消石灰・苦土石灰・有機石灰の比較まとめ 

消石灰・苦土石灰・有機石灰の比較まとめ 

農業において主に活用される石灰には消石灰・苦土石灰・有機石灰があげられます。

 

 

消石灰・苦土石灰・有機石灰の比較

消石灰・苦土石灰・有機石灰の比較まとめ |画像1

 

消石灰とは

消石灰とは水酸化カルシウムのことで、アルカリ成分が60〜70%と高い強アルカリ性の土壌改良剤です。強アルカリ性であることから、酸性土壌を素早く中和します。効き目が早く、殺菌・消毒効果もあるため、特に長期間使っていない畑の土壌改良や土壌の病害虫対策に適しています。

植え付けの2週間前に土に混ぜるのが一般的です。また、消石灰の成分と肥料の成分が化学反応を起こす場合があることから、肥料との同時使用は避ける必要があり、肥料は消石灰を撒いた1週間後に施すことになります。

<主な役割>
土壌の酸度調整:酸性に傾いた土壌を、野菜が育ちやすい弱アルカリ性〜弱酸性に迅速に中和する
カルシウムの補給:野菜の生育に必須なカルシウムを補給し、病気(尻腐れなど)を予防する
土壌消毒・殺菌効果:強アルカリ性を利用し、土壌中の病原菌や害虫を減らす効果が期待できる

主な役割を見るとわかるように、速効性や強力なpH矯正力、殺菌・消毒効果がメリットとしてあげられます。また比較的安価であることもメリットの一つです。

しかし、強アルカリ性の特徴にはリスクも伴います。もし消石灰の粉塵が目に入ってしまうと、角膜や結膜の組織を溶かし、重度の炎症や化学やけどを引き起こします。最悪の場合には失明の恐れもあります。誤って粉塵を吸い込んだ場合には、鼻、喉、気管支の粘膜を刺激し、炎症を引き起こします。また皮膚に付着すると、汗や水分と反応して強アルカリ性の水酸化カルシウム溶液になり、化学やけどを起こします。

そのため、消石灰を扱う際は「保護具」の着用が必須となります。目に入らないようにする密封性の高い保護メガネ、粉塵の吸引を防ぐ防塵マスク、皮膚の露出をなくすために保護手袋・長靴・長袖の作業着を着用してください。 また、消石灰を施す際は風のない日に行います。

苦土石灰とは

苦土石灰とは、ドロマイト系の石灰岩を粉砕したものです。ドロマイトとは石灰石が海水中で変容し、カルシウムの一部がマグネシウムに置き換わったものです。日本の酸性に傾きやすい土壌を野菜の栽培に適した弱酸性〜中性に中和する土壌の酸度調整と、カルシウム・マグネシウムの補給に利用される農業資材です。前述した消石灰ほどアルカリ性は強くなく、穏やかに効きます(緩効性)。

<主な役割>
土壌のpH調整: 酸性土壌をアルカリ性に傾け、多くの野菜が好むpH5.5~6.5の環境へ整える
マグネシウムの補給:植物の光合成に不可欠な葉緑素の構成成分を補い、葉の黄化を防ぐ
カルシウムの補給: 細胞壁を強固にし、トマトの尻腐れ病やキャベツの芯腐れなど、生育障害を防ぐ

苦土石灰は植え付けや種まきの1〜2週間前の土づくりの段階で撒くのが一般的です。ただし、窒素肥料、特に堆肥や鶏糞と同時に撒くとアンモニアガスが発生し、窒素成分が逃げてしまうので、肥料を併用する際は数日〜1週間間隔を空けてください。

有機石灰とは

有機石灰とは、貝殻(カキ殻・ホタテ殻)や卵の殻などを原料とした、天然由来の石灰肥料です。消石灰や苦土石灰と比べアルカリ性は強くないため、効果は緩やかですが、散布後すぐに植え付けができます。

<主な特徴>
ミネラル補給:カルシウムのほか、マンガン、鉄、亜鉛などの微量要素を含み、作物の品質や食味向上に寄与する
即時植え付け可能:有機石灰と堆肥・肥料を同時に混ぜ込んでも化学反応(窒素分との反応によるガス化など)が起きにくく、播種・定植の直前に使用できる
効果が長続き: 貝殻などは水に溶けにくいため、ゆっくりと効果を発揮し、土壌を徐々に安定させる

穏やかな効き目が特徴ですが、酸性土壌を短期間で矯正したい場合には消石灰の方が向いています。

 

 

比較まとめ

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石灰の種類 主成分 効果 補足
消石灰 水酸化カルシウム 早い・強い 土壌消毒効果あり

使いすぎると土が固まる

苦土石灰 炭酸カルシウム+マグネシウム 穏やか・中ぐらい マグネシウム補給もできる
有機石灰 炭酸カルシウム 非常に緩やか 散布直後でも植え付け可能

酸性矯正の強さは、消石灰 > 苦土石灰 > 有機石灰となっており、植え付けまでの期間、すぐに植えたいなら有機石灰、時間があってしっかり中和させたいなら消石灰・苦土石灰がおすすめです。

最後に注意点となりますが、消石灰・苦土石灰・有機石灰のいずれも、入れすぎると、カルシウム過多により他の栄養分(カリウムなど)の吸収を阻害することがあります。過剰な施用は土壌のバランスを崩し、作物の生育障害につながるため、土壌酸度計で測定すること、適量を守って使用することを徹底してください。

 

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