害虫の物理的防除や保温に役立つ!?ペットボトルを活用した農作業アイデアまとめ。

害虫の物理的防除や保温に役立つ!?ペットボトルを活用した農作業アイデアまとめ。

今や私たちの生活に身近な存在となったペットボトル。家庭菜園では、このペットボトルを使った栽培キットや、外出時に便利な自動水やり器などのアイデアが紹介されていますが、もちろん農業にも役立ちます。

本記事では、ペットボトルを活用した農作業アイデアをまとめました。

 

 

モグラ対策に!ペットボトルで作る風車

害虫の物理的防除や保温に役立つ!?ペットボトルを活用した農作業アイデアまとめ。|画像1

 

森林や草原などの地中に生息しているモグラは、畑を穴だらけにし、畑の土作りに役立つミミズを食べてしまうことやネズミによる農作物への被害を併発させるきっかけになることから害獣とされています。

モグラは視力が悪い分、聴覚や嗅覚が発達しています。そんなモグラに対し、忌避剤や音波などを使った対策法がありますが、その中にペットボトルを使ったものがあります。それが「ペットボトル風車」です。

ペットボトル風車が回る際に生じる振動や音に驚いたモグラはその場から逃げ出します。

必要なもの

  • ペットボトル※
  • カッター
  • ハサミ
  • 針金(できるだけ太いほうがよい)
  • 穴を開けるための道具(千枚通しなど)

※風車のような形にハサミで切り込みを入れる際、基準となる線があると切りやすいので側面のある「六角形」のペットボトルを用意すると作業しやすい。

  1. ペットボトルのふたと底に穴を開ける(穴は針金が回る程度の余裕がある大きさ)
  2. カッターとハサミを用いて、ペットボトルの側面に沿って切り込みを入れる
    →次の工程で羽根をつくるが、その際、角度がつくように、切り込みを入れる側面の左側と右側の長さを左右非対称にする(1.5cm以上差がつくようにするとよい)
  3. 切り込みの部分が外側に向かって斜めになるよう折り曲げ、羽根をつくる
  4. 針金がペットボトルのふたと底を貫通するよう、1で開けた穴に針金を通す
  5. 針金が抜けないよう、ふたと底から出ている針金を折り曲げる

底から出ている針金をそのまま土に差し込むと安定しない場合は、別に棒を用意し、その棒にペットボトル風車を紐などでくくって安定させます。

 

 

種を狙う昆虫から守り、寒さ対策にもなる!ペットボトルの苗カバー

害虫の物理的防除や保温に役立つ!?ペットボトルを活用した農作業アイデアまとめ。|画像2

 

ペットボトル風車はペットボトルを加工する工程がやや多いですが、ペットボトルを活用した「苗カバー」は、ペットボトルの底を切り取り、種をまいたところや苗を囲うように差し込むだけ。簡単で取り組みやすく、苗を害虫や鳥、風から守るのに効果的です。

種や苗にペットボトルをかぶせることで期待できる効果は害虫防除だけではありません。他にも

  • 風や雨などの影響で種が飛散したり、植物が損傷するのを防ぐことができる
  • 風や日照で水分が蒸散するのを軽減するため、適度な湿度が保たれる
  • 昼間に温度が上昇することにより、低温期に生育が促進される

などが挙げられます。

また、このような効果から、育苗してから移植せずとも、直播で栽培できる範囲が広がるといった利点もあります。

ミニハウスともいえる苗カバーの作り方、設置方法は以下の通りです。

用意するもの

  • ペットボトル(透明のものが最適)
  • カッターやハサミ

手順

  1. ペットボトルのキャップとラベルを外す
    →キャップを外すと、適度な換気ができる。ラベルは外して使用するが、夏は強い日射で気温が上昇しすぎるため、遮光する目的で上半分のラベルを残しておくのがおすすめ。
  2. ペットボトルの底をカッターやハサミなどで切り取る
  3. 事前に播種や定植を行い、覆土や水やりを済ませてあるところに2を差し込む
  4. 土を寄せ、刈り草などで囲う

ペットボトルのサイズが小さいと、ペットボトルを土に押し込む際、種や苗の周りの土が動きやすいので、気になる場合には土が動きにくい大きめサイズのペットボトル(焼酎などが入っているもの)を使うのがおすすめです。

ペットボトル苗カバーを外すタイミングは作物や季節によっても異なりますが、作物の丈を基準とする場合は、丈がペットボトルの肩の6〜7割の高さに達したら外します。

ただし、苗カバーを外す前後で生育環境に大きな差が生じると、外した後の生育に悪影響が及ぶ可能性があります。外すときは風がなく、曇りか雨の日の夕方がおすすめです。高温期または低温期の天気が良い日、乾燥している日、強風の日は避けましょう。

また3〜5月の春先は、苗カバーを外した後に晩霜が来ないよう、種播きの時期や苗カバーを利用する時期を逆算するとよいです。6〜8月は天気が良い日が続くため、2〜3日ほど真っ直ぐ差し込んだペットボトルを傾け、作物の足元だけ外気にさらしてから外すのがおすすめです。

ペットボトルを外す際は間引きも同時に行います。ハサミ等で根首を切って間引きしましょう。

ペットボトル苗カバーは比較的長く活用できますが、使っているうちにペットボトル表面に汚れや傷がつき、透明度が低くなっていくと思いますので、2〜3年に1度交換します。

 

 

トンネル栽培の中に水入りペットボトルを入れると保温に役立つ!?

害虫の物理的防除や保温に役立つ!?ペットボトルを活用した農作業アイデアまとめ。|画像3

 

ペットボトル苗カバーの効果にも“昼間に温度が上昇することにより、低温期に生育が促進される”と書きましたが、ペットボトルに水を入れ、トンネル栽培している中に置いておくと保温に役立ちます。日中、ペットボトルの水が太陽の熱で温められ、日が落ちた後もしばらく保たれることが要因だと考えられます。

もちろん、作物には最適な生育環境がありますから、ペットボトル苗カバーと水入りペットボトルの保温効果を過信せず、あくまで生育の手助けをするアイテムとして活用してください。

 

参考文献

  1. 農文協編『農家が教える便利な農具・道具たち 選び方・使い方から長持ちメンテナンス・入手法まで』(農山漁村文化協会、2010年)
  2. モグラの退治方法「ペットボトル」の効果は?|小さな体で迷惑度は大|アライグマ・イタチ・ハクビシン駆除の事なら害獣駆除110番TOP
  3. ペットボトル風車の作り方と注意点|簡単にできて、見て楽しい!|トピックス一覧|WONDER! SCHOOL

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