東京都心で農業の魅力を発信!?複合施設『東京農村』と都市農業の今後

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農業と聞くと「自然豊かな土地でしか触れられない」という印象を抱く人も少なくないでしょう。ところが最近では、東京都心でも「農業」に触れる機会が増えてきていると言います。
今回着目するのは「東京農村」という東京の農業の魅力を発信する複合施設についてです。東京都心、港区赤坂で、農業の魅力にたっぷり触れることができる施設ができました。東京都心部での情報発信は、消費者と生産者を結ぶ架け橋になります。「東京農村」の取り組みを通じて、今後の農業について考えていきましょう。

 

 

東京農村とは

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東京農村の目的は、東京の農業を応援すること、また東京の新しい食文化を発信することにあります。港区赤坂にある複合施設であり、5階建てのビルの中に、農業に深く関わりをもつ飲食店、コワーキングスペース、シェアキッチン、室内菜園があります。
ビルのオーナー、プロデューサーともに東京の農業に関わりのある人ばかりです。
ビルオーナーは、国分寺で農業を営んでいる中村農園、プロデュースは国立市にあるエマリコくにたちが担当しています。1階にある飲食店には、プロデューサーでもあるエマリコくにたちが運営するレストラン「Tokyo Bistro SCOP(トウキョウ ビストロ スコップ)」が入っています。東京の銘柄豚「TOKYO-X」をはじめ、東京でとれた新鮮な野菜を使ったビストロです。東京の野菜だということを積極的に伝えるレストランですから、消費者の「東京の農業」への関心も高まりますよね。

ビルがオープンしてからも、高い目標を掲げ続ける東京農村。エマリコくにたちの代表・菱沼氏は「室内菜園で育てた野菜を1~3階の飲食店で提供したい」と考えています。また飲食店や室内菜園だけでなく、農業に関わるイベントやセミナーなど、開催が予定されています。「農を味わうコミュニティ」として盛り上がっていくことが予想されます。

 

 

都心で農業を行うメリット

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東京の農業について情報発信する複合施設「東京農村」ですが、東京都心で農業を行うことに関心を抱くことは決して珍しいものではなくなってきました。農業と聞くと「地方」のイメージが先行しがちですが、東京で行う農業には「販路確保に強い」というメリットがあります。というのも、都心には食に対する安全・安心志向が高い顧客の数が多いと言われています。有機栽培など、栽培方法にこだわる農家の思いに賛同する顧客は、確かに都心部の方が多いのかもしれません。また野菜の定期宅配サービスを利用する顧客の存在も確立した販路となるので、メリットは大きいのではないでしょうか。

また都心で農業を行うメリットは、農業従事者にとってのメリットだけではありません。農業体験をしてみたい消費者にとってもメリットがあります。株式会社アグリメディアは、都市部に住む「庭をもっていないが、家庭菜園はやってみたい」という人々をターゲットに、農地保有者から委託を受けることで、個人に農場を貸し出す事業「シェア畑」を始めました。消費者がある一定の区画を借り、そこで農業を体験することは、野菜づくりの大変さややりがいを知ってもらうことにもつながります。それは消費者と生産者の距離をぐっと縮める要因にもなることでしょう。

「シェア畑」のように、都心部で農業を体験できる場所を提供することは、農業の課題にもなっている「耕作放棄地」を解決する糸口になるかもしれません。また広い区画を必要としない「都市農業」の発展が、農業の抱えるさまざまな課題、高齢化や後継者不足を解消するだけでなく、人々のコミュニケーションにも役立つことでしょう。六本木にそびえたつ「六本木ヒルズ」、その屋上庭園には水田があります。なんとその水田では、毎年40~50キロものコメが収穫されているとのこと。ヒルズ入居者や入居企業の社員などがコミュニケーションを図る場としても開放されていると言います。

 

 

都市農業における今後の展望

都市農業における今度の展望について、より詳しく見ていきましょう。

 

<農産物が都心でも生産できる>
東京都心の強みは「販路」にあります。生産してから消費されるまでの距離が近い分、消費者には新鮮で安全な農産物が渡ります。小さな区画で農業を行なっている農家であっても、そのこだわりが伝われば、定期宅配サービスで野菜を求める消費者も少なくありません。規模が小さな農家でも、生業として続けられるヒントがたくさん設けられているのです。

 

<土と触れ合う機会>
「地方」というイメージが強い農業ですが、都心部でも農業に触れることができれば、消費者にとっては新たな知見を得る重要な機会となります。消費者にとっては、心身のリフレッシュという観点が強いかもしれませんが、農作業体験を通じて、農業の魅力が伝われば、生産者との関わり方も密なものになっていくことでしょう。

 

<環境保全と人々の快適な暮らしにつながる>
東京都心を、農業が盛んな地域のように緑生い茂る風景にするのは難しいでしょう。しかし少しでも緑があれば、地面や空気の熱を奪ってくれるため、都市部の急激な気温上昇を緩和してくれます。農業には「環境保全」や都市部に住む人々が快適に暮らせるための役割があるのです。

今回紹介した複合施設「東京農村」がきっかけとなり、東京都心部でも農業の関心が高まるといいですね!

 

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