植物工場が発展中?!儲かる事業として注目される植物工場の現状

植物工場が発展中?!儲かる事業として注目される植物工場の現状

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近年注目を集めている「植物工場」は、施設内で植物が育つ環境を、LED照明や空調管理など人工的に再現し、季節を問わず生産することができるシステムを指します。

異常気象や天候不順により、野菜の価格変動が大きく動く中で、「季節を問わず生産することができる」植物工場野菜が注目を集めています。コストの問題や植物工場で育てることができる作物の拡大など今後の発展に向けた課題もまだまだありますが、植物工場への参入者が増えているという話も聞きます。

 

植物工場参入者が増加中

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特に化学メーカーによる植物工場参入が増加傾向にあると言われています。
その理由には、植物工場に必要なLED(発光ダイオード)などの製品製造を行なっている主な会社であり、製品の技術そのものを植物栽培に役立てられることが挙げられています。
2019年春、三菱ガス化学は国内最大規模の植物工場を建設します。
植物工場で主に育てられるレタスなどの葉野菜の生産能は日本最大級になると予想されています。植物工場ですから、野菜の生産・販売が主な目的です。しかし食品保存に欠かせない脱酸素剤や、加工食品工場でおなじみの過酸化水素(食品洗浄に使用されるもの)など、自社製品の販売拡大に役立てる目的もあると言います。

化学メーカー「昭和電工」は、栽培システム・機器販売で植物工場事業に参加。
生産性の高いシステム・機器を販売しており、レタス類を1日あたり350g/㎡つくることができ、業界最高水準の栽培量(一般的な植物工場の約2倍の収量を誇る)です。

 

植物工場生まれの野菜の認知度があがった

2017年に日本政策金融公庫が行なった「植物工場で栽培された野菜」に関する意識調査によると、20~70歳の男女2000人を対象に「植物工場で栽培された野菜を購入したことがあるか」という問いに対し、

 ・「購入したことがある」21.4%
 ・「購入したことがない」18.9%
となりました。

2009年に行われた調査では「購入したことがある」が9.2%だったため、植物工場自体の認知度が上がっていることにもつながります。
「植物工場野菜と通常栽培野菜で、どのような価格設定であれば植物工場野菜を買うか」という問いに対しては、

 ・ほぼ同じ価格でも購入する(36.9%)
 ・多少高くても購入する(5.0%)
 ・かなり高くても購入する(0.8%)
となっています。

 

植物工場のメリット・デメリットを振り返る

植物工場のメリットは、

 ・天候に左右されずに栽培できる
 ・どんな場所でも栽培することができる
 ・短期間で栽培することができる
 ・農薬不使用を実現させやすい
などが挙げられます。

植物工場は、室内で作物を栽培するため天候不良や異常気象の影響を受けません。
また植物工場自体を設置するスペースは必要になりますが、広い農地を用意する必要はなくなります。都市部の狭い区画でも、野菜を育てることができます。土を使わない水耕栽培で育てることが多く、通常栽培よりも短期間で野菜を栽培できるのも特徴ですね。
土壌微生物の恩恵を受けることはできませんが、その分病害虫に悩まされることもないので、無農薬で野菜を育てることも容易にできます。システムで栽培環境をコントロールできてしまうので、「1年中安定的な生産が可能」という点も強いメリットですね。

一方デメリットは、
 ・コストがかかる
が最も重大です。

栽培にかかる費用が従来の農業よりもかかってしまうのが現状です。
工場建設にかかる費用も高いうえ、先のメリット「農薬不使用を実現させやすい」を叶えるために、病害虫の侵入を徹底的に防ぐとなると、クリーンルームのような設備を整える必要が出てきます。
LED照明によるコントロールですから、電気代もかかります。人工的な設備ではなく、太陽光を利用しての植物工場もありますが、やはりそれのデメリットも「太陽光パネルを
設置する初期投資の高さ」にあります。

事実、日本施設園芸協会の調査によると植物工場の58%が赤字となっています。植物工場そのものや設備などの償却負担の重さが原因だと言われています。

 

今後の展望。植物工場と従来の農業は共存できるのか

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植物工場の「今後の展望」はとにかく「コスト削減」です。
「国際次世代農業EXPO」にて、パナソニックが「植物工場の黒字化」をプレゼン。
「環境制御や設備設計など、培った植物工場ノウハウを生産システムも活かすことで黒字化を容易にさせる提案をしている」と関係者に発信しました。

また植物工場での栽培方法を世間に浸透させることも重要です。現在植物工場では「水耕栽培」がメーンであり、葉野菜が主な生産物となっています。植物工場での根菜類や果物類の栽培は実現されていません。水耕栽培での栽培が最も困難な「米」の栽培ができるようになれば、植物工場の広がりが早まるかもしれません。

今後は
・コスト面の問題を解消すること
・植物工場に適した品種を増やすこと
が課題になっていくことでしょう。

とはいえ農業分野において、国や地方自治体からの助成金などもありますから、今後新しい農業の形として「植物工場」も積極的に支援されるようになれば、さまざまな人が植物工場事業により進出しやすくなるかもしれません。まだまだ期待の高まる植物工場の今後が楽しみですね。

 

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