ヤギに雑草を食べてもらうエコ除草は害獣被害の対策にも使えるのではないか?

ヤギに雑草を食べてもらうエコ除草は害獣被害の対策にも使えるのではないか?

ヤギに雑草を食べてもらうエコ除草は害獣被害の対策にも使えるのではないか?│画像1

つい先日こんなサービスを見つけました。それは、除草を必要する場所を電気柵や牧柵で囲み、その柵の中でヤギを数十頭放し、彼らの草を食べてもらうもの。

ヤギはほぼ一日中草を食べて生活するため、4~5頭でも数日間あれば広いエリアの草を食べ尽くしてくれるのです。

農業を営む人にとって厄介な存在とも言える「雑草」は、草刈機や除草剤などを利用して除草するのが一般的な方法だと思われます。この方法を利用すれば、今まで人が行っていた作業をヤギに任せることができます。

そして、この除草方法は「害獣被害」にも役立てるのではないか?と考えました。

 

里山と畑の間の雑草地を除草

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ヤギに雑草を食べてもらう「エコ除草」は、その除草効果だけでなく「害獣被害」対策にも役立てるのでは?と考えています。

・害獣の隠れるスペースを無くし被害を防ぐ

鳥獣による農作物被害は、農業従事者の高齢化や後継者不足もあいまって、経済的にも営農意欲にも悪影響を及ぼしているのが現状です。
鳥獣は食糧を求め、人里に降りてきます。その際、高齢化や後継者不足により、人気のなくなった農地や手入れの行き届いていない農地は、鳥獣が身を潜めやすく、格好の餌場となってしまいます。

そこでヤギによる「エコ除草」が役立ちます。彼らが雑草を食べ尽くしてしまえば、鳥獣が山から農地へ入り込むのに、身を潜めることの出来る“茂み”がなくなります。
元々鳥獣も警戒心の強い生き物ですから、隠れられる場所がなく、人に近い環境となれば、農地へ侵入しようとすることも少なくなるでしょう。

・耕作放棄地の除草

農業従事者の高齢化や後継者不足により、農地を放棄してしまう農家さんも少なくありません。人の手の入らなくなった農地は「耕作放棄地」として荒れ果ててしまいます。

山と畑の間に、耕作放棄地のような荒れ果てたスペースができると、そこが害獣達の隠れる場所になってしまいます。
上記と同じような理由にはなりますが、耕作放棄地となったエリアにヤギを放せば、そのスペースに生い茂る雑草を彼らが食べ尽くしてくれます。人の手の入らなくなった農地が“茂み”でなくなれば、鳥獣達も畑に入り込みにくくなります。

 

各地でヤギによる除草の実験が行われている

ヤギによる「エコ除草」は日本各地で実証実験が行われています。例えば静岡県浜松市にある佐浜市民ふれあい農園でも、空き区画を利用してヤギの除草実験を行っています。
この実験結果で興味深いのは「費用対効果も一番良いのでは?」という点です。

実験では電気柵とネット柵で囲んだところに、給水用のバット、鉱塩、ヤギ小屋を設置し、ヤギにそのスペースの除草を託しています。この際、

・人とヤギで比較した除草スピード
・かかる費用

について比較されています。

除草スピードにおいては、

・ヤギ→10㎡/日(平坦地、急傾斜地問わず)
・人 →草刈機(平坦地)100㎡/時、(急傾斜地)20㎡/時

と、平坦地では人が機械を用いて除草した場合のほうが圧倒的に効率よく見えます。

しかし資材費用を比較してみると、

・ヤギの場合
→繋牧(家畜を綱でつないで、行動を一定範囲に制限する放牧のこと):10,000円
→放牧(電気柵):26,800円、
→放牧(ワイヤーメッシュ柵):41,480円
→ヤギレンタル費用(試算面積を1か月以内に除草可能な頭数と日数を設定): 350円/日

・人による除草費用(100㎡あたり)
→平坦地 :7,500円
→急傾斜地:40,000円

平坦ではない農地で除草する場合には、人による除草が最も費用が高いことが分かりました。ヤギを繋いで除草させるのと、平坦な農地を機械で除草する場合の費用がほぼ同じことを考えると、農地の構造によってはヤギによるエコ除草が安上がりであることが分かります。

 

しかし注意も必要

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ただもちろん、除草に利用するヤギは“生き物”ですから注意も必要です。
その生態を理解していないと、戸惑うこともあります。特にヤギにおいて問題視されるのが「頭突き」「引っ張る」などの習性です。

群れで行動するヤギには、仲間同士の挨拶や喧嘩で頭突きをする習性があります。
ペットとして馴染みのある犬や猫のように“慣れる”動物ではない為、あくまで家畜として扱う必要があります。
デメリットというより、「生き物を活用する」という意識が必要だということは覚えておいてください。

動物好きな人から見れば、ヤギも愛らしい生き物で情が移ってしまいかもしれませんが、動物が好きではない人ももちろんいます。
そんな方からすれば、突然頭突きされたり、引っ張られたりするのは恐怖でしかありません。ヤギによるエコ除草に関わる人には、ヤギの習性を十分に説明しておく必要があるでしょう。

 

まとめ

費用対効果、また害獣被害対策にも結びつくことが期待できるため、ヤギによる除草は、今後注目の高まる除草方法になるかもしれません。

ただ、ヤギによる除草を導入する場合には、近隣への説明が必要な場合もありますから、周囲と十分に話し合ってから導入を決めてください。また個人で飼育する場合であっても、「生き物を飼う」という事を意識してくださいね。
 

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