農地を借りたり貸したり。農地バンク制度のメリットとデメリット

農地を借りたり貸したり。農地バンク制度のメリットとデメリット

農地バンクの概要と利用の流れ

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農地バンクは、農地を貸したい人や売りたい人が都道府県農地中間管理機構にその旨を登録し、借りたい人が機構を通じて農地を借りる制度です。

超高齢化社会の日本では農業従事者の高齢化が進み、耕作放棄地が増加しました。
また、子供に農地を相続しようとしても、農地の相続を放棄するケースもあるようです。

そういった土地の貸し借りを促進し、耕作放棄地を減らすと言った趣旨があります。
今まで、こういった貸し借りは一般的に行われて来ましたが、農地バンクが入ることで複数の農地をまとめて貸し借りできるので農業における作業効率が高まります。
小さな農地2箇所で農業をするよりも、2つをあわせた大きな農地で農業をしたほうが、農地間を移動する手間が省けて効率的に農業をすることができます。

農地バンクの利用の流れは、以下のようになります。

各市町村に設置された農地バンクの担当部署に農地を貸したい旨を伝え、必要書類を提出します。
その後、機構の方で農地のチェックが行われ、貸出に適した土地かどうかの判定が行われます。この時に貸出期間や賃料の希望も行われます。

以上を終えたら、毎年6月頃(地域等によって変動)に市町村側が借主を公募します。
借主が応募してきたら、希望する農地や借りる期間や賃料等の希望を聞き取りします。
お互いの条件がマッチすればいいのですが、そうでない場合はお互いの間に機構が入って交渉を進めます。

決定したら、機構が農地を借り上げます。この時、10年以上の期間を設定します。
この時点でようやく機構側に農地の使用権が移るので、機構はその後に必要に応じて農地の整備を行い、借主に貸し出します。借主は賃料を機構に支払い、貸主は機構から賃料を受け取ります。

 

農地バンクのメリット

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機構が借主や貸主を探してくれる

従来個別に行って来た農地の貸し借りのやり方だと、借りたい人が貸したい人を探して個別に交渉しなければなりません。
しかし機構が一括管理することで、情報が集約化され、借りたい人が借りたい農地を探しやすくなりました。

公的機関が入るので信頼性が高い

「一度土地を貸すと返ってこない」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
土地を貸すと借主側にも種々の権利が発生するため、様々なトラブルが起こることが多いのです。しかし、農地バンク制度では公的機関が間に入るので、こういったトラブルを解決してくれます。
仮に農地を10年間だけ貸したい場合は、10年経てばちゃんと戻ってくるのです。
賃料収入についても、貸主はあくまで機構側に土地を貸しているので、機構から支払ってもらえるので安心です。
さらに、農地を提出した場合には「協力金」というものが交付されます。
これは政府側が耕作放棄地を減らすために農地バンクの利用を促すと行った狙いもあって交付されるのですが、農地の提供者にはありがたい制度です。

休耕地の活用

もっとも大きなメリットはこれです。
農業を行っていない土地であっても、水路などの維持にお金をかけている農家さんは大勢います。水路などは一度潰してしまうと復帰させるのに多くの費用と労力が必要だからです。
その上固定資産税等もかかるので、使っていない土地は負の資産以外の何物でもありません。
しかし農地バンク制度で農業従事希望者を探し出し、農地を貸すことができれば負の資産がたちまち正の資産になります。

 

農地バンクのデメリット

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貸主や借主が現れるかどうかわからない

農地バンクでは、借主も希望の土地を探しています。そのため、せっかく提供した土地が希望にそぐわないものであれば、いつまで経っても借り手がつきません。
農地バンクの方でもできるだけマッチングを成立させようとしており、事実「この農地なら成立しやすいでしょう」と提示された土地は高確率で契約が成立しています。
ただし、「成立しにくい土地」というものも当然あります。
「借りたい」という人は「貸したい」という人の8~10倍以上いるのではないかという一部データもあるので、そういった人々の分までフォローできていないのは事実のようです。
また、借りる場合でも希望の土地があるかどうかはわからないので、根気よく問い合わせる必要があります。

借主がわからない

機構が間に入る制度なので、どのような人がどのような農業を行っているのかを知ることはできません。場合によっては、先祖代々作った農業にとって大切な「土」を壊すような農業をされることもあります。借主は借りた農地の土に合わせた農業をすることが多いのですが、必ずそうする保証はありません。

個人同士の取引であれば注意が行き届くのですが、農地バンクを介す以上、上記のような不安はつきまといます。

期限が10年単位

原則として農地バンクに土地を提供するのは10年です。更新はできますが、借主も10年区切りの契約となります。貸す方としては、10年間契約に拘束されるので、資産としての流動性が損なわれてしまいます。

借りる方としては、10年経ったら返さなければいけないので、せっかく作った農業用の土が無駄になってしまうというデメリットがあります。

 

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