担い手不足をどう乗り越える? 担い手不足の対応策。

担い手不足をどう乗り越える? 担い手不足の対応策。

担い手不足は日本の農業が直面している最大の課題の一つです。農林水産省の統計によれば、基幹的農業従事者の平均年齢は近年上昇しており(令和6年/2024年で約69.2歳)、65歳以上が約7割を占めます。毎年のように農業者数は減少傾向にあり、白書では過去20年で基幹的従事者数が半減したことが報告されています。一部の試算や政策議論では、今後もこの傾向が続けばさらに20年程度でさらなる減少の可能性が示唆されるとの見方があります。

 

 

担い手不足と農地の荒廃リスク

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担い手不足の問題は、単に労働力が減るだけではありません。人手が足りないことで、農地は耕作放棄地となり、地域全体の農業基盤の弱体化につながります。そして、このような連鎖は、食料自給率の低下や農村景観の荒廃にも結びつきます。

国も対策として「法人化」「大規模化」を推進していますが、地域によっては農地が分散していることから効率的に大規模化できないケースも多いのが現状です。

 

 

担い手不足の対応策

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スマート農業の部分導入

「スマート農業」と聞くと、大規模農業のための最先端技術という印象を持つかもしれません。確かに、大規模農業においては、自動運転トラクターや収穫ロボットなどの導入は、作業を自動化し、人手不足を補うのに役立ちます。しかし、個人農家や中小法人にとっても「部分的な導入」は十分に効果を発揮します。

たとえばドローン散布やセンサーによる水管理、比較的小型の除草ロボット、アシストスーツなど、中小規模でも導入しやすい技術の実証・普及が進んでいます。人手不足の補完ならドローンによる農薬散布やセンサーを利用した水管理が、作業負担の軽減には、リモコン式除草ロボットやアシストスーツなどの活用が実用的です。

ポイントは、作業のすべてを自動化するのではなく、負担が大きい部分を自動化することです。少人数でも効率的に圃場を管理できる体制を整えることが大切です。

作物の多角化・高付加価値化

担い手不足の中で利益を維持するには、ただ作業を効率化するだけでは不十分です。作物の選び方そのものも経営を左右する一員なのです。

現在、国内ではパプリカや枝豆など高需要作物への関心が高まっています。特に枝豆は二期作が可能で、地域の条件に合えば収益性の高い作物に変わり得ます。また、加工用野菜や輸出向け果実なども選択肢の一つです。

さらに、地域ブランド化や直販を組み合わせることで、少量でも高く売る戦略をとることができます。近年はオンライン直販や産直アプリも広がり、小規模農家でも消費者と直接つながれる環境が整いつつあります。

新規就農者への支援

新規就農者は「担い手」として重要な存在です。

新規就農者育成のため、農林水産省は就農準備資金・経営開始資金などの制度を整備し(『新規就農者育成総合対策』)、研修支援や初期投資支援を行っています※。また、地域の農家が連携し、新規就農者を地域全体でサポートする体制を構築することも有効です。

※詳細は各自治体の実施要領を確認する必要があります。

採用人材の拡大

外国人技能実習生や特定技能制度を活用し、専門技能を持つ外国人を雇用することも、担い手不足の対応策としてあげられます。ほかには、地域企業や地域団体と協力して、副業として農業に従事する働き手の受け入れや、地域貢献型の参加を促す取り組みを検討する地域もあります。

労働環境の改善

法人の場合、就業規則を整備し、給与や勤務時間、社会保険、有給休暇などの労働条件を明確にすることも大切です。暑さ・寒さ対策といった快適な職場環境の整備や、繁忙期に合わせた柔軟な働き方、季節雇用などを検討します。

 

まとめ

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日本の農業は深刻な高齢化と従事者数の長期減少に直面しており、政府試算では今後20年程度で従事者数が大幅に減る可能性が指摘されています。本記事でご紹介した通り、担い手不足への対策は多面的です。

  • 法人化や経営の集約化
  • スマート農業の部分導入(ドローン、圃場センサー、除草ロボット、アシストスーツ等)による省力化
  • 作物の高付加価値化・直販チャネル活用
  • 新規就農支援・外国人材活用
  • 労働環境整備の推進

施策を講じる際、地域条件・コスト・制度要件の違いが影響するため、これらを組み合わせることが重要です。

 

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