新規就農に興味をもったら、まずは農業体験を〜②千葉県の事例〜

新規就農に興味をもったら、まずは農業体験を〜②千葉県の事例〜

農業者の高齢化や減少が課題視されている今、新規就農者が増加傾向にあると聞きます。しかしその一方で、新規就農者の離農率の高さが明らかになってきました。

2013年の古いデータではありますが、農林水産省が行った「新規就農者調査」によると、40歳未満の新規就農者数は1万3千人から1万5千人程度で推移しています。しかし「生活が安定しない」ことなどを理由に、新規就農者の3割が5年以内で離農していると言われています。

全国新規就農相談センターの調査によると、新規参入者の就農理由には

  • 自ら経営の指揮を取れるから
  • やり方次第で儲かるから

などの理由が挙げられるようですが、その一方で就農10年以内の新規就農者に現在の農業所得について聞くと、約7割が「生計が成り立っていない」と答えています。理想と現実にギャップが生まれているのです。

この理想と現実のギャップを埋めるためにも、新規参入を志す人にはまず「農業体験」に参加してほしいものです

農業体験から始めることで、農業への興味・関心をより膨らませることができるか知るだけでなく、農業者としてやっていく覚悟ができるかどうか、農業者の適性があるかどうかを知るためにも役立ちます。

  • 農業で生計を立てたい人
  • 農業経験はないが農業に興味がある人

が農業を始める場合、まずは「農業体験」から始めましょう。

 

 

新規就農者に対する千葉県の動き

 新規就農に興味をもったら、まずは農業体験を〜②千葉県の事例〜|画像1

 

本記事では、新規就農者に対する千葉県のアプローチについていくつか紹介していきます。

農業を始めるには、農業技術や経営知識の習得、農地の確保、農業機械や施設等の確保など、多くの資金や労力が必要です。これらの資金や労力を無駄にしないように、できるかぎりの準備をしてから就農することが大切です。

引用元:ちばで農業を始めるための新規就農ガイド

就農相談会の開催(農林水産就業相談会)

千葉県では就農相談を受け付けています。就農に至るまでの相談や昨今増えつつある農業法人への就職相談も行われています。

新規就農相談センターへの相談受付

千葉圏内に13ヶ所の新規就農相談センターがあります。就農相談はもちろん、農業技術等の指導や就農した後の農業経営相談も受け付けています。電話やメールで相談することも可能ですが、相談内容が具体的に決まっているのであれば、センターへ直接足を運び面談をお願いするのがおすすめです。

 

 

まずは農業体験を〜千葉県の事例〜

新規就農に興味をもったら、まずは農業体験を〜②千葉県の事例〜|画像2

 

千葉県立農業大学校

一通り基礎から学ぶなら、千葉県立農業大学校がおすすめです。様々なコースがあるので、自身が目指す農業の形にもっとも合うコースを選びましょう。

  • 農学科
    高等学校卒業程度の者→農業未経験者向け
  • 研究科
    農学科卒業者、農学系短期大学卒業程度の者→農業に関する知識がある人向け
  • 就農準備講座
    社会人等を対象にした入門コース、土曜日に開催
  • 農業者養成研修
    新規就農希望者向けの本格的研修、3、6、12ヶ月の3コースがある
  • 就農実践研修
    「農業者養成研修」修了生等が対象、1年間

入学希望者を対象とした一日体験入学も開催されています。キャンパスツアーの後、11もの実習体験の中から1つを選び、実際に栽培管理や収穫体験することができます。

法人への就職・研修

「本格的に農業を始めたいが、生計が成り立たないことに不安を感じる」という人は、農業法人に就職するのも一つの手です。農業法人では給与が支給され、また就業規則も整備されています。一定の収入が得られますし、労働条件を事前に確認することもできます。“サラリーマン”のような雇用形態で働きながら、農業技術を学ぶことができるので、「生活を安定させた後に独立したい」という人にはおすすめです。

いきいき帰農者研修

農業に取り組む意欲のある定年帰農者(定年退職後に農村へ戻った後、農業を行う農村出身者)等を対象とした研修があります。

農業版ハローワーク

千葉「市」で行われている「農業版ハローワーク」。本格的な就農を考える一歩手前の段階の人におすすめです。

  • 農家で働いてみたい
  • 農家でボランティアをしてみたい

という市民と農家をつなぐものです。

「ハローワーク」とあるものの、国が運営するハローワークのように職業紹介や就職支援サービスは行われていませんが、登録した市民と農家の間で、作業内容やそれに伴う賃金などを交渉することができます。

新規参入を志す人の「まず体験したい」という思いを叶えるには、ぴったりの「農業体験」です。

大地と海のグリーン・ブルーツーリズムinちば

「農業に触れたことがないので、まずは体験から」「農家と直接交渉する本格的な農業の前に、まず自然と触れ合いたい」そんな人には「大地と海のグリーン・ブルーツーリズムinちば」での農業体験がおすすめです。

「グリーン・ブルーツーリズム」は、都市の人々を対象に、農山漁村での生活や、農林漁業の体験を通じて、自然、文化、人との交流をはかるもの。

「大地と海のグリーン・ブルーツーリズムinちば」では、千葉県内の各地域で開催されているイベントを知ることができます。気になるイベントに参加して、農業に触れてみましょう。

そこでもし「農業を始めたい」という気持ちが芽生えたら、「農業版ハローワーク」を使って先輩農家さんの下で農業体験を積んだり、「農業大学校」への入学や「農業法人」への就職を考えてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献

  1. (3)担い手の動向:農林水産省
  2. 研修生の35%が4年以内に離農 総務省が農水省に改善勧告 マイナビ農業
  3. ちばで農業を始めるための新規就農ガイド
  4. 農業法人へ就職を考える方へ、知っておいて欲しいポイント farm+biz
  5. 千葉市:農業版ハローワーク、あなたも農作業のお手伝いをしてみませんか
  6. 大地と海のグリーン・ブルーツーリズムinちば

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