好光性種子・嫌光性種子とは?発芽適温とは何か?発芽に関する疑問まとめ

好光性種子・嫌光性種子とは?発芽適温とは何か?発芽に関する疑問まとめ

種をまいたにもかかわらず、なかなか芽が出なかったり、発芽がそろわなかったりすることがあります。種子の発芽には、さまざまな環境条件が関係しており、その条件には水分のほか、酸素や温度、光などがあげられます。

ただし、すべての植物で発芽しやすい条件が同じというわけではありません。光が当たることで発芽しやすくなる種子がある一方で、暗い環境によって発芽が促される種子もあります。また、十分に吸水していても、適切な温度でなければ発芽が遅れる、発芽率が低下する、といった場合もあります。

 

 

好光性種子・嫌光性種子とは?

好光性種子・嫌光性種子とは?発芽適温とは何か?発芽に関する疑問まとめ|画像1

 

まずは、前述した“光が当たることで発芽しやすくなる種子”と“暗い環境によって発芽が促される種子”についてご紹介していきます。

わかりやすく説明すると、「好光性種子」とは明るい場所で発芽が促進される種子、「嫌光性種子」とは暗い場所で発芽が促進される種子を指します。また、明るい場所でも暗い場所でも発芽するものを「非光感受性種子」といいます。

とはいえ、好光性種子であっても「光がなければ絶対に発芽しない」わけではありません。同様に、嫌光性種子であっても「光が少しでも当たると発芽しない」とは限りません。

この好光性・嫌光性という分類は、光の有無によって発芽が促進または抑制される傾向を表すもので、実際の発芽率は、ほかの環境条件(温度や種子の休眠状態、採種後の期間、品種、吸水条件など)によっても変わります。

好光性種子とは

暗い条件よりも、光が当たる条件で発芽が促進される種子です。

代表的な例としてレタスやニンジン、シソ、タバコやシロイヌナズナなどがあげられます。レタスの一部品種では、種子が吸水したあとに赤色光を受けることで発芽が促進されます。なお、この反応には、植物が光を感知する色素タンパク質であるフィトクロムが関係しています。

好光性種子は、比較的小さな種子に多い傾向があります。イリノイ大学の研究者らによる論文では、種子の大きさと光発芽性の関係を調べた結果、小さい種子ほど発芽に光を必要としやすいこと、一方で大きな種子は光の届かない土中や落ち葉の下からでも出芽できる傾向が示されています。そのため、光発芽性には、種子が地表近くにあり、発芽後に光合成を始めやすい環境であることを確認してから発芽するという、生態的な意味があると考えられています。

栽培では、好光性種子に厚く覆土すると、光が届きにくくなるだけでなく、芽が地表まで出にくくなるため、土をかけない、または種子が隠れる程度にごく薄く覆土する方法が用いられます。

ただし、覆土を薄くすると種子が乾燥しやすくなるという難点もあります。播種後は、細かな霧状の水を与える、新聞紙や不織布を利用して乾燥を防ぐなど、種子を流さずに水分を保つ工夫が必要です。被覆資材を使用する場合は、発芽が始まったら取り除き、苗に光を当てます。

嫌光性種子とは

光が当たる条件よりも、暗い条件で発芽が促進される種子です。

代表的なものにはダイコン、トマト、キュウリなどがあげられます。

嫌光性種子は、種子の大きさや作物ごとの播種基準に応じて覆土します。適切な覆土には、光を遮るだけでなく、種子の乾燥を防ぎ、土との接触を保つ役割があります。

ただし、厚く覆土しすぎると出芽が妨げられるため、暗くすることだけを目的に深くまくのは適切ではありません。また、土が締まりやすい条件、粘質の強い土壌などでは、種子の周囲に酸素が供給されにくくなり、発芽や出芽が妨げられる可能性があります。

なお、冒頭でも述べたように、種子の中には、明所と暗所で発芽率に大きな差を示さない非光感受性種子もあります。したがって、すべての作物を好光性か嫌光性のどちらかに明確に分類できるわけではありません。

 

 

発芽適温について

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発芽の条件は光だけに限りません。

発芽適温とは、種子が比較的よく発芽し、発芽までの日数も短くなりやすい温度のことです。

発芽に適した温度は植物の種類によって異なります。低い温度で発芽しやすい作物もあれば、比較的高い温度を必要とする作物もあります。また、「発芽適温」は必ずしも一つの温度を指すわけではなく、一般には発芽しやすい一定の温度範囲として示されます。

発芽できる温度の範囲には、発芽できる最低温度、最も発芽しやすい適温、発芽できる上限温度があります。最低温度や最高温度に近づくほど、発芽に時間がかかったり、発芽率が低下したりします。適温を大きく外れると、十分に吸水しても発芽しないことがあります。

発芽適温を考える際は、大気の気温ではなく、種子が置かれている場所の温度を見ることも重要です。露地では地温、育苗では培土や苗床の温度が、実際の発芽に直接関係します。日中の気温が高くても、早春の地温が低ければ発芽は遅れます。反対に、夏のセルトレイや育苗箱では、直射日光によって培土の温度が上がりすぎることがあります。

また、発芽適温と、その後の生育に適した温度は同じとは限りません。発芽までは比較的高い温度を必要としても、発芽後は温度を下げた方が、苗が徒長しにくく丈夫に育つ作物もあります。

そのため、育苗では発芽までの温度管理と、発芽後の温度・光・水分管理を分けて考える必要があります。発芽をそろえるために保温した場合も、芽が出たあとは被覆を外し、作物に応じて温度を調整します。

 

 

発芽が悪いときはどうするか

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発芽が悪いときは、次の点を確認します。

まず、培土が乾燥していないか、反対に水分が多すぎて酸素不足になっていないかを確認します。次に、地温が発芽適温から外れていないか、覆土が厚すぎたり薄すぎたりしないかを見直します。好光性種子では光を遮りすぎていないか、嫌光性種子では、覆土が流されたり薄くなったりして、種子が地表に露出していないかも確認します。ただし、発芽不良の原因を光だけに限定するのではなく、水分や地温、播種深度もあわせて確認してください。

発芽条件は、それぞれが組み合わさっています。温度が適切でも乾燥すれば発芽できず、水分が十分でも酸素が不足すれば発芽が妨げられます。光、温度、水分、酸素を組み合わせて管理することが、発芽をそろえるための基本となります。

 

 

まとめ

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繰り返しになりますが、種子の発芽には、さまざまな条件が必要です。植物の種類によって適切な光や温度、水、酸素などが必要になってきます。

好光性種子は光によって発芽が促進されるため、覆土をしない、または薄くするのが基本です。一方、嫌光性種子は暗い条件で発芽しやすいため、適切に覆土します。ただし、分類は絶対的なものではない点に注意してください。品種や温度、種子の状態によって光への反応が変わることがあります。

発芽適温も、単一の温度ではなく、種子が発芽しやすい温度範囲として捉えることが大切です。播種時には気温だけでなく地温や培土の温度も確認し、発芽後は作物の生育に適した管理へ切り替えてください。

光に対する性質や発芽適温は作物ごとに異なります。本記事でご紹介したのは一般的な内容です。発芽の安定のために、実際の栽培では種苗会社の品種資料や地域の栽培指針を確認したうえで、それらの情報を播種時期や覆土、温度管理に反映させることをおすすめします。

 

参考文献:生井兵治・相馬暁・上松信義編著「農学基礎セミナー 新版 農業の基礎」(農山漁村文化協会、2003年)

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