ナガエツルノゲイトウはなぜ防除しにくい?水田で被害を広げないための防除策とは

ナガエツルノゲイトウはなぜ防除しにくい?水田で被害を広げないための防除策とは

ナガエツルノゲイトウは、南米原産のヒユ科の多年草です。河川やため池、農業用水路、水田などに生育し、非常に高い繁殖力を持つことから、外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定されています。

水田で大量に増えると、イネの生育を妨げ、収量が減ることがあります。茎がコンバインに絡まり、収穫作業が難しくなることもあります。また、水路に広がると、水の流れを悪くするおそれもあります。

 

 

なぜ防除しにくいのか

ナガエツルノゲイトウはなぜ防除しにくい?水田で被害を広げないための防除策とは|画像1

 

小さな茎や根から再生する

ナガエツルノゲイトウは切れた茎や根から再生できるため、防除が難しいとされています。

国内に分布しているナガエツルノゲイトウは、基本的に種子をつくらず、主に茎や根の一部から増えていきます。茎には「節」と呼ばれる部分があり、節を含む数cmほどの茎でも、条件が整えば根や芽を出します。

茎は中が空洞で、ストローのような形をしています。少しの力でも折れやすいため、刈払機で刈ったり、トラクターで耕したりすると、多数の小さな断片ができます。その一つひとつから再生する可能性があるため、除草したつもりが、かえって発生範囲を広げてしまうことがあります。

水路を流れて別の場所へ広がる

折れた茎は水に浮きやすく、河川や農業用水路を流れて移動します。水田には主に給水口から入り込み、流れ着いた場所で根を出して増えていきます。

そのため、自分の水田だけで防除しても、上流の水路やため池にナガエツルノゲイトウが残っていれば、再び茎の断片が流れ込む可能性があります。

水中でも陸上でも生育できる

ナガエツルノゲイトウは水辺を好みますが、ある程度の乾燥にも耐えられます。そのため、水田内だけでなく、畦畔や水路の斜面などでも生育できます。

水田内の株を取り除いても、畦畔や水路に残っている株から茎が伸びたり、切れた茎が水田へ入ったりします。

また、ナガエツルノゲイトウは冬を越して何年も生きる多年草です。地上に出ている葉や茎が枯れても、土の中の根や茎が生き残っていれば、再び芽を出します。そのため、一度の除草だけで完全に取り除くのは困難です。

 

 

イネを守りながら防除する必要がある

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水田では、ナガエツルノゲイトウだけを枯らし、イネには影響を与えない方法を選ばなければなりません。水路で除草剤を使用する場合には、周辺の植物や水生生物への影響にも注意が必要です。

発生が少ないうちに取り除く

ナガエツルノゲイトウは、広がる前に見つけて対処することが重要です。

発生量が少ない場合は、茎や根を残さないように、根元から丁寧に抜き取ります。小さな断片から再生するため、作業後も同じ場所を定期的に確認し、再び芽が出ていないか調べましょう。

ナガエツルノゲイトウは特定外来生物です。生きたまま別の場所へ運んだり、保管したりすることは原則として禁止されています。抜き取った株は袋などに入れて密閉し、周囲へ落とさないようにします。具体的な処分方法は、自治体や農業改良普及センターなどに確認してください。

給水口にネットを設置する

水路から茎が流れてくる場合は、水田の給水口に目の細かいネットなどを取り付ける方法があります。これにより、流れてきた茎が水田内へ入るのを防ぎます。

ただし、ネットに植物やごみがたまると水が流れにくくなります。設置後は定期的に確認し、たまったものを取り除く必要があります。

上流の水路やため池で大量に発生している場合は、農業者だけで対処するのが難しいこともあります。土地改良区、水路管理者、自治体などに連絡し、地域で情報を共有することが大切です。

むやみに刈払機を使わない

畦畔にナガエツルノゲイトウが生えている場合、刈払機で刈ると茎が細かく切れ、周囲や水田内へ飛び散るおそれがあります。そのため、発生場所では刈払いを避け、使用できる除草剤を中心に防除します。

水田内では、複数の除草剤を適切な時期に使う「体系処理」の効果が農研機構の研究で示されています。

例えば、移植後にピラクロニルを含む除草剤を散布し、再び芽が出始めた時期などに、フロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を散布する方法です。この方法を2年間続けることで、地上の葉や茎だけでなく、再生のもとになる地下部分も大きく減らせることが確認されています。

ただし、使用できる農薬や散布時期は、製品や栽培条件によって異なります。必ず最新の農薬登録とラベルを確認し、農業改良普及センターやJAなどに相談したうえで使用してください。

農機についた断片を別の水田へ運ばない

発生している水田で使用したトラクターやコンバインには、茎や根、泥などが付着することがあります。そのまま別の水田で作業すると、ナガエツルノゲイトウを持ち込んでしまうかもしれません。

作業するときは、発生していない水田を先に回り、発生している水田を最後にします。作業後は農機をよく洗い、茎や根、泥を落としましょう。洗い落とした断片が水路へ流れ込まないよう、洗浄する場所にも注意が必要です。

 

 

一度の駆除で終わらせないことが重要

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ナガエツルノゲイトウは、一度まん延すると一回の抜き取りや薬剤散布だけで根絶するのは困難です。一方、早期発見、給水口での侵入防止、適切な除草剤の体系処理、農機の洗浄、地域内での情報共有を組み合わせれば、密度を下げて被害と拡散を抑えることは可能です。

疑わしい植物を見つけた場合は、むやみに刈り取ったり移動させたりせず、まず自治体、病害虫防除所、農業改良普及センターなどへ連絡することが、被害拡大を防ぐ第一歩です。

 

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