水田の雑草抑制技術まとめ。深水代かき、米ぬか散布ほか。

水田の雑草抑制技術まとめ。深水代かき、米ぬか散布ほか。

水田の雑草を抑制するにはいくつかの方法があります。本記事では、そんな代表的な方法をまとめてみました。

 

 

物理的なアプローチ

水田の雑草抑制技術まとめ。深水代かき、米ぬか散布ほか。|画像1

 

深水管理

ヒエなどの雑草の成長を抑えるのに効果的なのが深水管理です。田植え後から初期の数週間、水位を8cm〜15cm以上に保ちます。そうすることで雑草の葉を空気に触れさせない状態にします。

またヒエなどの雑草は水位を深くすることで、発芽した雑草が浮力で抜ける効果があるといわれています(ただし、オモダカやクログワイなど、深水環境を好む雑草もいます。これらの雑草が多い場合には中干しが雑草対策として重要になります)。

深水管理は常に水位を保つことが雑草抑制において最も重要ですから、水位センサー等を活用して効率的に管理を行います。

「深水代かき」も有効な方法のひとつです。これは、田んぼに十分な水を張った状態で代かきを行い、雑草の発芽や生育を抑えるやり方です。特に、1回だけでなく時期をあけて2回行うことで雑草の抑制効果が高まるとされています。

1回目の深水代かきでは、土をかき混ぜることで、重い土の粒は下に沈み、比較的軽い雑草の種子や稲わらなどの有機物は表層に集まりやすくなります。その後、湛水を続けると表面の有機物の分解が進み、やわらかい「トロトロ層」が厚くなります。

この過程で表層の酸素が少なくなり、コナギやホタルイなど一部の雑草種子が発芽します。そこで行うのが2回目の深水代かきです。湛水期間中に芽を出した雑草をこの時点でかき取り、浮かせて除去し、まだ発芽していない種子は吸水して重くなった状態でトロトロ層の下に沈みやすくなります。結果として、その後の雑草発生を抑えやすくなります。

雑草が育ってくると抑制しにくくなるので、2回目の作業は、雑草が大きくなりすぎる前に行うことが重要です。

また、深水では水面下の地表が見えにくく、作業の進み具合がわかりにくいため、あらかじめタイヤ跡を付けて目印にする方法も有効です。

米ぬか散布

米ぬかを散布することで、雑草の発生が抑制されます。

田植えの前後に米ぬかを散布すると、リン酸やミネラルなどを豊富に含む米ぬかを利用して、乳酸菌などの微生物が急激に繁殖します。微生物の繁殖で酸素が使われてしまうと、土壌が酸素不足(還元状態)になりますから、雑草の種子は呼吸できなくなります。また、米ぬかが分解される過程で、酢酸や酪酸、プロピオン酸といった有機酸が発生するのですが、これが雑草の初期発芽や生育を阻害します。

加えて、米ぬか散布によって微生物が増殖することにより、水田の表層に酸素が少ない(強還元状態)「トロトロ層」ができると、このトロトロな土に雑草の種子が深く沈み込み、発芽に必要な酸素が届かなくなります。

米ぬか散布の効果を安定させるためには、散布のタイミングと量が非常に重要です。一般的には、田植えの前(代かき前後)、あるいは水温が20℃以上になる頃に表面施用するのが効果的とされています。田面全体にまんべんなく散布します。なお、前年の秋に稲わらと一緒に米ぬかを散布しておくと、有機物の分解が促進され、トロトロ層が形成されやすくなるため、より高い効果が期待できます。

ただし、米ぬか散布にはデメリットもあります。たとえば、微生物が米ぬかを分解する際、土壌中の窒素を大量に消費するために作物の初期生育が遅れる「窒素飢餓」が起こる可能性があります。また、分解が急激すぎると、硫化水素などの有害ガスが発生して、イネの生育に悪影響を与える可能性もあります。

窒素飢餓やガスの発生を避けるためには、適量を適切な時期に散布することが大切です。

そのほかのアプローチ

一般的な雑草対策としてあげられるのが「一発処理除草剤」です。田植え直後に散布することで約1ヶ月間、初期の雑草の発生を抑える効果があります。一発処理除草剤に限らず、効果的な時期に複数回に分けて除草剤を処理することで、除草をより確実なものにできます。

アイガモ農法も水田の雑草抑制技術としてよく知られています。除草の効果は、アイガモが雑草を食べることによるものだけではありません。アイガモが泳ぐことで、土が攪拌されて水が濁り、太陽光が遮ぎられることで発芽を抑制するといった効果もあります。最近では「アイガモロボ」と呼ばれる自動除草機の活用も注目を集めています。

 

 

まとめ

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雑草ごとに特性は異なりますから、水田に生えている雑草をよく観察して、雑草ごとの特性にあったアプローチを行うのが確実です。たとえば、コナギは有機物の多い環境を好みますから、代かき前に米ぬかを散布することでコナギの発芽を阻害する環境を作る、といった風に。

いずれにおいても、田植え前から初期にかけての土づくりや、代かき後の徹底した水の管理が雑草の発生を防ぐ鍵となります。

 

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