農業所得増大に向けた4Dプロジェクトとは?農業所得の現状について

農業所得増大に向けた4Dプロジェクトとは?農業所得の現状について

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「農業」という言葉から、野菜や果樹、米などを生産する姿が思い浮かびますが、農業も1つの生業です。当たり前のことですが、ただがむしゃらに生産するだけでは生業として成り立ちません。

生産効率や農業所得をあげる方法を考えることも、当然ながら必要です。
そんな中、農業従事者の所得増大などを中心としたプロジェクトが立ち上がっています。

JA横浜が2018年度から立ち上げた「4Dプロジェクト」です。

 

4Dプロジェクトとは

4DのDはそれぞれ「大胆・感動的・DNA・新たな発見」を意味する英単語の略を意味しています。
そんな大胆不敵な印象を与える「4Dプロジェクト」は、現状分析から具体案の考案、実際にその案を実行した後、検証とPDCAサイクルを回す中で、直売所などで販売される農産物の売上向上や生産履歴記帳の普及を目指しています。
農産物の売上向上を目指すチームと、生産履歴記帳の普及・農業生産工程(GAP)の普及を目指すチームに分かれ、2019年5月まで行われます。

JA横浜によれば、「4Dプロジェクト」の実践と検証の結果は、自己改革進捗会議で報告するとのことです。2018年5月現在、JA横浜公式ホームページにて「4Dプロジェクト」の全貌や進捗状況を確認することはまだ出来ていませんが、農業所得の向上に向けた取り組みは、どの地域であれ、農業を生業としている人にとって重要な話題であることには違いないでしょう。

 

農業の所得に関する現状

日本の農業所得に関する現状を見ていきましょう。
農業所得は1978年にピークを迎えてから半減、農業総産出額(簡単に説明すると、農産物の生産量のこと)についても、1984年の11兆7,171億円をピークに減少しています。

とはいえ農林水産省の発表によると、2016年の農業総産出額は9兆2025億円で、1984年のピークと比較すると明らかに減少しているものの、実は2年連続で前年度を上回る結果となっています。1984年~2016年まで減少し続けていた総産出額が増加し、それに伴い農業所得も2015年、2016年と前年度を上回る結果となっています。

ただし一概に喜べない部分もあります。例えば野菜において農林水産省は「国産野菜を求めるニーズへの対応と天候不順により、価格が上昇した」ことを、額増加の要因として挙げています。
また2016年までの20年間で米や野菜の作付面積を見ていくと、米は24.9%減少、野菜は18.6%減少していることが挙げられており、所得や生産量はあがったように見えるけれど、継続していくには少々不安の残る現状が立ちはだかっています。
作付面積が減少しているデータを知ると、現在の日本の農業が抱える農業従事者の減少、高齢化の進行、それに伴う耕作放棄地の増加に対して、危機感を持たなければならないという気持ちになります。

 

農林水産省が考える、農業所得向上のアイディア

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農林水産省は、農業所得向上のための取組方向を示しています。
食の安心・安全に対する消費者の意識から、高品質・高付加価値というニーズが強まっている昨今、消費者の強いニーズに答えられる農産物の存在が重要なのではないかと書かれていました。これを叶えるためには、高品質な農産物を生産するだけでなく、コスト削減や産地育成など、農産物そのもの“以外”の要素も必要になってきます。

そのため、農業所得向上のために、
・品質向上など高付加価値化を叶え、単価をあげる
・品目の増産
・国産ブランドを強める
・肥料、農薬、農業機械などを効率的に利用し、コスト削減に努める
・6次産業化など、直接販売や生産段階での加工の価値を高める
といったアイディアが挙げられていました。

これらのアイディアのいくつかは、「4Dプロジェクト」のように大々的なプロジェクトを立ち上げなくても、挑戦できるでしょう。農業所得増大に向けてのハードルが下がったような気がしませんか?たった1人で取り組む必要はないと思いますが、農業所得向上に努めたいなら、ぜひ一度、農林水産省が掲げた取組方向に目を通してみてください。

 

今後の展望

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現在、企業による農業参入が加速しています。これは、2009年と2016年に行われた農地法改正により、参入しやすくなったことが要因でしょう。

すべての参入企業に共通しているわけではありませんが、IOT技術などを駆使して農場を植物工場化することで、生産性の向上や収量アップ、所得向上に努めるところも少なくありません。なお農林水産省の調査によれば、農業所得を上げている農家は経営の効率化や複合化をはかる傾向にあると言います。
これらの情報をふまえると、JA横浜が取り組み始めた「4Dプロジェクト」には期待が高まります。PDCAサイクルを回していく中で、売上向上のヒントが現れれば、所得をあげたい農業従事者にとって良い影響を与えることに違いないでしょう。

またJAグループは、農業所得向上のために「生産資材のコスト削減」を掲げています。農業所得をあげるためには、収量アップだけでなく、必要資材のコストをカットしていくことも重要です。
金融面から農業従事者をバックアップしていく姿勢を見せるJAグループと「4Dプロジェクト」。農業所得向上に向けた取り組みから目が離せません。

 

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