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アメリカやヨーロッパを中心に広がる「CSA(地域支援型農業)」とは

アメリカやヨーロッパを中心に広がる「CSA(地域支援型農業)」とは

日本では、農業従事者の高齢化による後継者不足や担い手不足が課題となっています。そんな中、多様な人材が参加することにより実現されるCSA(CommunitySupported Agriculture/地域支援型農業)が注目されています。

 

 

CSAとは

アメリカやヨーロッパを中心に広がる「CSA(地域支援型農業)」とは|画像1

 

CSAは、農家と消費者が連携し、前払いによる農産物の契約を通じて相互に支え合う仕組みです。

引用元:CSA(地域支援型農業)導入の手引き 平成28年3月 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所

日本では地域支援型農業などと呼ばれ、「地域で支える農業」の意味合いが強いです。CSAは、農場運営や農業経営に関するリスクを生産者だけでなく消費者も共有するのが特徴的で、地域のコミュニティ形成や有機農業の発展などの効果が期待されています。

CSAの主な特徴

「代金の前払い」が主な特徴といえます。消費者は生産者と直接契約を行い、届けられる農作物の代金を前払いします。代金を前払いすることは、天候などによる不作のリスクを生産者と消費者が共有することを表します。

生産者はこれにより、天候等の影響で収量が減少したとしても、定額の収入が手に入るため、安定した農業経営が行えます。一方消費者は、不作の年には入手できる農作物が少なくなるものの、生産者と信頼できる関係を築くことができ、安全で質の高い農作物を定期的に受け取ることができます。

CSAのさまざまな運営形態

生産者と消費者が連携するCSAにはさまざまな運営形態があります。アメリカ合衆国農務省(USDA)は以下のような運営形態を挙げています。

  • 生産者が消費者に働きかけ、CSAを作り上げていくパターン
    →農業者が人々に働きかけ、CSA会員になってもらう。農業運営に関する意思決定は生産者が行う。
  • CSA会員が生産者に働きかけるパターン
    →CSA会員がCSAを運営し、生産者はCSAに生産を委託される形をとる
  • 生産者同士が集まりCSAを作り上げ、CSA会員を募集するパターン
    →複数の農業従事者が集まることで、多種多様な農産物がCSA会員に提供される
  • 生産者と消費者が協力してCSAを運営するパターン

 

 

日本でCSAは定着するのか

アメリカやヨーロッパを中心に広がる「CSA(地域支援型農業)」とは|画像2

 

CSAの普及が進んでいるのはアメリカで、USDAの2007年農業センサスによると、12,549もの農場がCSAに取り組んでいます。また欧州でもCSAに相当する活動が行われています(スイスのACP、フランスのAMAPなど)。

一方、日本はCSAの事例が少ない状況にあります。

定着しない背景にあるもの

東京農工大学教授・野見山敏雄氏の「都市地域の農業と市民」食糧の生産と消費を結ぶ研究会編『食料危機とアメリカ農業の選択』によると、日本では残留農薬や偽装表示といった問題も少なく、新鮮な野菜、安全・安心な野菜を生産者とリスクを共有せずとも手に入れやすいため、

  • 代金前払いの契約がなじみにくい
  • 生産者と消費者がリスクとコストを共有する運営理念の一般化ができるか否か

などが課題となり、CSAが定着しにくいのではないかとあります。

また欧米のCSA普及の背景には、CSAをサポートする組織の存在が挙げられます。

アメリカのCSA、スイスのACP、フランスのAMAPなどには、それぞれCSAの取り組みをサポートする組織が活動しています。例えばアメリカの場合、代表的なCSA支援組織に非営利団体Just Foodがあります。Just Foodは生産者と消費者への情報提供だけでなく、生産者と消費者の契約を促進するための仲介的な役割やCSAを認証する機能などを担っています。

一方、日本の場合。三重大学教授・波夛野豪氏の「日本における有機農業運動の展開過程と産消提携の停滞要因」によると、日本はCSAによく似た「産消提携※」の協議会的な組織(日本有機農業研究会など)が存在するものの、その活動は情報提供に止まっています。CSAの導入を支援するような組織はありません。

※産消提携
生鮮食料品の流通を市場にゆだねずに、農協・漁協などの生産者集団と消費者集団の直接的な結びつきによって行い、安全性の確保、適正な価格協議などをめざす運動。(出典元:三省堂 大辞林第三版)

とはいえ、アメリカのCSAの事例の中には、日本の「産直」に近い事例も多いと考えられています。「産消提携」もそうですが、生産者と消費者を直接つなぐ農業の形自体はすでに存在している、ともいえます。

例えば「棚田オーナー制度」は、消費者の農業運営への加わり方に多少違いはありますが、CSAと類似しています。これに参加する消費者は代金を前払いし、農業体験や地域住民との交流、育てた作物の購入や棚田の保全や支援などを行います。

日本の農業において、CSAは真新しいものではないのかもしれません。ですが「多様な人材が参加できる」点において、今後も注目される農業の形なのではないでしょうか。

 

参考文献

  1. CSA(地域支援型農業)導入の手引き 平成28年3月 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
  2. アメリカにおける Community Supported Agriculture (CSA)Farms の動向 日本大学 久保田 裕美
  3. 第2章 事例調査にみる CSA と農業・農村の機能・価値との関係性:農林水産省
  4. 消費者との関係性強化による6次産業化─農産物オーナー制度と地域支援型農業を事例として─ 農林金融 2017年2月号
  5. 日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

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