土づくりにおける微生物活用法とは

土づくりにおける微生物活用法とは

農作物を育てる上で、最も重要なのはやはり「土」なのではないでしょうか。
せっかく味の良い、実が豊富にみのる品種の種子を用意したとしても、生育に適した土を用意することができなければ、農作物の品質どころか生育そのものが妨げられることになります。

農作物を育てる上で良い土の条件は、有機物が豊富でふかふかとしており、生育に適したpHや肥料もちの良さ、微生物やミミズといった土壌生物が豊かな生育状況であることです。

生物相(せいぶつそう)が豊かな土壌であれば、彼ら土壌微生物の活発な生育によって、植物に必要な栄養素が十分量供給されることになります。もちろん土壌微生物の中には、農作物の生育に悪影響を与える微生物も存在しますが、生態系のバランスさえ保たれていれば農作物へ悪影響を与える微生物の数が極端に増加することもありません。微生物はそもそも人の目に見えないだけで土壌のみならず空気中にも存在しているような生物です。

今回はそんな土壌微生物に着目し、土づくりにおいて微生物を活用する方法をご紹介していきます。

■微生物活用資材の存在

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土づくりにおいては、微生物を積極的に活用することをおすすめします。
日本の農地によく挙げられる問題として「連作障害」が挙げられます。これは作物を継続して栽培することで、作物を育てるのに条件の揃った土を保つことができなくなり、健全な栽培が続けられず収穫量や品質に悪影響が及ぶといった問題です。しかし微生物活用資材を用意すると、土壌中に存在する有用微生物の生態バランスを整えることで、土壌の状況を整えることができます。

例えば私達日本人に身近な「納豆」を作る上に欠かせない「納豆菌」はバチルス菌と呼ばれる土壌中で生育している細菌の1種です。植物や動物の遺体といった有機物を分解する働きはもちろんのこと、人間に有用な抗生物質を生成するものもいます。

微生物活用資材として用いられているバチルス菌は、芽胞(がほう)(※休眠)の状態で資材の中に加えられています。芽胞状態にいるバチルス菌は安定的に存在しているため、資材をまいた時点で死滅している心配はありません。農作物を育てるために用意した土壌にまくことで、休眠状態から覚めたバチルス菌は、資材とともに加えられている有機物の肥料や土壌中に含まれる有機物を利用して増殖していきます。

バチルス菌が増殖した土壌は徐々に、農作物の生育に役立つ状態の土壌環境へと整えられていきます。微生物相の豊富な土壌へ変化すれば、作物の生育にも期待が高まります。

 

 

 

■微生物農薬とは

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害虫や農作物に有害な微生物によって、農作物が病気になってしまうことがあります。その際に病気の原因を取り除くために農薬が用いられることがありますが、この農薬に代わるものとして近年では「微生物農薬」が増えてきています。

微生物農薬は自然界に元々存在している微生物を利用した農薬であり、害虫から植物を守ることのできる微生物や、有害な微生物から植物を守ることのできる微生物が選抜されています。また、現在利用されている微生物農薬は農林水産大臣による農薬登録もされています。

例えば先に紹介した細菌の1種であるバチルス類や、カビのボーベリア類と呼ばれる微生物は害虫駆除に利用されています。病原菌を防ぐ働きを担う細菌やカビもいますし、除草剤の代わりを担う細菌もいるほどです。

微生物農薬が徐々に認知度をあげている理由には、自然環境への影響力が少ないことが挙げられます。農薬とはいえ、元々自然界に存在する微生物を利用しているわけですから、標的となる生物以外への影響力を最低限減らすことができるのです。

また化学農薬を利用する場合、害虫などがその農薬に対して抵抗性をもつことがありますが、そうなると化学農薬の効果は低下してしまいます。

現段階では、微生物農薬を利用することによって、抵抗性が発達した事例はほとんどありません。そのような点からも、微生物農薬は注目されているのです。

 

 

 

■堆肥づくりにも

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土づくりに欠かせない存在に、堆肥(たいひ)があります。堆肥をまず用意することによって、土は農作物が育つ上で良い条件である“ふかふか”で“通気性、保水性、排水性のある”土になります。また堆肥の繊維分によって植物の栄養となる肥料の吸収力があがりますし、堆肥そのものの有機物が土壌微生物が生育するための餌となり、生物相への良い影響もあります。

そんな堆肥をつくるために用意されているコンポスター(生ゴミ堆肥化容器)は、日常生活で生じる生ゴミを、バチルス類や乳酸菌、放線菌などの細菌によって分解し、土へ還すものです。堆肥の存在が微生物と密に関わっているだけでなく、堆肥づくりそのものにも微生物は関わっているのです。細菌類はそれぞれの役割に応じて分解を次いでいきながら、生ゴミを堆肥へと変えていくのです。

 

 

■まとめ

微生物の活用法は今回紹介したものだけではありませんし、農作物を育てる上で用意された土の中にも、有用な微生物はすでに存在しています。

微生物が有機物を分解し、植物がそれを吸収することで生育し、私達はそれを食べることで生きています。この生態系の循環を理解することができれば、微生物が農業において活用されている現状も、容易に理解できるのではないでしょうか。

もちろん効率性や作業性を考えると、化学肥料や化学農薬が役に立つことも事実です。しかし、微生物と農作物との関わりを理解しておいても損はないかと思います。育てたい農作物と土との相性や消費者へ届けたい農作物の姿を考えた上で、栽培法を確定させていくと良いのではないでしょうか。

 

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