代表的な緑肥を紹介。緑肥をすき込む際の注意点。

代表的な緑肥を紹介。緑肥をすき込む際の注意点。

土づくりや化学肥料を削減する観点から、緑肥に注目が集まっています。本記事では、代表的な緑肥の種類と、緑肥をすき込む際の注意点をご紹介していきます。

 

 

代表的な緑肥

代表的な緑肥を紹介。緑肥をすき込む際の注意点。|画像1

 

代表的な緑肥を科名ごとにまとめると

  • イネ科
  • マメ科
  • キク科
  • アブラナ科
  • ハゼリソウ科

が挙げられ、イネ科とマメ科の緑肥がよく知られています。

イネ科の代表的な緑肥

大きく育つ作物が多いものの、緑肥として活用する際には、出穂前の小さいうちにすき込むことも多々あります。

ソルゴーは、生育旺盛な緑肥で、根の量が多いのが特徴です。大きく育ち、多くの有機物を土壌に補給します。元々高温を好む作物なので、対暑性は高いですが、秋まきからの冬越えはできません。

土壌の物理性改善やハクサイ、キャベツなどの根こぶ病予防、ニンジンやダイコンのネグサレセンチュウ予防、バンカープランツ※そして大きく育つのを利用すれば、風の障壁にも役立ちます。

エンバクは、寒さに強いイネ科の作物です。暖地では秋播きができます。センチュウ抑制効果が期待されるほか、耕盤層を貫通するほど深く根を張るため、土壌の物理性改善、初期生育が旺盛なので、雑草抑制効果も期待できます。なおエンバクの種子は飼料のほか、食用のオートミールとしても知られています。

ギニアグラスは乾燥などに強い作物です。センチュウ対策や除塩作物としての使用がおすすめです。また肥料成分が少ない圃場でソルゴーを栽培すると、ソルゴーの葉が赤紫色になり生育が悪くなるといった連作障害が発生することがあります。ソルゴーを栽培しない期間には、ギニアグラスなど他のイネ科作物を導入するなどの対策が挙げられます。

※バンカープランツ

天敵を増やしたり温存する作物・植物のこと。バンカーは「銀行」の意味で、天敵を畑の銀行に貯金しておき、作物に害虫が発生したときにはいつでもこの銀行から天敵を払い戻せるようにするわけだ。無防除だと害虫増加の後を追うように天敵が増加するのが自然の摂理だが、それでは被害抑制に間に合わず、収穫が激減する。バンカープランツを設置すれば、天敵が害虫を待ち伏せする形に持ち込める。

引用元:バンカープランツ_現代農業用語集

マメ科の代表的な緑肥

マメ科の緑肥は、マメ科作物の根に共生する根粒菌によるチッソ固定の効果が期待できます。

ヘアリーベッチは、耐寒・耐雪性に優れており、越冬できます。ヘアリーベッチは他の雑草の生長を抑制する作用(アレロパシー作用)があり、耕作放棄地や果樹園の雑草対策に利用されます。ヘアリーベッチの根も深さ50cmまで伸長します。粘土層の土壌でヘアリーベッチを栽培すると、根に沿って土壌に亀裂ができること、ヘアリーベッチの根による水分吸収、蒸散作用などにより、排水性が改善されます。

クロタラリアは、温暖な環境を好む作物のため、ヘアリーベッチのような耐寒性はありませんが、痩せた土地でも旺盛に生育します。センチュウ対策に効果的な作物です。

キク科の緑肥用ヒマワリ

緑肥は景観作物としての需要もあります。とはいえ、ヒマワリの特徴は景観を良くするだけに留まりません。ヒマワリの根から排出される根酸には、土壌中の不溶性のリン酸を可溶性にする働きがあるため、植物がリン酸を吸収しづらい火山灰土の場所や気温が低くリン酸が吸収しにくい土地などで用いられています。

 

 

緑肥をすき込む際には

代表的な緑肥を紹介。緑肥をすき込む際の注意点。|画像2

 

緑肥はロータリーを使ったすき込みが一般的です。ただし、ロータリーに緑肥がからむことなくすき込むためには、短い期間で作業を行い、葉が青いうちに粉砕することが大切です。なぎ倒した後、何日も放置して緑肥が枯れてしまうと、ロータリーに絡みやすくなります。大きく育った緑肥も絡みやすいので、注意しましょう。

農山漁村文化協会編『現代農業 2022年05月号』(農文協、2022年)では、ソルゴーをロータリー耕だけですき込んでいる農家の事例が紹介されています。その事例を簡潔にまとめると

  1. 1.5〜2mほどに育ったソルゴーをすき込む
  2. 1回目の耕転では、トラクタの速度はゆっくり、ロータリーの回転は速くし、なぎ倒すイメージで行う
  3. 2回目の耕転では、倒れているソルゴーを粗く粉砕しながら、やや深めにすき込む
  4. 3回目の耕転では、より細かく粉砕するため、1、2回目の場所から少しずらして行う
  5. 翌日、もう一度耕す

となっています。

農研機構が公開している「緑肥利用マニュアル」では、緑肥の種類、草丈・生育ステージごとのすき込みに利用できる機械が記載されています(飼料17ページ)。そのほかにも、緑肥作物ごとの特徴や緑肥に関するQ&Aなども掲載されていますので、緑肥の導入を検討されている方はぜひ一度目を通してみてください。

 

参考文献

  1. 農山漁村文化協会編『現代農業 2022年05月号』(農文協、2022年)
  2. 緑肥利用マニュアル
  3. 緑肥のすゝめ|種・苗・球根・ガーデニング用品・農業資材の通販サイト【タキイネット通販】

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