農業の現場で高齢化と人手不足が大きな課題となる中、日々の作業負担の軽減につながる、いわば「農業の省力化」を実現する最新ツールに注目が集まっています。体への負担を減らしてくれる機械や、効率的に作業が進むITツールなど、技術の進歩によって選択肢は大きく広がっています。
そこで本記事では、導入メリットの大きい省力化ツールをご紹介していきます。
省力化につながるツール
スマート農薬散布ドローン
従来の動力噴霧器では時間も労力もかかっていた農薬散布作業ですが、ドローンを使えば省力化が叶います。特に山間部や広い圃場では作業負担が激減。農研機構の調査では、散布時間を最大90%短縮した例も報告されています(農研機構、他資料より)。
あらかじめGPS情報を設定すれば自動で飛行ルートを計画できるものも。スマホやタブレットでも制御できます。
GPS付き自動操舵トラクター
ハンドル操作を自動で行う自動操舵システム付きトラクターは、うね間のずれや重複作業を防げるうえ、視界が悪い早朝や夕方など、ヒヤリハット事例の要因となるものが不安な場合にも心強いツールです。
なお、クボタやヤンマー、井関農機などの大手メーカーでは、既存のトラクターに後付け可能なタイプも用意されています。
センサー連動型の自動潅水システム
気温・土壌水分・日射量などをセンサーで感知し、必要なタイミングだけ潅水してくれるシステムです。人手に頼らず、適量・適時の潅水管理が可能となり、水のムダを省きつつ作物の品質も安定します。
特に高温期や施設園芸では、省力化だけでなく熱ストレスの軽減にもつながります。
傾斜地・広域にも対応の草刈りロボット
草刈りは夏場の重労働のひとつ。遠隔操作や自律走行型の草刈りロボットなら、傾斜地や広範囲の圃場でも効率的に作業できます。
特に刈払機の取り扱いが負担になってきた高齢の農業従事者にとっては、危険を減らしながら安全に作業できるのが大きな魅力です。
音声入力できる作業記録アプリ
営農日誌や作業記録を、スマホやタブレットに音声で入力できるアプリが増えています。たとえば「今日、トマトの追肥をした」と話しかけるだけで記録でき、あとから見返すのも簡単です。
農林水産省では、スマホに不慣れな方でも使いやすい農業アプリの開発・普及を後押ししており、今後もより使いやすい作業記録アプリの登場が期待されます。
熱中症予防につながるウェアラブルデバイス
腕時計型や胸部装着型のセンサーで体温・心拍・発汗量などをリアルタイムでモニタリングし、熱中症のリスクが高まるとアラートで通知します。一人作業が多い農業従事者にとっては、体調の変化を「気づかせてくれる」デバイスは命を守る道具でもあります。
国や自治体による導入支援
前述したようなスマート農業ツールは、導入コストが高いと感じる方も多いかもしれません。しかし、現在は国や自治体による導入支援・補助制度が整備されており、条件を満たせば大きな支援を受けることができます。
たとえば、農林水産省が進める「スマート農業実証プロジェクト」では、ドローンやセンサー、アプリ等の導入実証に対して最大数百万円単位の支援が行われてきました。
もっと身近な支援制度には、地域ごとに県や市町村の独自補助があげられます。自治体やJAによっては、農機のシェア利用や機械購入補助が整備されている場合があります。また、農業法人や地域営農組織との共同購入・共同利用も一考の価値があります。
導入を検討する際は、まずは地元の農業普及指導センターやJAに相談するのが近道です。
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