猛暑が米に与える影響とは。今更聞けない米の「等級」と各地の状況など。

猛暑が米に与える影響とは。今更聞けない米の「等級」と各地の状況など。

秋に入り、報道番組等で2023年度の新米に関する話題を見かけた人は少なくないはずです。2023年度は猛暑と浸水の影響により、米の等級低下が深刻な状況となりました。

 

 

米の等級と「白未熟粒」

猛暑が米に与える影響とは。今更聞けない米の「等級」と各地の状況など。|画像1

 

農林水産省によると、米の等級は「すべてのコメ粒から被害粒や未熟粒等を除いた整粒の割合(整粒歩合)」で決められており、整粒歩合が70%以上、60%以上、45%以上がそれぞれ「一等米・二等米・三等米」に該当します。なお、整粒歩合45%未満のものは「規格外米」と呼ばれます。

ニュースなどで取り上げられた2023年度の等級低下の要因は、整粒米に分類されない「白未熟粒」の増加が主な要因です。

白未熟粒とは

玄米の胚乳内のデンプン粒の蓄積が不良で、その粒間の隙間が光を乱反射して白く見えるものを指します。白未熟粒の発生には、登熟期の高温や低日照が関係しているといわれています。

各地の状況

猛暑が米に与える影響とは。今更聞けない米の「等級」と各地の状況など。|画像2

 

主食用米の生産面積が日本一の新潟県では、平年は80%の一等米比率が、2023年9月時点で15%と大幅な減少に見舞われています。

新潟県は8月、県内に28つある気温観測地点のうち、27地点で月平均気温が観測史上1位を更新しました。気象庁のデータより、新潟県の1地点(長岡市)の例年と2023年の平均気温は以下の通りです。

例年 2023年

5月

16.9

17.1

6月

21.0

22.3

7月

24.8

27.0

8月 26.2

30.5

(単位:℃)

先で紹介した通り、高温条件等で発生した白未熟粒は整粒米に分類されません。そして米の等級は農家の収入に影響します。

等級によって価格差が生じること、また価格高騰が続く肥料や燃料代を支払うことで、農家は経済的に大きな打撃を受けることになりました。

等級低下は新潟県に限りません。農林水産省によると、2023年8月末の等級検査で、埼玉県は一等米が31%(前年同期比22ポイント減)、愛知県は39%(前年同期比19ポイント減)、兵庫県は34%(前年同期比19ポイント減)と報告されています。

北海道の場合

猛暑による影響を調べていたところ、北海道産米はやや様子が異なりました。北海道ニュースUHBが2023年9月9日に配信した記事によると、2023年は気温が高かったことから、平年より収穫時期が早く、育ちが良いと記されています。

資料は古いですが、2007年6月に農林水産省統計部が公開した資料「温暖化に伴う最近の気象変化と米生産への影響」には、「北海道にとって暑夏は収量にプラスの要因」ともあります。

とはいえ、猛暑の影響が米の味を左右するタンパク質の量に影響し、品質に影響が出るのではないかと懸念する農家の声もあります。北海道ニュースUHBの記事では、雨が適度に降ったため品質の心配はいらないという北海道・上川農業試験場の見解が記されていますが、高温に加えて雨が降らなかった場合には、米にひびが入る「胴割れ」の被害が出るとも記されています。

 

 

等級の食味への影響

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結論から申し上げると、食味へはそこまで影響はありません。等級は見た目だけに定められるもので、米の水分量やでんぷん、タンパク質といった成分で判別されるものではありません。

豊洲市場ドットコムでは、二等米・三等米への理解を広め、消費を促すため、ウェブサイト上で、消費者に対して二等米・三等米の食味への影響がないことを伝えるとともに、「一等米~三等米をブレンドしたコシヒカリ」を提案しています。

また、見た目で定められる等級に対し、検査法の見直しを求める声もあります。

2019年6月20日の東京新聞の記事で取り上げられているのは、カメムシによる食害の跡が黒く残った「斑点米」などですが、これらの米も健康や味に影響を与えません。規定の廃止を求める農家や消費者の意見には、“見た目を重視するあまり、過剰な農薬散布につながっている”という声もあります。

2023年度の猛暑は一等米比率を低下させましたが、その結果、消費者に米の等級が広く認知されたのではないでしょうか。今後、見た目を重視する規定が変更になったり廃止になったりする流れがくるかもしれません。

 

参考文献

  1. [論説]猛暑で米の等級低下 “災害級”に国は支援を 
  2. 猛暑の影響を受けた新潟県産新米コシヒカリ「二等米・三等米」を応援販売 食文化
  3. 猛暑の影響を受けた 新潟県産コシヒカリを美味しく食べよう!
  4. 記録的猛暑で「1等米」激減、農家「こんな年は初めてだ」…野菜の高騰も続く
  5. 今年の米検査で多い白未熟粒とは
  6. 作況基準筆データを用いた近年の日本のコメ品質に対する 気候影響の統計解析
  7. 米の等級(区分)について – オホーツク総合振興局産業振興部東部耕地出張所
  8. 「気温高く、平年より良い出来」2023年の北海道米 鈴木北海道知事も”黄金色”水田で稲刈り 北海道奈井江町で消費拡大PR
  9. 記録的猛暑で農作物の生育早まる コメ農家は影響を懸念|NHK 北海道のニュース
  10. 温暖化に伴う最近の気象変化と米生産への影響 気 (検討会における議論)
  11. 米の等級下げる「着色粒」 規定廃止求める声上がる:東京新聞 TOKYO Web

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