「紅はるか」ブームの背景とは!?サツマイモの定番品種に変化が生じている理由

「紅はるか」ブームの背景とは!?サツマイモの定番品種に変化が生じている理由

「紅はるか」とは、サツマイモの品種の一つです。国内外問わず、長きにわたりブームとなっている「焼き芋」ですが、紅はるかはこのブームの火付け役と言っても過言ではないのではないでしょうか。

焼き芋ブーム、もとい紅はるかブームの背景から、サツマイモの定番品種に変化が生じている理由についてご紹介していきます。

 

 

定番品種から新品種へ

「紅はるか」ブームの背景とは!?サツマイモの定番品種に変化が生じている理由|画像1

 

サツマイモの定番品種は「紅あずま」と呼ばれるものです。紅あずまはほくほくとした食感が特徴です。紅あずまは素朴な甘さが感じられます。一方、前述した紅はるかはねっとりとした食感が特徴で、甘みが強い品種です。加熱すると蜜のような濃厚な甘さが感じられます。

紅あずまと紅はるかはいずれも主要な品種です。日本の主要なサツマイモ生産地である千葉県では、2017年時点でその品種構成は紅あずまと紅はるかの2品種で全体の8割以上を占めていました(参照元:「べにはるか」の貯蔵期間および 貯蔵温度と焼きいもの食味)。

その後、需要に合わせて品種構成に変化が表れます。紅あずまが大きく減少し、紅はるかのようなねっとりとした食感が特徴の品種が増加したのです。一般財団法人いも類振興会(以下、いも類振興会)が公開した2024年の情報によると、紅あずまと紅はるかの品種構成は以下のように変化しています。

平成29(2017)年 令和4(2022)年

紅あずま(ホクホク系)

57.1%

26.0%

紅はるか(ねっとり系) 24.5%

41.2%

また、食感がねっとり系に近い、なめらかでとろけるような食感が特徴の「シルクスイート」は10.4%から29.8%に増加しています(参照元:千葉県におけるサツマイモの 作期拡大及び新品種活用の取り組み)。

市場ニーズの変化

“需要に合わせて品種構成に変化が表れ”た、と前述した通り、ここ数年で市場ニーズに変化が生じています。

いも類振興会理事長・狩谷昭男氏の論述『焼きいもブームの歴史とその背景』によると、現在まで続く焼き芋ブームは「第4次ブーム」にあたり、2003年から始まったとされています。同論述では、第4次ブームの背景についてさまざまな理由が挙げられていますが、その中に「しっとり・ねっとり系品種の育成・普及」があります。

 焼きいも用品種を食感・肉質で分類すると、ほくほく系(粉質)、しっとり系(中間質)、ねっとり系(粘質)に区分できる。2002年以前までは、「ベニアズマ」などのほくほく系が主流であった。2003年以降からは、しっとり・ねっとり系の安納いもにも注目が集まった。2007年にしっとり・ねっとり系の甘い「べにはるか」が育成され、2015年には人気品種のトップに躍り出た。

引用元:焼きいもブームの歴史とその背景-2015年11月

期待高まる更なる新品種

本記事では、定番品種として紅あずま、新品種として紅はるかに注目してきましたが、品種改良はまだまだ続いています。2021年8月に出願公表されたサツマイモの新品種「あまはづき」は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構が開発したものです。紅あずま、紅はるかよりも多くの糖分を含んでいるのが特徴です。もともと糖分が多いという特徴が、出荷までにかかる貯蔵工程を減らすことにつながっており、早期の出荷ができます。複数の病虫害に抵抗性を示すという特徴もあり、生産等にかかるコスト削減への期待が高まります。

需要増に対してこんな課題も

焼き芋ブームを受けて、サツマイモの価格は上昇傾向にありますが、全体的な生産量は減少傾向にあります。背景の1つとして生産者の高齢化があります。サツマイモは重く、収穫や出荷の際の負担となっています。そのほかには病害の影響があります。2018年に沖縄県で確認されてから、日本各地に勢力を広げている「サツマイモ基腐病」に感染すると、茎や葉の変色、芋の腐敗が進行してしまいます。

 

 

サツマイモの変化はまだまだこれから!?

「紅はるか」ブームの背景とは!?サツマイモの定番品種に変化が生じている理由|画像2

 

その一方で、地球全体で見るとネガティブな課題が生産地に影響を与えている例も見逃せません。気候変動の影響が、これまで生産に適していないとされていた冷涼な地域でのサツマイモ栽培を可能にしています。サツマイモの栽培には温暖な気候が適していますが、近年の気温上昇により北海道でも栽培条件を満たすようになりました。

紅あずまから紅はるかへ。サツマイモの定番品種の交代は、単なる品種改良の成果ではなく、消費者の嗜好変化と市場の流れを映すものといえます。焼き芋人気の高まりとともに、「ねっとり・しっとり系」へのニーズが拡大し、生産現場でも新品種の導入が進みました。一方で、生産者の高齢化や病害など、課題も少なくありません。それでも、新品種の開発や気候変動による新たな産地の登場など、サツマイモを取り巻く環境は変化を続けています。これからも多様な味わいと可能性を持つサツマイモの進化から目が離せません。

 

参照元ウェブサイト

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