今さら聞けない!?肥料成分の見方。肥料袋に書かれた数字の意味や消費期限について

今さら聞けない!?肥料成分の見方。肥料袋に書かれた数字の意味や消費期限について

肥料は、農作物の生育をよくするために土壌などに施すもの。植物が必要とする栄養分を直接散布することで与えたり、植物の生育を促進させるため、土壌を改良する目的で土壌に施用したりとさまざまなものがあります。

そんな肥料の種類や効能、注意事項などは、市販されている肥料袋に記載されています。本記事では、肥料袋に記載されている内容に着目。効能等を理解し、適正に使用することができるよう、解説していきます。

 

 

肥料袋に記載されていること

今さら聞けない!?肥料成分の見方。肥料袋に書かれた数字の意味や消費期限について|画像1

 

肥料を選ぶ際は、肥料袋に記載されている情報をよく読み、理解することが大切です。まずは表面を見てみましょう。

<表面>

内容 備考欄
商品名 商品の名称 商品名の下に「肥料の名称」が書かれていることも。
保証成分の含有量※1 有効成分として含まれている量 例:チッソ、リン酸、カリ14-14-14
内容量 容器の重量を含めない量

※1
保証成分の含有量は、窒素、リン酸、カリウムの含有量(%)がひと目でわかるものです。注意しなければならないのが、これらの数字が表しているのが「パーセンテージ(%)」だということ。“含有量”とは書かれていますが、「kg」ではありません。

例えばある肥料袋に14-14-14と書かれていた場合は、1袋20kgの肥料に含まれる窒素、リン酸、カリウムの量は20kg×14%で2.8kg。14kgではないのでご注意を。

また肥料袋の中には時々、上記“14-14-14”のようにハイフン(-)でつながれた数字の他に“444”などの数字が書かれていることも。ただの数字の羅列の場合は、単なる商品名のことが少なくありません。ハイフンでつながれた数字は成分含有量と捉えて問題ありませんが、確実に保証成分の含有量を知りたい場合には、必ず袋裏面の「保証票」に記載された保証成分量(%)」を確認しましょう

<裏面>

内容 備考欄
使用上の注意など※2 安全に使用するための注意事項。 「危険物」に指定されている場合には、ここに表示される。

肥料の基本的な施用量、特徴についても記される。

保証票 保証票に記載されている内容の詳細を下記に示す

※2
肥料の中には、他の肥料と混ぜ合わせることで効果が失われたり、危険な反応を起こす組み合わせがあります。

例えば、窒素のみを含む即効性の肥料としてよく活用されている「硫安(硫酸アンモニウム)」と土壌のpH調整とカルシウム補給として用いられる「消石灰」を混ぜ合わせると、有害なアンモニアガスが発生します。また水溶性リン酸を石灰などのアルカリ性肥料と混ぜ合わせると、リン酸が溶けにくくなります。吸湿性の強い肥料同士を配合すると、吸湿性が増加して肥料が固まってしまい、取り扱いにくくなることも。

自分で肥料を混ぜ合わせることで、肥料にかかる費用を抑えられますが、化学肥料同士の相性を理解する必要があります。上記のように、肥料の効果が失われたり、危険な反応を引き起こさないよう

  • アンモニア性窒素を含む肥料は、アルカリ性肥料とは混合しない
  • 硝安(硝酸アンモニア)は無機態炭素のある肥料(草木灰など)または遊離酸の多い肥料(過りん酸石灰、有機肥料など)とは混合しない
  • 酸性肥料はアルカリ性肥料と混合しない
  • 尿素は植物油粕、その他の有機肥料と混合しない

など、化学肥料同士の相性に関する禁止事項を事前に確認する必要があります。『File No.3 化学肥料の相性と混合の可否 – BSI生物科学研究所』には、なぜ混合してはならないのかがわかりやすく解説されています。ぜひ一度読んでみてください。

これら注意事項を忘れずにいられるか自信がない、という場合には、すでに混合された市販の肥料の使用をおすすめします。

<保証票>

内容 備考欄
登録番号 肥料が登録されている証 登録がない肥料は使えない
肥料の種類 化成肥料、配合肥料、硫酸アンモニア、過りん酸石灰など
肥料の名称 登録上の肥料の正式名称
保証成分量(%) 各成分を何%ずつ含むのかが明記される ここに表示できる成分はチッソ、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ケイ酸、ホウ素の8種類のみ
正味重量 容器の重量を含まない肥料そのものの重さ
生産した年月※3 製造された年月日

 

 

肥料に消費期限はない?

今さら聞けない!?肥料成分の見方。肥料袋に書かれた数字の意味や消費期限について|画像2

 

※3
肥料袋には生産した年月だけが記載されています。有効期限や消費期限が記載されていないのは、肥料袋が密封構造であることや肥料の水分含有量がかなり低く抑えられていることから、微生物による分解や化学反応で成分が変化するなどの懸念事項が起こることがないから、とされています。

ただし一度開封した場合は別で、保存方法が悪いと品質が落ちることもあります。一度開封したものは早めに使い切るよう心がけましょう。

 

参考文献

  1. 農文協編『今さら聞けない 肥料の話 きほんのき』(2020年、一般社団法人農山漁村文化協会)
  2. 一般社団法人日本土壌協会監修『図解でよくわかる 土・肥料のきほん 選び方・使い方から、安全性、種類、流通まで』(2014年、誠文堂新光社)
  3. File No.3 化学肥料の相性と混合の可否 – BSI生物科学研究所

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