自動で農作物を収穫する無人化栽培とは?

自動で農作物を収穫する無人化栽培とは?

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昨今、AIやロボットの力を利用した「スマート農業」が広まりを見せています。ほんの少し前までは「スマート農業」という言葉が真新しく感じたものですが、今となっては現代を代表する農業の在り方として広く浸透しています。

本記事では、そんな「スマート農業」の中で注目を集める「無人化栽培」に着目しました。無人化栽培とは具体的にどのようなものなのか、どのようなメリットがあるのか、さまざまな事例と合わせてご紹介していきます。

 

 

無人化栽培とは

無人化栽培は「栽培過程に人を必要としない栽培方法」と言えます。研究開発過程なところがまだ多いようですが、人の労力を一切必要としない「植物工場」が、今後無人化栽培の代表格として名を連ねるのではないでしょうか。

無人化栽培のメリットは、大規模生産における効率性の向上や、人件費削減などといった低コスト化が挙げられます。無人化することができれば、その分労働時間にゆとりができますから、農業従事者は作業が減った分、新たな商品開発に着手したり、その間に6次産業化を展開したりとあらゆることができます。「無人化栽培」はまだまだ発展途中ではありますが、この技術が進歩し「きつくてつらい」という印象が色濃かった農作業から人々が解放されれば、人にしかできないクリエイティブな作業に目を向けることができるでしょう。

また人ではなく機械によって栽培が行われれば、品質や収量の向上・安定化をはかることができるのではないかと期待されています。機械が土壌や水温などの作物の良い生育に必要なデータを正確に把握し、それに伴った対応を“自動で”行うことができるからです。

 

 

無人化栽培をはじめとする「スマート農業」の発展から期待できるもの

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農林水産省のデータによると、日本の農業就業人口の65%が65歳以上と高齢です。平均年齢においても66.8歳と「高齢化」が顕著に表れています。

無人化栽培をはじめとする「スマート農業」が発展すれば、労働力を代替することができます。生産現場の情報ですら、機械が代わってくれることでしょう。そうなれば、熟練農家が蓄えてきた、いわゆる「経験と勘」が伝承されなかったとしても、データによって技術が蓄積されていくため、今まで言語化されてこなかった「経験と勘」を若手に伝えることができます。

無人で作業が可能になれば、圃場の規模拡大へのハードルも下がることでしょう。人手不足や労力不足で規模を広げられなかった農業経営者にとっては、人件費がかからないまま、圃場の規模を拡大できるので、ありがたい味方と言えます。また重労働や危険な作業を人が行う必要もなくなります。

農林水産省は、2018年までに農機の自動走行システムの市販化を目指しています。実際に2018年に開催された『次世代農業EXPO』では、いくつもの自動走行納期が展示されていました。また2020年までに「遠隔監視での無人システム実現」を目標に掲げています。

 

 

無人化栽培の事例

最後に、無人化栽培の事例をいくつか紹介します。

<テクノファームけいはんな>

3万株/日のレタス栽培を自動化した植物工場です。栽培技術だけでなく、ロボットを活用した技術を駆使することで、人の労力をかけない栽培を可能にしています。また無人化により、異物混入リスクや細菌数増加リスクを低下させることができます。

<クボタの無人走行耕運機>

産業機械生産会社のクボタが研究しているのは、耕運機の無人走行技術です。まず人がこの耕運機に乗り込み農地を走行します。すると、搭載されているAIがGPSの位置情報から農地の地図情報を作成します。その蓄積されたデータをもとに、耕運機は自動で動きます。耕運機の動きを制御するシステムと連携しているので、自動的に農地を走ることができるのです!

<複数の無人機が動く、マルチロボット>

北海道大学大学院農学研究員の研究室で開発されている「マルチロボット」は、協調型のロボットであり、複数の無人機が一緒になって走ることができます。まだ研究開発段階であり、市販化はもう少し先の話のようですが、複数の無人走行農機が走るようになれば、ますます人の労力は不要になるのではないでしょうか。

<農園や温室での栽培作業の自動化>

アメリカの企業「Harvest Automation」は、花卉(かき)栽培農家向けのロボットを開発しています。このロボットは農園や温室内を自律的に移動することができます。水やりや肥料の散布を行うだけでなく、AIによるディープラーニングにより作物や土壌の解析も行ってくれます。加えて、複数のロボットと連携して作業を行うため、より効率的な農作業が可能となります。

 

 

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