塩害に強い植物・弱い植物まとめ。台風シーズンの塩害を予防するために

塩害に強い植物・弱い植物まとめ。台風シーズンの塩害を予防するために

2018年10月に、大型の台風「台風24号」が到来し、数多くの農作物が被害を被りました。海辺の圃場では「塩害」にあった作物も少なくありません。台風だけでなく、集中豪雨などの自然災害が当たり前のように到来する昨今、激しい気候変動に対応すべく、本記事では「塩害」に着目。塩害に強い植物・弱い植物について紹介していきます。

 

 

塩害に強い植物とは

塩害に強い植物・弱い植物まとめ。台風シーズンの塩害を予防するために|画像1

 

塩生植物について

塩害に強い植物の中に「塩生植物」と呼ばれるものがあります。高い塩濃度に耐えることができる種子植物を指し、主に海岸や塩湖の周辺や地下水の塩濃度が高い半乾燥地域に生育しています。

塩生植物の代表例といえば、マングローブです。海辺の湿地帯で成長している画を見たことある人も多いのではないでしょうか。

 

アイスプラント

近年、市場でも見かけることが多くなったアイスプラントは塩生植物のひとつです。元々は南アフリカの乾燥地帯に生育していました。大地が乾燥すると、水分が蒸発してしまうため、土壌の塩濃度が高くなります。しかしアイスプラントは、葉表面にある「ブラッダー細胞」と呼ばれる特徴的な水泡に塩水を蓄えることで、自ら水と塩分を分離することができます。

 

アイスプラントの耐塩性のメカニズムを利用した研究も

アイスプラントがブラッダー細胞に塩分を蓄えるというメカニズムが解明できれば、野菜に耐塩性をもたせることができるのでは、と期待されています。

現在わかっていることは以下の通りです。

  • 過剰な塩分のみを排出するブラッダー細胞をもつ
  • 海水ほどの塩分濃度であれば生育できる
  • 約1kgのアイスプラントが吸収する塩は約14g
  • 乾燥にも強い
  • カリウムを多く含む

他の野菜に比べて多くのカリウムを含むアイスプラントは、細胞内で生成された多くのカリウムによって、体内の細胞と体外の「ブラッダー細胞」の浸透圧を調整していることがわかっています。

またアイスプラントは塩分を土壌から吸いとるのですが、その特性を使えば、砂漠や干拓地といった、水分の蒸発によって塩濃度が上がった土地の塩分を除去することができるかもしれません。砂漠化が進む中国では、塩害対策として試験的にアイスプラントが栽培されています。

 

塩害に弱い植物とは

塩害に強い植物・弱い植物まとめ。台風シーズンの塩害を予防するために|画像2

 

さまざまな野菜の塩害耐性について研究されています。海水を希釈して用意された塩分濃度の土壌で、イチゴ、キュウリ、アスパラガス、コマツナ、ホウレンソウなどを栽培し、それぞれの耐塩性が報告されています。その報告によると、

  • イチゴ
  • キュウリ

は水分ストレスに弱いとあります。イチゴはナトリウムを過剰に吸収してしまい、それによる葉が枯れてしまいました。キュウリはカリウムが欠乏しており、土壌中に含まれるナトリウムがカリウムの吸収を阻害している可能性があると報告されています。

イチゴやキュウリを育てる際には、石灰資材などを使用して土壌中のナトリウムを取り除く作業が必須なのです。

 

植物にはどのくらい耐塩性があるのか

そもそも植物には、どれほどの耐塩性があるのでしょうか。

一般社団法人日本植物生理学会によると、植物の生育低下に影響しない塩分濃度は0.3%濃度とされています。日本の農業用水は「塩分濃度0.25%」までが農業用水の取水停止の目安だそうです。そのため、塩分濃度が0.3%程度であれば、健全に生育できると考えられています。

一方で、水耕栽培時の溶液の塩化ナトリウム濃度が1%を超えると、耐塩性をもたない植物は枯死すると言われています。

もちろん植物によって耐塩性はさまざまです。植物が成体なのか発芽したばかりなのかによっても変わりますし、土壌で栽培するのか水耕栽培なのかによっても変わります。一概に「塩分濃度○%までは耐えられる」とは言えませんが、「塩生植物」ではない限り、基本的に農作物にとって塩はあまり好ましいものではありません。

 

 

塩害に遭わないための対策法

塩害に強い植物・弱い植物まとめ。台風シーズンの塩害を予防するために|画像3

 

風雨の当たらない工夫を

塩害に合わないためには、海水や高潮などによる圃場への冠水を避けたり、海水を含んだ風が農作物に当たらないようにしたりする工夫が必要です。

ビニールハウス内で作物を栽培したり、農作物を風雨が当たらないよう覆ったりすることが重要です。屋内に移動可能なものであれば、台風到来の前に移動しておきましょう。

 

排水溝等の確認を

土壌に塩分を含んだ水を留まらせないことも重要です。そのため、台風到来の前に排水溝等の状態を確認しましょう。新たに作溝を切るのも1つの手です。

 

連作しない

本記事では、台風の到来により発生する「塩害」に着目しましたが、連作障害でも塩害と同じようなことが生じることも。作物が肥料を吸収しきれないと、土壌中に肥料成分が残ってしまいます。その肥料分が土壌中の金属イオンと結合することで塩化ナトリウムが生じることがあります。すると、土壌中の塩分濃度が上がり、塩害と同様な障害を引き起こします。土壌中の塩分濃度を整えるためにも、連作はせず、偏った肥料分が土壌中蓄積しないよう心がけましょう。

 

参考文献

  1. 塩生植物
  2. 塩水でも育つアイスプラント
  3. 農業早期復興プロジェクト/耐塩性作物による早期経営改善対策/塩分が及ぼす園芸作物への影響把握(野菜類)
  4. 農業における塩の利用ー美味しい野菜づくり
  5. 植物の耐塩性について|みんなのひろば 一般社団法人日本植物生理学会
  6. 塩害とは?塩害にも強い植物があるの?

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