農薬の効果を上げる「展着剤」のススメ。展着剤とは?使用上の注意についても解説

農薬の効果を上げる「展着剤」のススメ。展着剤とは?使用上の注意についても解説

病害虫などの被害を防ぐために用いられる農薬。残留農薬などの問題により「農薬=体に悪いもの」という印象をもつ消費者もいますが、用法用量を守って使えば人体に悪影響を及ぼすことはありませんし、農作物の安定的な供給に貢献しているものでもあります。

そんな農薬ですが、植物の中には薬剤が付着しにくいものがあり、せっかく農薬を使ってもその効果が思うように得られないことがあります。効果を得るために農薬の量を増やしてしまっては、消費者の「安全・安心」志向の逆をいくことに。

そこでおすすめしたいのが「展着剤」です。

 

 

展着剤とは

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農薬を付着させやすくするもので、農薬の効果を安定させます。

植物表面は「クチクラ層」と呼ばれるワックス状の物質で覆われています。また植物表面に細かい毛が生えている場合もあります。水分の蒸発を防いだり、葉の内部の組織を保護する役割があるのですが、それらにより葉は水を弾いてしまいます。

そのため、農薬を散布しても葉の表面で弾かれてしまい、農薬の効果が発揮できません。特に稲、麦、ネギなどの作物は農薬が付着しにくい作物として有名です。

しかし展着剤と合わせて使うことで、農薬の効果が発揮できます。展着剤の主成分である「界面活性剤」は、水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(親油基)をもつ物質の総称で、農薬の付着しやすさや有効成分の染み込みやすさを高めてくれるのです。

展着剤の種類

展着剤の種類は大きく分けて3つあり、その役割は

  • 一般展着剤
    農薬を均一に付着させる
  • 機能性展着剤
    農薬が植物体内に入りやすくする
  • 固着剤
    農薬の効果が残るようにする

です。

一般展着剤は農薬を弾きやすい作物への付着性を高め、農薬の防除効果を高めます。ただし使いすぎるとかえって付着量が減ることもあるため、農薬と展着剤、それぞれを正しい分量で使うことが求められます。

機能性展着剤は農薬の有効成分が葉の表面から内部へとしみ込む作用を強化します。

固着剤は作物に付着した農薬をより強固にくっつけることで、雨などで農薬が流れないようにしたり、効果を長持ちさせることができます。

展着剤のメリット

  • 農薬の効果を与えることができる
    農薬の使用量を減らすことができる

などが挙げられます。

 

 

展着剤を使うときの注意点

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農薬本来の効果を引き出すことができる展着剤。農薬の使用量を減らすメリットもありますが、使用する際に注意しなければならない点がいくつかあります。

適切な使い方をしよう

使用前にはラベルをよく読み、用法用量を守って使用してください

展着剤と農薬を混ぜる際には「展着剤→農薬」の順で混ぜることが多いのですが、展着剤によっては最初に入れることを推奨されていないものもあるため、いずれの場合でもラベルに記載された注意事項に従うことが鉄則です。

また農薬はその目的や用途に応じて、適切な形に製剤されています。製剤のために加えられている「補助剤」の種類によって、展着剤を必要としない場合があります。

例えば「乳剤」タイプ。このタイプは水に溶けにくい農薬が作物に付着しやすくなるようにすでに加工されています。そのため、展着剤を加えるとかえって作物への付着性を悪くしてしまったり薬害が発生する可能性があります。

また「フロアブル」と呼ばれるタイプは、粉末状の農薬に界面活性剤などを加えて水に溶かし、液状に製剤したもの。すでに界面活性剤が加えられていること、粉末状で粒子が細かいため付着しやすいことなどから、展着剤を加える必要がありません。

ただ冒頭でも紹介した稲、麦、ネギなどの作物は水を弾きやすい性質があるため、展着剤が活躍します。

とはいえ、どんな場合であっても使用前の確認は怠らないようにしてください。

使用条件にも注意しよう

注意しなければならないのは作物や農薬との相性だけではありません。農薬の注意事項には薬害が発生しやすい気候条件や作物について記載されていることがあります。使用条件をよく読み、適切な時期に使用するようにしてください

農薬との相性には要注意

農薬の中には展着剤との相性が悪いものもあります。展着剤を加えることで薬害が発生しやすくなる農薬もあるため、使用前には必ず展着剤と組み合わせて使っていい農薬かどうかを確認しましょう

 

参考文献

  1. 薬剤効果を安定させる“展着剤”って?農薬を均一付着させるならコレ! AGRI JOURNAL
  2. ネギに消毒薬を散布する際、展着剤を使用してもネギに薬剤が付着しません。なぜでしょう。みんなの農薬広場
  3. 葉はどうして水をはじくんですか? 日本化学会近畿支部
  4. 展着剤の機能と使い方:事業案内 JA岡山西
  5. 展着剤の種類と必要性 
  6. 展着剤の使い方|農薬散布効果アップのコツ AGRI PICK
  7. 農薬の剤型による分類|日本農薬株式会社
  8. 農薬は正しく使用しましょう-埼玉県

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