6次産業の販売にコツはあるのか。どう差別化したらいい?

6次産業の販売にコツはあるのか。どう差別化したらいい?

農産物を加工してジャム、漬物、菓子、惣菜、調味料などをつくる6次産業化は、農産物に新たな価値を加えられる取り組みです。規格外品を活用できる、保存性を高められる、地域の特産品として売り出せるなど、多くの可能性があります。

しかし、実際に商品を作ってみると、思ったほど売れなかったり、直売所に置いても手に取ってもらえなかったりといった壁にぶつかることがあります。価格を上げると売れないのではないかという不安も生じるはずです。

商品販売において大切なのは、よいものを作る=自然に売れると考えないことです。実際に販売する際には、誰に、どの場面で、どんな理由で買ってもらうのかを言葉にできるようにし、販売先やラベル、価格設定、商品説明の方法まで含めて設計する必要があります。

 

 

売れない原因には何があるか

6次産業の販売にコツはあるのか。どう差別化したらいい?|画像1

 

6次産業の商品が売れない原因が味や品質にあるとは限りません。むしろ味や品質がよくても、商品価値が伝わっていなかったり、売る体制が整っていなかったりすることが問題となることも多くあります。

たとえば直売所に加工品を並べるだけでは、消費者にその商品がどのように作られ、何がおいしく、どう使えばよいのかを伝えることはできません。生産者にとっては思い入れのある商品であっても、初めて見る人は「よく知らない」「使い方がわからない」「価格が少し高い」といった感想を抱いてしまう場合があります。

消費者に伝わっていない、ということは情報が足りていない、ということです。そこで、消費者が購入を判断しやすくなるよう、原料のこだわり、味の特徴、食べ方、保存方法、開発した背景などを伝える必要があります。

また、生産から販売をすべて生産者ひとりで抱え込んでしまうことはおすすめできません。売れ行きを妨げる原因となる可能性すらあります。というのも、農産加工品の販売には、出荷、陳列、在庫管理、欠品補充、売れ残りの回収、売上管理、PR、取引先とのやりとりなど、多くの作業があります。製造と農作業に加えて販売まで一人で行えば、販路開拓や改善に使う時間が不足しがちです。

まずは対面販売をしてみる

理由は消費者が「買わない理由」を知るためです。

直売所のイベントやJAの催し、地域で開催されるマルシェなど、実際に消費者と会話しながら販売できる場に身を置くと、商品の強みと弱みが見えやすくなります。対面販売で得られた質問(たとえば「どのくらい日持ちしますか」「冷凍できますか」など)は、商品の強みと弱みを理解できるだけでなく、売り場づくりやラベル作成のヒントにもなります。

残念ながら、売り手が伝えたいことと買い手が知りたいことは必ずしも一致しません。そのため、売れなかった場合には落ち込むこともあるかもしれませんが、売り手と買い手の思考の“ズレ”を知る貴重な機会でもあります。

「珍しさ」に注意

また、商品を販売する上でよく聞くキーワードに「差別化」がありますが、これは他にない珍しい商品を作ることではありません。むしろ、珍しさだけでは継続的な購入につながりにくい場合があります。そうではなく、やはり大切なのは、消費者がそれを買う理由を明確にすることです。

買う理由はさまざまです。

地元産である
素材の味を活かしている
忙しい日の食卓にすぐ使える
贈答品として見栄えがよい
規格外農産物を活用して食品ロス削減につながる など

買う理由は消費者によりけりですが、生産者側のこだわりを先で挙げた消費者の買う理由に置き換えるだけでも、消費者の購買意欲を高めることにつながります。たとえば、「自家栽培のにんじんを使用」よりも「にんじんの甘みを生かし、子どもも食べやすい」といった売り出し方の方が、食卓での使いやすさが想像しやすいのではないでしょうか。

価格設定に注意

高いと売れないからと価格を低くしすぎると、売れても利益が残りません。

6次産業の商品は、手間も原材料費もかかります。少量製造であれば、容器代、ラベル代、加工場の利用料、光熱費、人件費、配送費などを含めると、想像以上に原価が高くなることがあります。利益が残らなければ、製造を続けることも、販売協力者に手数料を払うことも難しくなってしまいます。

よって、価格設定ではまず原価を把握してください。この際、原材料費だけでなく、ラベルや加工にかかる時間、配送や販売手数料、廃棄リスクまで含めて原価を出します。そのうえで、直売所やネット販売、イベントでの販売などの販路を決めるのが大切です。

ラベルとパッケージに注意

前提として、農産加工品で最も大切なのは中身の品質です。しかしながら、売り場でまず消費者の目に入るのは味ではなく見た目です。そのため、ラベルやパッケージにも木を配る必要があります。

手作り感や素朴さを感じられるデザインも魅力的ですが、注意しなければならないのは以下の点です。

パッと見て何の商品かわからない
文字が読みにくい
価格に対して安っぽく見える など

ラベルやパッケージは生産者が不在の売り場でも商品の魅力を伝える方法といえます。そのため、商品名、主な原材料、味の特徴、おすすめの食べ方、などの内容を短い言葉で伝える必要があります。

必ずしも外注しなければならないわけではありません。ただし、見た目を整えることも販売においては大切です。

 

 

伝えることを重視する

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繰り返しになりますが、農産加工品で最も大切なのは中身の品質です。しかし販売においては、商品の魅力の伝え方も重要です。味や品質が原因で売れないのではなく、商品の説明不足、価格設定、ラベルデザインにあることも十分にあります。

売れ行きが芳しくない場合には、対面販売で消費者の声を聞きます。買う理由と買わない理由を知る近道といえます。また、自身が売り出したい商品の強みを消費者の生活場面に結びつける工夫をします。

商品は売り場に置くだけで自然に売れるものではありません。商品が売れないことで落胆することもあるかもしれませんが、そういう時こそチャンスです。「誰に、何を、どう伝えるか」を見直す機会だと捉え、単なる加工品ではない商品を作っていく必要があります。

 

参照サイト

参考文献:尾崎正利「Q&Aでよくわかる 知識ゼロからの農産加工入門」(家の光協会、2019年)

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