いまさら聞けない「農業協同組合」について。

いまさら聞けない「農業協同組合」について。

農業協同組合(以下、農協)は協同組合の一つです。

「協同組合」とは「中小規模の生産者や消費者が相互扶助の観点から、各自の事業・生活の改善のために組織する団体」を指します(出典元:農協とは(設立方法も含む))。

農協は農業者を組合員とする協同組合です。

 

 

農協の目的

いまさら聞けない「農業協同組合」について。|画像1

 

農林水産省は農協の目的についてこのように述べています。

「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与すること」

出典元:農協とは(設立方法も含む)

農協にもさまざまなタイプがありますが、「共同販売(共販)組合」や「共同購入組合」の目的の一つには、生産者が集まって1つの組合を作ることで、農産物の販売または肥料や飼料などの購入に際して市場交渉力を高めることが挙げられます。

農協は、共同販売・共同購入という市場交渉力の強化という目的を掲げる他、組合員の経済と生活の向上を目的とする事業や農村地域の住民生活全般にかかわるさまざまな活動も行っています。

農協の課題

日本の農業が抱えている課題と同じく、農協においても高齢化や人手不足が課題として挙げられています。古い情報にはなりますが、平成21(2009)年5月の農林水産省の資料によると、農協の職員数はピーク時(平成4年、1992年)の30万人台から、2009年には22万人台に減少しています。

農林水産省が公開している「令和2事業年度農業協同組合及び同連合会一斉調査結果」によると、令和2(2020)年には農協の職員数は18万人台にまで減少しています。

また、農業従事者の減少・高齢化に伴い、耕作放棄地が増加する一方で、これまで農業に関わったことがない人も含めた新規就農者が増加傾向にあります。農業者のニーズの多様化をふまえた事業展開の検討も課題として挙げられています。

加工品や外食向けの需要が拡大するなど、農産物の流通も多様化しています。そのため、農業者は農協に対して、農畜産物の販売力強化や生産コストの軽減に向けた生産資材価格の引き下げなども求めています。

農協が掲げる目標とは

現状の課題をふまえ、農協が掲げている目標、実践されている事例には以下のものが挙げられます。

  • 組合員への経営診断の実施
  • 法人を設立した農協による、担い手が不足している地域での営農継続活動
  • 新規就農者への研修など各種支援
  • 直売所での地産地消の取組
  • 地元企業と連携するなど販売力の強化
  • 加工・業務用業者との直接販売の取組
  • 生産資材価格の大口割引への取組 など

 

 

組合員になるメリットとは

いまさら聞けない「農業協同組合」について。|画像2

 

先で紹介した農協の目的にあるように、農産物の販売または肥料や飼料などの購入に際してのメリットの他、株式同様、出資金の応じて受け取ることができる「出資配当金」、事業を利用することで得られる「ポイント制度」、葬祭式場を組合員価格で利用できるなどの特典があります。

なお、組合員には「正組合員」と「准組合員」があり、加入条件が異なります。詳しくはお近くのJA各支店・出張所の窓口まで。

 

参考文献

  1. 荏開津典生、鈴木宣弘『農業経済学 第5版 (岩波テキストブックス) 』(岩波書店、2020年)
  2. 農協とは(設立方法も含む)
  3. 農協の現状と課題について
  4. JA組合員になるメリット
  5. 組合員になってお得!|JAこうか

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