今さら聞けない、アレロパシーとは?

今さら聞けない、アレロパシーとは?

アレロパシーとは、“植物が放出する化学物質が他の生物に阻害的あるいは促進的な何らかの作用を及ぼす現象”のことです(引用元:アレロパシー「他感作用」について | 営農通信 | JAあつぎ)。

アレロパシーの例として、外来種のセイタカアワダチソウが他の植物の生育を阻害する物質を根から放出することがよく知られています。一方で、アレロパシーは農業分野において役に立つものでもあります。

注:本記事で紹介する植物の働きが、すべてアレロパシーのみの働きであるとは限りません。植物同士の競合や害虫の行動変化、土壌微生物の働きなど、複数の要因が関係している場合があります。ほかの作用が含まれる可能性もあります。

 

 

アレロパシーの作用

今さら聞けない、アレロパシーとは?|画像1

 

アレロパシーは、前述したセイタカアワダチソウの例のように、他の生物に害を与えるもののような印象を受けるかもしれませんが、冒頭で引用した通り、“促進的”な作用もあります。とはいえ、下記で紹介する農業で利用されるアレロパシーは、他の生物の成長を阻害する面を利用したものが多いです。

なお、アレロパシーが作用する道すじは大きく分けて3つあります。

  • 葉などから揮発性物質として分散される
  • 葉や植物残渣、落葉・落枝などから雨などによってこし出される
  • 根など地下部からにじみ出る

余談ですが、アレロパシー物質の1つである「フィトンチッド」は、樹木や植物が自らを守るために発散する揮発性の化学物質なのですが、人に対しては有益に働き、森林浴が心身にもたらすリラックス効果の源泉として知られています。

 

 

アレロパシーと農業利用

今さら聞けない、アレロパシーとは?|画像2

 

まずは、農業で利用される代表的な例をまとめます。

  • 緑肥作物で雑草を抑制する
  • セリ科の混植でアブラナ科のモンシロチョウ被害を防ぐ※
  • ネギ、ニラなどの混植がウリ科の病気を防ぐ※
  • マリーゴールドなどが土壌センチュウを防ぐ※

※後述するコンパニオンプランツの効果にはアレロパシーが関係する場合もありますが、害虫の行動変化や土壌微生物の働きなど、別の仕組みによるものもあります。

まず、マメ科のヘアリーベッチは畑の表面をおおうように茂ることから、物理的に日光をさえぎって雑草を生えにくくします。

そこに、アレロパシーの効果が加わります。ヘアリーベッチの根や植物体から出る成分に雑草を抑える働きがあります。とくに注目されているのがシアナミドという成分です。これは、雑草の種が芽を出したり、若い芽が育ったりするのを妨害する働きがあると考えられています。

また、JAあつぎの営農通信によると、ヘアリーベッチの根圏土壌に共生する微生物には抗菌殺虫成分を合成するものがおり、キウイフルーツ園において「かいよう病」の発生を抑制したり、トマトや大豆などの生育を促進する効果が確認されたと記載されています。

ムギ類は比較的強いアレロパシー活性をもつとされています。それを利用して、エンバクやライ麦を栽培することでその他の雑草が育ちにくい環境をつくります。

一方で、アレロパシーの阻害効果は農作物の減収につながることもありますから注意も必要です。たとえばトウモロコシ栽培において強力な雑草として知られるイチビは、ダイズや綿花の生育も大幅に減収させます。栽培作物の生育状況を観察し続けることは必要不可欠です。

そのほかのアレロパシーの代表例は「コンパニオンプランツ」の名称でも知られている事例です。コンパニオンプランツは複数の植物を組み合わせて植えることで、お互いの性質の違いを利用して病害虫の発生を防ぐ、生育を促す関係をもつ植物を指します。

関連記事:コンパニオンプランツのススメ。コンパニオンプランツが役立つのは家庭菜園だけじゃない – 農業メディア│Think and Grow ricci

アレロパシーの活用は減農薬化にもつながりますが、減農薬に役立てられるか、減収につながってしまうかは、それぞれの植物の特性を知っていることが重要になってきます。

うまく活用できれば、農薬を減らしたり農作業の省力化につなげたりといったメリットもあります。植物の特性を活かしてみてください。

 

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