農作業の“見える化”でコスト削減!圃場記録アプリの活用術

農作業の“見える化”でコスト削減!圃場記録アプリの活用術

圃場記録アプリは「去年、どの圃場でどの農薬を使ったかすぐに思い出せない…」「作業記録は手帳に書いているけれど、後から集計が面倒…」といった悩みを持つ農業者に役立つアプリです。

本記事では、圃場記録の必要性から圃場記録アプリの選び方まで、実用的な情報をわかりやすくご紹介していきます。

 

 

圃場記録の必要性

農作業の“見える化”でコスト削減!圃場記録アプリの活用術|画像1

 

圃場記録とは、いつ・どの圃場で・どんな作業をしたかを記録する営農データのことです。とくに以下のような場面で必要とされます。

  • 農薬使用履歴の管理(農薬取締法)
  • 肥料の使用履歴管理(肥料取締法)
  • GAP認証・トレーサビリティ対応
  • 補助金の申請時の提出資料

とくに農薬使用に関しては、記録の保存が義務化されており、都道府県の調査時には提出を求められるケースもあります。また、出荷先の農協や販売先から「作業履歴の提出」を求められる場面も増えており、紙の記録では対応に限界があるのが実情です。

なお、記録は「書く」だけで終わりではなく、経営改善のヒントにもなります。

たとえば、あるトマト農家の場合、前年の収量と比べて今年の収量が少なかった圃場を確認したところ、施肥時期が遅れていた・農薬散布の回数が少なかったという作業履歴の違いが判明。次年度の改善につながりました。

このように、「何を、いつ、どうしたか」を時系列で見直せることは、再発防止・改善サイクルの土台になります。また、作業ごとの時間や労力を集計すれば、「どこに無駄があるか」「誰がどれだけ働いているか」も見えるようになります。

 

 

アプリを活用するメリット

農作業の“見える化”でコスト削減!圃場記録アプリの活用術|画像2

 

圃場記録アプリの最大の利点は、スマホひとつで「いつでも、どこでも、すぐ記録できる」こと。さらに以下のような機能によって、記録が単なるメモ以上のものになります。

主なメリット

機能

効果

作業記録入力(音声・GPS対応)

記録ミスや記入漏れが減り、現場で即入力可能

労務管理(誰が・何を・何時間)

作業者ごとの生産性を見える化

資材在庫・使用履歴の管理

農薬・肥料の適正使用と在庫最適化が可能

作業日誌のPDF出力

補助金申請・GAP認証提出にも対応

複数圃場の比較

作物別・圃場別のコストと成果を可視化できる

特に、中規模以上の経営体ではアプリを活用することで標準化・共有化がしやすくなります。

またGAP、JGAPやASIAGAPの取得には、

  • 農薬・肥料使用履歴
  • 作業手順の標準化と履歴
  • トレース(追跡)可能なデータ整備

といった記録が求められますが、圃場記録アプリを活用することで、これらを漏れなく、日常的に積み上げていけるため、後からまとめて提出書類を作る手間も軽減されます。

同様に、補助金(例:強い農業づくり交付金など)申請時の提出資料作りにも記録が役立ちます。というのも、「導入機械の使用記録」や「作業の効率化データ(労働時間・燃料使用量の削減等)」といった圃場記録がしっかりしていれば、数値根拠として説得力のある資料を提出できるからです。

圃場管理アプリの比較と選び方

現在、農業向けの圃場記録アプリは多数提供されています。

アプリ選びのポイントですが、まずは規模感と導入目的を明確にすることが大切です。たとえば家族経営で記録中心なら、簡単に操作できるものを重視。有機JASやGAP取得が目的であれば出力機能を重視します。

次に、有料のアプリであっても無料の試用期間があるのであれば一度試すのがおすすめです。操作性やUI(User Interface:ユーザーインターフェース。ユーザーとシステム間の接点となる機器やソフトウェアの操作画面や操作方法を指す)は人によって合う・合わないがあるため、試用期間を活用するのが鉄則です。

スマホでできる省力化から始める

農業のデジタル化と聞くと、ドローンやロボットといった大掛かりな設備を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、スマホ1台で始められる圃場記録もまた「スマート農業」の一つです。

圃場記録アプリは、作業の省力化、コスト削減、収量や品質の安定を支える強力なツールといえます。まずは無料で使えるアプリから始めて、ぜひ「見える化」の効果を実感してみてください。

 

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