栄養素を的確に補充することができるという点なのではないでしょうか。

化学肥料は、化学的な製造工程を介して“無機物”からつくられた肥料を指します。材料である“無機物”は鉱物や岩塩、空気中に含まれる窒素ガスなど、自然界に存在しているものからつくられています。

植物を育てる上で欠かせないと言われている3大要素「窒素」「リン酸」「カリウム」は野菜が生育する上でとても重要な栄養素なのですが、化学肥料には、これら3要素のうち1つだけを含む「単肥」や2種類以上を含む「複合肥料」などさまざまな種類があります。

その特徴として“成分量にむらがない”ことが挙げられます。そのため、肥料の量と肥料が土へもたらす効果の関係性が分かりやすいというメリットがあります。また化学肥料は水に溶けやすいため、野菜の根に栄養分が比較的早く届きます。化学肥料の利便性により、誰でも簡単に利用することができるという点もメリットと言えるでしょう。

単肥を使えば、土に足りていない栄養分だけを補充することもできるので、土の状態に応じて臨機応変に対応することができるのです。

 

化学肥料を利用するデメリット

野菜を購入する消費者が最も心配することと言えば、野菜への農薬や化学肥料の残留なのではないでしょうか。

しかし化学肥料は、野菜が生育する上で足りていない栄養分を補う働きがありますし、そもそも口に入れても安全な量は定められているものです。化学肥料のデメリットはどちらかというと野菜そのものへの影響ではなく、畑への影響が挙げられています。

必要な栄養分を補うために製造された化学肥料の大半は“化合物”であり、最も必要な栄養素に他の物質がくっついていることが多々あります。例えば窒素肥料の代表である「硫安」はアンモニウムイオンと硫酸根がくっついたものです。アンモニウムイオンに含まれる窒素分を野菜は吸収していきますが、硫酸根は土にそのまま残ってしまいます。土に残ってしまう成分は、野菜の生育にはあまり役に立ちません。野菜に吸収されず、使用されない化学物質が土に蓄積されると、野菜の栽培に悪影響が及ぶことがあるのです。

化学肥料そのもののデメリットではありませんが、使用を続ければ、土の状態が変化してしまうことを理解できていないと、化学肥料とうまく付き合っていくことはできないでしょう。

 

 

有機栽培・自然栽培が与える影響

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一方、食の安心・安全志向が高まり、「有機栽培」や「自然栽培」という言葉が目につくようになりました。

有機栽培とは、日本においてはJAS規格制度で制定されている生産原則に基づいた栽培法で育てられたものを指します。野菜の場合は、有機農産物の原則に基づき“化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本”に、農業を行う上で土壌環境への負荷を軽減する形で行われた栽培法を指します。

また自然栽培とは「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんが命名した独自の栽培法で、農薬と肥料を用いずに農産物を栽培する方法を指します。

有機栽培は化学肥料の使用を避けることを基本としています。そこで代わりに使用されるのが有機肥料です。

これは化学肥料とは違い“有機物”を原料としています。土の中で生育する微生物や動物が有機肥料を分解し、無機物に変えていくことで植物が栄養分を吸収することができます。そのため化学肥料に比べて肥料の効果が得られるまでのスピードは遅いのですが、元々の土壌の生物環境そのものに影響するため、効果が長続きしやすいのが特徴です。

しかし化学物質ではなく生物の力を借りるため、肥料の量と効果の関係性がはかりづらく、また野菜に害を及ぼす生態系を繁殖させてしまう可能性もあり、扱いにくいという難点もあります。

ちなみに「有機栽培」で野菜を育てる際には、実際に農薬を使用せず育てあげた場合でも「無農薬」と表記しないよう注意してください。有機JAS規格が定める生産基準では、化学肥料や農薬の使用を避けることが基盤となっていますが、病気や害虫によって野菜へ悪影響が及ぶ場合には、認められた農薬の散布が許可されています。

また無農薬の表記によって、消費者が「残留農薬がない」といった間違ったイメージを抱くことが多く、優良誤認につながるため、表記が禁止されています。

自然栽培は有機栽培以上に厳しい条件で行う栽培方法です。農薬も肥料も与えない栽培方法ですが、野菜への影響が100%良い方向へ動くとは限りません。

また栄養分の補充や害虫駆除など、農薬と肥料の役割を全て人の手で行う必要があります。木村さんも著書の中で仰っていましたが、無収穫・無収入の時期が生じる可能性への覚悟が必要になります。

 

まとめ

野菜の栽培において、野菜の生育基盤となる土づくりはとても重要です。

そして野菜の生育に役立つ肥料は、土の状況や畑の環境を考えて選ぶことが大切だと考えています。今回は化学肥料や有機栽培・自然栽培についてご紹介しましたが、生産者も消費者も納得できる形で肥料を選び使用することが最も大事なのではないでしょうか。

 

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