緑茶の消費が拡大!?海外輸出でも注目集まる「緑茶」について

緑茶の消費が拡大!?海外輸出でも注目集まる「緑茶」について

2021年10月24日に公開された日本農業新聞の記事によると、緑茶の消費が拡大しています。

緑茶の消費拡大 選ぶ楽しみ提供しよう/日本農業新聞

リーフから入れる緑茶については、総務省の家計調査(対象は2人以上の世帯、年間)によると2020年までの10年間に14%減っているのですが、ペットボトルや缶などの茶飲料は30%増加しています。またコロナ禍で在宅時間が増加したことで、2020年はリーフから入れる緑茶を楽しむ人が増え、リーフ緑茶への支出は前年を1%上回っています。

そこで本記事では、消費の拡大だけでなく、海外輸出でも注目を集める「緑茶」についてご紹介していきます。

 

 

国内の消費について

緑茶の消費が拡大!?海外輸出でも注目集まる「緑茶」について|画像1

 

令和3年6月に農林水産省が発表した「茶をめぐる情勢」より、消費市場の変化が興味深かったのでご紹介します。消費者の緑茶の購入は、平成11年では一般小売店(茶専門店を含む)からが最も多かったのですが、その後はスーパーマーケットからの購入が増加。また通信販売の割合も増加し、購入元も販売店のみならず、茶商、生産者など多様化が見られます。

参考資料
平成11年及び平成26年→総務省「全国消費実態調査」
令和2年→農林水産省「緑茶の飲用に関する意識・意向調査結果」(一部改変)

 

 

海外輸出が増加傾向にある

緑茶の消費が拡大!?海外輸出でも注目集まる「緑茶」について|画像2

 

財務省が発表した貿易統計によると、2020年の緑茶輸出額は161億8763万円。これは前年比10.6%増で2年ぶりに過去最高値となりました。輸出「量」も3.3%増加しています。

最大の輸出先である米国に向けては、前年より「粉末状茶」が約15億円、「その他の茶(煎茶や粉茶など)が約5億円増加しています。抹茶を含む「粉末状茶」の輸出に占める割合が多いのですが、この背景には、世界的な抹茶ブームが続いていることが挙げられます。

抹茶は伝統的な日本文化というより、世界的な健康志向の高まりから、スーパーフード・スーパードリンクとして人気を博しています。

例えば抹茶はコーヒーに匹敵するカフェインが含まれているのですが、抽出して飲むコーヒーと違い、茶葉ごと飲むことができるため、コーヒーよりも多くカフェインを摂取することができます。そのため抹茶は、エナジードリンクの原材料としても用いられているのですが、抹茶にはカフェインの覚醒作用をおだやかにするテアニンが含まれているため、コーヒーや従来のエナジードリンクのような急激な覚醒作用がなく、いわゆる「カフェイン切れ」の状態(頭がぼーっとしたり、頭が痛くなったりするなど)がないといわれています。またお茶にしか含まれない成分・カテキンの高い抗菌作用や消臭作用にも注目が集まっています。

 

 

国内外の「茶」事情

緑茶の消費が拡大!?海外輸出でも注目集まる「緑茶」について|画像3

 

先で抹茶がブームになっていると記しましたが、実は世界で飲まれている緑茶の中で、日本の主流である「蒸製緑茶」は少数派です。

緑茶の特徴的な緑色を保たせるためには、摘んだ葉をすぐ加熱して葉に含まれる酵素を失活(化学物質などの活性が失われ、反応を起こさなくなること。|出典元:小学館 デジタル大辞泉)させる必要があります。加熱の方法には

  • 蒸気で蒸す
  • 釜で炒る

方法がありますが、日本は前者の方法で加熱する「蒸製緑茶」が主流です。しかし世界中で飲まれている緑茶の約9割が、中国で生産された「釜炒製緑茶」です。

なお「茶」は、品種は違えど、すべて同じ茶葉からつくられますが、茶葉の発酵具合で以下の種類に分けられます。

  • 発酵させない 緑茶
  • 半発酵 ウーロン茶
  • 完全発酵 紅茶

「茶」は世界中で飲まれていますが、生産量の6割以上は完全発酵させた紅茶。緑茶の年間生産量は全体の2割強なのが現状です。

 

 

今後の「茶」の動き

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本記事の文末で紹介している参考文献を読んでいく中で、今後の「茶」の動向を見据えた動きは大きく分けて2つあると感じました。

1つは「抹茶」を売り出すための戦略です。世界的な抹茶ブームは過熱期から定着期へと移行しつつあります。抹茶ラテなど、大手カフェチェーンや加工食品メーカーで使用されることを想定し、ターゲットに応じて抹茶生産を拡大する取り組みが戦略として挙げられており、実際に、煎茶に比べて収量も多く、販売価格も高い、抹茶の原料となる「てん茶」生産に舵をきった茶農家も少なくないようです。

もう1つは「蒸製緑茶」を広める取り組みです。世界的にまだ知られていない日本の「蒸製緑茶」の味や香りの魅力を伝える機会を増やすことが重要とされています。

 

参考文献

  1. 緑茶の消費拡大 選ぶ楽しみ提供しよう/日本農業新聞
  2. 緑茶輸出額が過去最高に 20年貿易統計 :中日新聞しずおかWeb
  3. 2021年1ー6月 農林水産物・食品の輸出額
  4. 茶をめぐる情勢 – 農林水産省
  5. ウィーンで「日本の抹茶」人気が急上昇した理由|食品|東洋経済オンライン|社会をよくする経済ニュース
  6. 抹茶が海外で「エナジードリンク」として人気 セレブやアスリートも愛飲|NEWSポストセブン|Yahoo!ニュース
  7. 世界的「抹茶ブーム」で激変する産地の風景 模倣対策、危機感募らす農家|Business Insider Japan
  8. 日本茶輸出促進協議会
  9. 「米国における抹茶流通・消費動向調査」報告書
  10. コロナ禍でも日本茶の海外輸出が伸びている理由〜日本茶に学ぶ農産物輸出(前編)

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