今更聞けない「軽減税率」について

今更聞けない「軽減税率」について

2019年10月から消費税率が10%に引き上げられます。消費税の引き上げに際し、「軽減税率制度」も10月から導入されます。新聞やニュースでもよく「軽減税率」について取り上げられていますが、実際のところ、どのような制度であり、農業従事者にはどのような影響があるのでしょうか。

 

 

軽減税率とは

今更聞けない「軽減税率」について|画像1

 

2019年10月からはじまる「軽減税率制度」。軽減税率とはある特定の品目を他の品目に比べて低く定めることを指します。消費税率が10%に引き上げされますが、

  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

は税率が8%のまま据え置かれます。

注目が集まる軽減税率への対応

「軽減税率制度」について、巷で今注目を集めているのが、外食チェーンの「店内飲食」と「持ち帰り」での価格設定です。

2019年9月3日、牛丼チェーン『すき家』が軽減税率制度の対応として、店内飲食と持ち帰りでの税込価格を統一することを発表しました。

もし税込価格の統一を行わなかった場合には、価格に以下のような差が生じます。

<牛丼並盛 本体価格325円>

  • 持ち帰り 325円+消費税8%=350円
  • 店内飲食 325円+消費税10%=357円

しかし『すき家』は「店内飲食」での本体価格を325円から319円に下げることで、税込価格を共に「350円」で統一することにしました。

商品の本体価格を変更することについては店側が決めることなので、国からの規制は特にありません。ただ、この制度への対応方法は店ごとに違うため、価格が統一されている店もあれば、店内飲食と持ち帰りで価格に差が生じる店も存在することになります。そのような対応に、消費者がどのような反応を示すのか、関心が高まっています。

軽減税率に伴い、事業者がやらなければならないこと

この制度によって、日々の取引や経理業務には以下のような影響があります。

  • 取引商品や仕入れ(経費)の適用税率を確認しなければならない
  • 帳簿・請求書を記載する際、税率を区分して記載するなど、一定の記載事項が生じる
  • 令和5年10月からは「的確請求書」等の交付・保存が必要になる
  • 消費税の申告では、税率ごとに区分した税額計算が必要になる

税率が8%と10%に区分されることに伴い、帳簿記載や確定申告時にはそれらの区分を明確に示さなければなりません

また飲食料品の取り扱い(販売)がない場合であっても、軽減税率対象品目の仕入れ(経費)が発生した場合には対応が必要です

結局のところ、「軽減税率制度」はすべての事業者に大きく関係します。

 

 

農家に関わる軽減税率とは

今更聞けない「軽減税率」について|画像2

 

軽減税率制度は農業従事者にももちろん影響があります。農林水産省は、農業従事者における「適用税率の判定」について以下のように述べています。

消費税の適用税率は、原則、「売り手」が販売時点で判定します。「買い手」の用途は適用税率の判定に関係ありません。また、売上げと仕入れは別の取引です。農業者の場合、売上げの大半が軽減税率の対象、仕入れの大半は標準税率の対象となると考えられます。

引用元:消費税の軽減税率制度 農林水産省

適用税率の判定は「売り手」が判定することになるため、農業従事者の場合には、

  • 仕入れ(肥料や苗木、ハウスなど)
    標準税率(10%)または軽減税率(8%)と混同する
  • 売り上げ(飲食料品や飼料の譲渡)
    大半が軽減税率(8%)

※ただし公式ホームページの図にあるように、「飼料」は標準税率の10%扱い
になるだろうと、農林水産省は述べています。

農協などに委託販売をしている場合は?

農協などを通じて委託販売を行なっている農業者もいることでしょう。軽減税率の適用は以下のようになります。

  • 飲食料品の譲渡(売り上げ)は軽減税率(8%)が適用される
  • 農協等の販売手数料は標準税率(10%)が適用される

そのため、

  • 実際の販売額:売り上げ+消費税8%
  • 販売手数料 :仕入れ+消費税10%

で計上しなければなりません。

先にも書いた通り、帳簿記載や確定申告時には、税率8%と10%の区分を明確に示す必要があります。売り上げと仕入れを計上する際、各品目の適用税率を確認しなければなりません。導入されてから数年は、慣れない作業に頭を抱える事業者も増えることが考えられます。

課税事業者と免税事業者の判定にも影響が

課税事業者と免税事業者の判定にも影響します。

  • 課税事業者:消費税を国に納める義務がある事業者
  • 免税事業者:消費税を国に納める義務を免除された事業者

です。

本来事業者は、売上金額とあわせて受け取った消費税を国に納めなければなりません。

しかし「課税売上高(消費税が発生する取引に対する売上)」の額によって、課税事業者となるか免税事業者となるかが判定されます。

その最初の判定基準は、基準期間(事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかです

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円超→課税事業者
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下→免税事業者

今までは課税売上高は「委託販売手数料」を引いた売上が1,000万円以下かどうかで判定されていました。

しかし消費税法改正後は、この「委託販売手数料」が売上に加えられるため、今まで免税事業者だった人が課税対象になり、消費税を申告しなければならない可能性も十分考えられます

 

 

ややこしい軽減税率対応を解消する方法はある?

今更聞けない「軽減税率」について|画像3

 

軽減税率対応への負担を軽減するポイントは、経理処理を行う会計システムにかかっています。軽減税率が導入されると、品目によって税率を使い分けなければなりません。しかし軽減税率に対応していないシステムを使うと、自ら税率区分を行わなければならないため、混乱が起こることが想定されます。売上や消費税の計算を間違えたり、事業者同士のトラブルが発展する可能性も否めません。

まず軽減税率に対応した会計システムを導入しましょう。例えば、農業会計ソフト『農業簿記』であれば、消費税率引き上げと軽減税率への対応を備えています。

また「軽減税率対策補助金」という制度もあります。これは、軽減税率制度の実施に伴い、対応が必要になる中小企業・小規模事業者が、軽減税率に対応したシステムの導入などにかかる経費の一部を補助してくれる制度です。

  • A型 複数税率レジの導入等支援
  • B型 受発注システムの改修等支援
  • C型 請求書管理システムの改修等支援

の3つがあります。

申請受付期間は2019年12月16日までなので、軽減税率制度への対応がまだ進んでいない場合には、目を通しておくことをおすすめします。

 

参考文献

  1. よくわかる消費税軽減税率制度(令和元年7月)(パンフレット)農林水産省
  2. まるわかり軽減税率
  3. すき家/増税後も店内と持ち帰りの価格統一「牛丼並」価格据え置き 流通ニュース
  4. 消費税の軽減税率制度について 農林水産省
  5. 消費税の課税事業者・免税事業者の違いと判定方法を詳しく解説 消費税・軽減税率情報Cafe
  6. 農業会計ソフト「農業簿記10」
  7. 申請者の皆様へ|軽減税率対策補助金

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