今更聞けない「みどりの食料システム戦略」「みどりの食料システム法」とは。環境負荷低減に取り組む農業生産者必見!

今更聞けない「みどりの食料システム戦略」「みどりの食料システム法」とは。環境負荷低減に取り組む農業生産者必見!

令和3(2021)年、農林水産省が「みどりの食料システム戦略(以下、みどり戦略)」を発表しました。本記事では、みどり戦略がどのような目的で策定されたものなのか、2022年7月から施行された「みどりの食料システム法」とは何か、農業従事者にどんなメリットがあるのかなど、気になる点をまとめました。

 

 

みどりの食糧システム戦略とは?

今更聞けない「みどりの食料システム戦略」「みどりの食料システム法」とは。環境負荷低減に取り組む農業生産者必見!|画像1

 

みどり戦略は、環境に配慮し、食料・農林水産業の生産力を上げ、持続可能性を高めるために策定された方針です。

国内農林水産業の生産力強化や持続可能性の向上を目指し、2021年5月に農林水産省が策定した食料生産の方針

出典元:みどりの食料システム戦略とは

みどり戦略の背景には、地球温暖化や大規模な自然災害などの環境問題が挙げられます。ですが、念頭に置かれているのは農業生産そのものの持続可能性を確保することであり、生産者が減少することによる生産基盤の脆弱化などの課題も背景にあります。

みどり戦略は、環境負荷の低減と農業生産の持続可能性、その両方を高めることを目指しています。

 

 

みどりの食料システム法とは?

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みどり戦略の目標を達成するために制定された法律で、2022年7月から施行されました。

法律の概要は大きく2つに分けられます。

  1. 基本理念等
  2. 計画認定制度等の創設

基本理念で書かれていることで注目すべきは、食料システムに関与するのが農業生産者に限らない、という点です。

(1)環境と調和のとれた食料システムは、
農林漁業者、事業者、消費者等の関係者の理解の下、連携することによって
その確立が図られるものであること
環境への負荷の低減と生産性の向上との両立に資する技術の研究開発等の
推進及び農林水産物等の円滑な流通を確保すること
について、基本理念として規定する。

引用元:みどりの食料システム法の概要

農業生産者だけでなく、食品産業や機械・資材メーカー等の事業者、消費者など、食にかかわるすべての人の連携によって、みどり戦略の目標を達成していこう!というのがみどりの食料システム法の基本理念となっています。

その上で、国や地方自治体が必要な施策を策定し、実施する責務を有します。

2.計画認定制度等の創設で、農業従事者に関わりのある内容は「環境負荷の低減を図る農林漁業者の取組の促進」です。

 

 

環境負荷低減を図る農業従事者へのメリット

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環境負荷の低減を図る農業従事者は税制の優遇が受けられます。

青色申告書を提出する農業者が、都道府県・市町村の基本計画の作成後、みどりの食料システム法の認定を受けた環境負荷低減事業活動実施計画又は特定環境負荷低減事業活動実施計画に基づき、税制特例の対象期間内に対象設備を新規取得等して事業の用に供した場合、機械等は取得価額の32%、建物等は取得価額の16%の特別償却を適用することができます。

引用元:み ど り 投 資 促 進 税 制

もちろん、優遇を受けるための条件はありますが、環境に配慮しながら生産に取り組む農業従事者に対して税制の支援があります。

上記内容を簡潔にまとめると、みどりの食料システム法に基づく計画の認定を受けると(※1)、対象機械(※2)を導入する際に、税制特例(※3)が使えます。

※1 みどりの食料システム法に基づく計画とは?

「環境負荷低減事業活動実施計画」または「特定環境負荷低減事業活動実施計画」のことです。

上記計画の具体的な内容は?

  • 環境負荷低減事業活動実施計画
  • 土づくり、化学農薬・化学肥料の使用削減、温室効果ガスの排出量削減など
  • 特定環境負荷低減事業活動実施計画
  • 地域ぐるみでのスマート農業技術の活用、有機農業の団地化など

※2 対象機械とは?

国が確認した機械を表したものです。農林水産省のHPで対象機械等の名称・型式のリストが公表されています。また、以下のパンフレットには「対象機械はコチラ!」とQRコードが記載されています。対象か否かを確認するのにおすすめです。

※3 税制特例はどんな内容?

「農業改良資金等の償還期間の延長等の特例措置」です。

よりわかりやすく説明すると、環境負荷の低減を図る農業従事者が計画認定制度に基づいて対象設備を新たに導入する場合、機械は32%、建物は16%の特別償却が可能となります。

農業従事者に向けた留意点

上記、税制特例の対象を以下に記載します。

対象者:農業者または農業者の組織する団体
対象期間:令和4(2022)年7月1日から令和6(2024)年3月31日までの期間
対象設備:次の2点を満たす機械・装置、器具・備品
→取得価額の合計が100万円以上であるもの
→基盤確立事業の認定を受け、農水省HPに掲載されたもの

出典元:み ど り 投 資 促 進 税 制

税制の適用を受けられるのは、「環境負荷低減事業活動実施計画」または「特定環境負荷低減事業活動実施計画」を作成し、都道府県知事の認定を受けた農業者です。

計画に記載のない機械等は税制の適用を受けられません。

計画が認定される前に対象機械を取得(引き渡し・納品)した場合も、税制の適用を受けられないので計画の申請・認定と設備投資のタイミングには要注意です!

詳細は「みどり投資促進税制の活用にあたっての留意点①」でチェックしてください。

みどりの食料システム法の認定を受けたいという場合には、まずは地域の普及センターなどに相談してみてください。

 

参考文献

  1. みどりの食料システム法の 認定制度等について
  2. み ど り 投 資 促 進 税 制
  3. みどりの食料システム法の概要
  4. アグリジャーナル (フリーマガジン) Vol.26 (発売日2023年02月16日)

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