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【種苗法の最新情報】「種苗法改正案」の内容と今後危惧されることについて

【種苗法の最新情報】「種苗法改正案」の内容と今後危惧されることについて

「農家の自家増殖原則禁止」が話題となっている種苗法。自家増殖が禁止となるのは「登録品種のみ」とありますが、禁止品目は続々と追加されています。そんな種苗法に動きがありました。2020年2月19日の日本農業新聞の見出しには「種苗法改正案を了承」の文字が。

種苗法の最新情報について、わかりやすくまとめます。

 

 

種苗法改正案の背景

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種苗法第一章第一条には

この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。

引用元:種苗法

とあります。

種苗法は「新しく開発した植物の品種を保護すること」が目的です。そして注目が集まった「農家の自家増殖原則禁止」の背景には、日本で開発された優良品種が海外へ流出してしまっていることがあります。

流出ルートは明らかになっていませんが、日本で開発されたイチゴの品種「とちおとめ」やブドウの品種「シャインマスカット」などが海外に流出し、流出先で生産されていることが報じられました。

海外に流出した日本ブランドの品種がそこで生産されてしまうと、日本のブランド品種を輸入せずとも同じ品種が生産できることに。となると、日本ブランド品種を輸出する際の障害になりかねません。

「農家の自家増殖原則禁止」は、日本ブランド品種を不当な海外流出から守るためにあるのです。

なお、「自家増殖原則禁止」となるのは「育成者権」が認められている作物のみです。禁止品目に入っていない作物であれば自家採種できるため、現時点では在来種や固定種は自家採種を行うことができます。

ただし、在来種や固定種にも、海外流出を止める術として「自家増殖原則禁止」が及ぶ可能性はあると言えます。

 

 

種苗法改正案のポイント

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「種苗法改正案」の内容は、先で紹介した海外流出の問題に関わります。

改正案の主なポイントは以下の2つです。

①海外流出や特定地域以外での栽培を制限する
②登録品種の自家増殖を許諾制にする

1つ目は、品種登録の際、輸出可能な国や国内の栽培を認める地域を指定できる利用条件をつけられるというもの。利用条件に違反した場合には、10年以下の懲役または個人で最大1000万円、法人で最大3億円の罰金が科せられます。

2つ目は、登録品種の自家増殖を許諾制にするというもの。「農家の自家増殖原則禁止」の禁止品目として登録されている品種に限り、育成者権者の許諾が得られるよう申請すれば、収穫物の一部を種苗として使うことが可能になります。

もちろん、先で紹介した在来種や品種登録期間が切れている品種(一般品種)、品種登録がされたことがない品種は自家増殖が制限されていませんので、許諾申請は必要ありません。

現在、日本の優良品種の海外での無断栽培が問題となっていますが、現行法では植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)加盟国であれば登録品種でも持ち出し可能となっています。なお農家が自家増殖した後の海外への持ち出しは現行法でも違法です。

そんな現状をふまえ、農林水産省は「増殖の実態を把握しないと抑制できない」として、「栽培の制限」と「許諾制」を説明しています。

 

 

許諾制についてはこんな声も

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「日本の種子を守る会」は、改正案に記載されている「許諾制」について要請を行いました。

農林水産省は「許諾制」の手続きについて、円滑に許諾申請ができるようひな型を作成し、JAなどを通じて団体申請もできるようにする考えを示しています。

しかし「日本の種子を守る会」は、日本の品種は公的研究機関で開発されたものが多いことから、許諾制になったとしても

  • 事務手続きが複雑になるのではないか
  • 高齢化した農業者の負担が大きくなるのではないか
  • 地域の農業の実態に合わないのではないか

などの問題点を指摘しています。

優良品種の海外流出を止めたい背景は理解できますが、農家の負担が大きくなってしまうのは避けたいところ。今後も種苗法の動向はチェックしておきましょう。

また、種苗法改正案に意見がある場合には、ぜひパブリックコメント(意見公募)を送りましょう。パブリックコメントの開始時期と〆切時期は残念ながらアナウンスされません。しかし意見募集中の内容に反対意見が届かなければ、実質、国民の了承を得られたことになってしまいます。

賛成でも反対でも、意見がある場合には積極的に届けたいものです。

パブリックコメント

2020年3月10日現在、「種苗法改正案」についてのパブリックコメントの募集はありませんが、こまめにチェックしておくことをおすすめします。

 

参考文献

  1. 種苗法改正案を了承 農家負担減で指摘 自民農林合同会議 日本農業新聞
  2. 『現代農業2月号』, 2019年2月1日, 一般社団法人 農村漁村文化協会
  3. 「自家増殖」で要請 現場に合わない種苗法改正 日本の種子を守る会 JAcom
  4. 日本の種子(たね)を守る会

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