集中豪雨が増える今、潅水はどう考える?大雨前後の水管理

集中豪雨が増える今、潅水はどう考える?大雨前後の水管理

近年、短時間に大量の雨が降る「集中豪雨」が各地で問題になっています。そんな集中豪雨の多い中で、どのように潅水の判断をすべきか考えていきます。

 

 

潅水の基本

集中豪雨が増える今、潅水はどう考える?大雨前後の水管理|画像1

 

潅水は、作物に必要な水を補う作業です。作物の発芽や生育などに関わり、水が不足すれば生育が遅れ、収量低下につながる一方で、水が多すぎると根腐れや病害の原因になります。

作物の根は水や肥料を吸い上げるだけでなく、土の中で呼吸もしています。土中は土の粒の間にすき間があり、そこに水と空気が入っています。そのため、適度に湿った土においては、根は水や養分を吸い上げながら呼吸ができます。

しかし、集中豪雨によって土壌のすき間が水で満たされると、土中への酸素供給が妨げられ、根が酸素不足に陥りやすくなります。冠水や滞水が長引くほど、根傷みや生育障害の危険性が高まります。

集中豪雨の直後は排水を優先

つまり、集中豪雨が多い中での潅水は、作物の根が水を吸収でき、同時に呼吸に必要な酸素も得られる状態かを考えながら判断することが大切です。そのため、大雨が降った後は、水を抜くことが重要であり、土の表面の濡れ具合だけでなく、畝間に水が残っていないか、根のある深さが過湿になっていないかを見る必要があります。

特に野菜類では、畝間に水がたまったままだと根が傷みやすくなります。また、浸水のあとには、ピシウム菌や疫病菌などによる病害が発生しやすくなるとされています。

繰り返しになりますが、大雨のあとにまず確認したいのは水が抜けているかどうかです。排水溝が泥や残さで詰まっていないか、畝間の水が排水路につながっているかを確認し、必要に応じて溝をさらう、ポンプで水を抜くなどの対応を行います。

潅水が必要になる場合はある

一方、集中豪雨の後の潅水は不要とも言い切れません。集中豪雨のあと、晴れて気温が上がると葉からの蒸散が激しく、水分不足になりやすいとされています。豪雨後に作物がしおれ、根域の土壌が湿っている場合は、すぐに潅水すると過湿を悪化させるおそれがあります。

そのため、土の中まで乾き始めていることを確認したうえで、必要な場合に限り少量ずつ潅水します。

集中豪雨後の管理としては、根や草勢の回復を促すために薄めた液肥や葉面散布を行うことも対策として挙げられます。ただし、この場合も大量に与えるのは避けます。

作物のしおれ方、土の湿り具合、その後の天気予報などを確認しながら、必要最小限の潅水にとどめることが大切です。

天気予報を見て判断

集中豪雨が予想される際には、直前の潅水にも注意が必要です。すでに土壌水分が十分にある状態で潅水し、その後に大雨が降ると過湿になりやすくなります。特に粘土質の土、水はけの悪いほ場、低い場所にある畑では、根傷みのリスクが高くなるので注意してください。

農林水産省の事例では、豪雨への備えとして、天気予報や水位情報を把握し、降雨前からポンプ運転の準備や連絡体制を整える事例が紹介されています。大規模な排水施設の事例ではありますが、個々の農家にとっても「雨が降ってから考える」のではなく、雨量予測を見て事前に水管理を調整する考え方は参考になります。

 

 

まとめ

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集中豪雨の後は、まず排水を優先してください。畑に水が残っている状態で潅水を行うと、根の酸素不足や病害を招くおそれがあります。ただし、大雨後に晴天と高温が続くと、根が傷んだ作物は水を吸えずにしおれることがあります。その場合は、土壌と作物の状態を確認し、必要最小限の潅水を行います。

なお、季節によって潅水方法が異なる点も忘れてはいけません。夏は気温が高く乾燥しやすいため、朝早く、または夕方に潅水するのが基本です。冬は気温が上がった午前中に行います。冬は土が乾燥しにくいので、水の与えすぎに注意します。

 

参照サイト

参考文献:高津佐和宏、寺坂祐一、潮田武彦「ゼロからはじめる稼ぐ農業」(あさ出版、2025年)

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