世界で広がる「焼き芋」ブーム。日本産サツマイモが注目される理由

世界で広がる「焼き芋」ブーム。日本産サツマイモが注目される理由

近年、アジアを中心に日本の「焼き芋」が人気を集めています。タイや台湾などのアジア諸国で「ねっとり系」の甘い日本産サツマイモの評価が高まっています。どの国でどんな需要が生まれているのか、背景と輸出の現状を解説します。

 

 

アジア各国で焼き芋がブームに?!

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日本における焼き芋ブームは、2003年から始まった「第4次ブーム」が進行中です(参照元:焼きいもブームの歴史とその背景-2015年11月)。かつては冬の風物詩として親しまれてきた焼き芋が、現在ではコンビニやスーパー、専門店などで一年中手に入るようになり、スイーツ感覚で楽しむ若年層の人気も高まっています。

このブームは日本国内にとどまらず、アジア各国にも波及しました。たとえばタイでは、日本の総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が焼き芋を販売したことをきっかけに人気が急上昇。SNSでも「#JapaneseSweetPotato」などのハッシュタグとともに紹介され、行列ができる店舗も登場しました。財務省の「貿易統計」によると、タイへのサツマイモ輸出額は2018年の約1.4億円から、2022年には約8億円へと6倍に増加。タイ国内では冷やし焼き芋やスイーツへの応用など、現地アレンジも進んでいます。

輸出先として最も多いのは香港で、次にシンガポール、タイ、台湾と続きます。特にシンガポールでは、輸入量ベースでは日本は第5位(1位:ベトナム、2位:マレーシア、3位:インドネシア、4位:オーストラリア)ですが、金額ベースでは第3位。つまり、日本産サツマイモは他国産よりも高価格ながら選ばれているのです。品質や味に対する信頼が背景にあると考えられます。

 

 

アジアに輸出されるサツマイモの特徴

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興味深いのは、海外で好まれる理由が日本国内とは異なる場合があるということ。たとえば香港やシンガポールでは、小ぶりなサツマイモが人気です。日本では規格外として扱われがちな小さな芋に、海外では新たな価値が見出されています。輸送コストの観点からも、小ぶりな芋は扱いやすく、個食化の進む都市部では「食べきりサイズ」として重宝されています。

味覚傾向においては、日本でのブーム同様、従来のホクホク系よりもねっとり系が人気を博しています。タイにおける嗜好性調査(一般財団法人いも類振興会『海外における日本産焼き芋の評価―タイ・バンコクにおける嗜好性調査の報告―』)では、甘みが強く粘質な焼き芋が高く評価されました。現地産サツマイモは粉質で淡白な味わいが多いため、日本産の「濃厚な甘さ」が際立って感じられたようです。同財団のシンガポール調査でも、紅はるかを加工した焼き芋が高い評価を獲得。「糖度が高く、ねっとり系の焼き芋を好む傾向がある」と報告されています。

 

 

サツマイモが生む新たなビジネスチャンス

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日本産サツマイモの輸出は、地方産業の新しい希望としても注目されています。たとえば鹿児島県や茨城県では、輸出専用の加工施設を設け、品質管理やキュアリング処理(貯蔵中の腐敗防止と甘味向上)を徹底。国内市場での価格変動に左右されにくい輸出モデルを構築しつつあります。テレビ東京系「カンブリア宮殿」(2023年放送)でも、過疎地の農家が焼き芋輸出をきっかけに売上を伸ばした事例が紹介されました。輸出先でのブランド化や、冷凍焼き芋・スイーツ展開など、多角化も進んでいます。

また、健康志向の高まりも追い風です。サツマイモは食物繊維やビタミンCが豊富で、自然な甘味を楽しめる食品として評価されています。アジアの都市圏では、ダイエットやヴィーガン対応の素材としても注目度が上昇。日本産サツマイモは「おいしくて体にいい日本食品」としての位置づけを確立しつつあります。

アジアで広がる焼き芋ブームの背景には、日本独自の栽培技術と高品質な品種改良があります。特に「紅はるか」に代表されるねっとり系サツマイモは、強い甘みと滑らかな食感で、現地消費者の嗜好にマッチしました。さらに、小ぶりな芋への需要や健康志向の高まりといった市場の変化も追い風となっています。焼き芋は「日本の味」として世界に広がる存在となったのではないでしょうか。

 

参照元ウェブサイト

 

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