ドローン農薬散布のシェアリングサービス「DRONE CONNECT」とは

ドローン農薬散布のシェアリングサービス「DRONE CONNECT」とは

「ドローン」という言葉は、ここ数年でとても身近なものになりました。さまざまな用途に用いられるドローンですが、農業分野でも、ドローン活用は広がっています。農業でのドローン活用事例には、鳥獣害対策として赤外線サーモカメラを搭載したドローンによる生息実態調査や農作物の生育状況や病害虫の発生を診断することができるカメラを搭載したドローンによる各種センシングなどが挙げられます。そして比較的ニーズの高い利用方法には、ドローンによる農薬(または肥料等)散布が挙げられます。

本記事ではドローンによる農薬散布に着目し、ドローン農薬散布の現状と、巷で注目を集めているサービス「DRONE CONNECT」についてご紹介していきます。

 

 

ドローン農薬散布の流れ

ドローン農薬散布のシェアリングサービス「DRONE CONNECT」とは|画像1

 

まずはドローンによる農薬散布の流れについて紹介します。

農業用ドローンにはさまざまな機種がありますが、詳しい機種については割愛します。タンクに薬剤を搭載したドローンは、操縦士の操作により圃場の上を飛行し、ドローンに装備されたノズルから農薬が散布されます。

これまで主流だった無人ラジコンヘリは、広大な面積への散布が可能であり、作地面積が少なければドローンよりも安価な場合がありますが、その一方で、機体が大きいために移動しにくく、狭い畑での散布がしにくいこと、騒音などがデメリットとして挙げられます。

ドローンはそんな無人ラジコンヘリに比べると、全面散布にもピンポイント散布にも適しており、騒音も少ないため、使いやすいといえます。

 

 

ドローン農薬散布の現状

ドローン農薬散布のシェアリングサービス「DRONE CONNECT」とは|画像2

 

農林水産省『農業用ドローンの普及に向けて(農業用ドローン普及計画)~ ドローン × 農業 のイノベーション ~』(平成31年3月)によると、農業用ドローンの機体登録数が平成29年3月から平成30年12月末までに6倍強に急増、同期間のオペレーター認定者数も約5.5倍に増加するなど、農業ドローンの利用数が急激に拡大していることがわかります。

同じく農林水産省の『農業分野におけるドローンの現状と今後の展望』(令和元年11月)には、平成30年度に水稲を中心に約3.1万haでドローンによる農薬散布が実施されたことが記されています。スライド4枚目に記載されているグラフを見ると、上記で紹介した機体登録数、オペレーター認定者数の増加のように、急速に拡大していることがわかります。

活用が広まりつつあるドローンですが、ドローンによる農薬散布を行う際には、以下の確認事項に必ず目を通す必要があります。

まず農業用ドローンは

  • 航空法
  • 農薬取締法

が関係する法律として挙げられます。航空法は航空機の航行や人・物件等の安全確保のために、農薬取締法は農薬の安全かつ適正な使用のためにあります。

まずドローンは国土交通大臣の承認がする飛行形態「危険物の輸送」「物件投下」に該当するため、必ず事前に承認を得なければなりません(農薬は劇薬の扱いになるので「危険物の輸送」、散布は物を投下することに当たるので「物件投下」です)。

農薬取締法では航空法のように「承認」という形はありませんが、農薬ラベルに記載された使用方法を遵守すること、農薬のドリフト(飛散)が起こらないよう注意しなければなりません。農薬散布を行う際は「空中散布ガイドライン」を確認し、散布計画を立てましょう。

国土交通省への承認申請方法は、

申請方法 オンライン申請/郵送/持参
申請先 飛行予定場所を管轄する空港事務所または地方航空局
申請期限 飛行開始予定日の10開庁日前まで
提出物 申請書、機体・飛行させるもの・体制について安全確保のための基準に適合していることを示す書類・資料

出典元:ドローンで農薬散布を行うために – 農林水産省

です。

ドローンで農薬散布を行うために – 農林水産省』の「よくあるご質問」にもありますが、ドローン農薬散布を行うに当たって、必要な資格(免許・ライセンス)はありません。しかし、ドローンの知識と10時間以上(回数にして約5回以上)のドローン飛行経験が必至となります。なお国土交通省ホームページに記載された講習団体等の技能認定を取得することで、許可・承認申請書類の一部を省略することができます。

ドローンで農薬散布を行うために – 農林水産省(←)わかりやすい資料なので、ドローン農薬散布に興味のある方はぜひご一読を。

ドローンを自分で操縦したい人やドローンスクール等に通う余裕がある場合には、自身でドローンについて勉強し、飛行経験を積むことをおすすめします。

ですが、時間の余裕がなかったり、ドローン本体の価格や任意保険加入、定期点検等の費用が気になり、思い切れない場合には、以下のシェアリングサービスの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

DRONE CONNECT

ドローン農薬散布のシェアリングサービス「DRONE CONNECT」とは|画像3

 

DRONE CONNECTは、プロのドローンパイロットにドローンによる業務を依頼できるマッチングサービスです。農業分野の他に、建設や不動産などの分野にも対応しています。農業分野の場合には、本記事で着目した農薬散布の他、圃場や生育状況のモニタリングも可能です。

農薬散布では、広範囲の空中農薬散布だけでなく、病害虫検知のモニタリング後、ピンポイントで散布するメニューもあります。圃場や生育状況のモニタリングを依頼すれば、ドローンに搭載したカメラで圃場や農産物を撮影し、その画像を元に生育状況を把握できるほか、施肥判断にも活用できます。

農薬散布作業だけでなく、農薬散布に必要な申請手続きも派遣されたパイロットが行ってくれます。ただし、ドローンで使用可能な農薬等、パイロットではなく「依頼者」が確認しなければならない項目等もあるので注意しましょう。

なお農薬全面散布の場合の料金(目安)は、

  • 通常期 1,000〜1,500円/10aあたり
  • 繁忙期(8〜9月) 1,800〜2,500円/10aあたり

となっています。ピンポイント散布とモニタリングは別料金が設定されているので、気になる方は公式ホームページをご覧ください。

 

参考文献

  1. 農業分野におけるドローン活用の事例 – 農林水産省
  2. 農業用ドローンの普及に向けて(農業用ドローン普及計画)~ ドローン × 農業 のイノベーション ~ 平成31年3月 農林水産省
  3. 農業分野におけるドローンの現状と今後の展望|農林水産省
  4. 農業用ドローン、日本の農業の未来を救うのか? – Digital Shift Times(デジタルシフトタイムズ)
  5. 農業用ドローンの規制緩和で何が変わった?ドローンの飛行申請の方法や補助者なし飛行について解説【2020年最新版】|ATCL Asahi Technology
  6. 「DRONE CONNECT」レポート──経験豊富なパイロットが農作業をサポート|SMART AGRI
  7. ドローン農薬散布防除サービス – Drone Connect|オプティム 農業×IT

テクノロジーカテゴリの最新記事