中山間地農業の新しい取り組み。「デジ活」中山間地域とは。求められるスマート農業。

中山間地農業の新しい取り組み。「デジ活」中山間地域とは。求められるスマート農業。

中山間地域とは「山間地およびその周辺の地域、そのほか地理的条件が悪く、農業をするのに不利な地域」を指します(出典元:中山間地域(ちゅうさんかんちいき)とはどんな地域なのですか。)。

山地の多い日本では、中山間地域が総土地面積の約7割を占めています。そんな中山間地域における農業は、全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割を占めており、日本の農業において重要な役割を果たしていることがわかります。中山間地域の農業生産額も約4割を占めています。

中山間地域の主要指標(令和2年)

区分

全国(A) 中山間地域(B)

割合(B/A)

人口

1億2,709万人

1,420万人

11%

総土地面積

3,729万ha

2,412万ha

65%

耕地面積

437万ha

162万ha

37%

総農家数

175万戸

77万戸

44%

販売農家数

103万戸

43万戸

42%

農業産出額

8兆9,370億円 3兆6,647億円 41%

引用元:中山間地域等について:農林水産省

中山間地域の農業は農業生産を行う場所としての機能の他、土の流出を防ぐ機能や土砂崩れを防ぐ機能、水資源を蓄える機能などがあります。

多面的な機能をもち、全国の耕地面積、総農家数、農業生産額の約4割を占める中山間地域ですが、傾斜が急で険しく、狭小の農地が多いことから農地の生産性や物流の効率性に不利な点が多いのが課題です。

 

 

「デジ活」中山間地域

中山間地農業の新しい取り組み。「デジ活」中山間地域とは。中山間地域に求められるスマート農業。|画像1

農林水産省は、中山間地域の基幹産業である農林水産業を軸に、地域資源やデジタル技術を活用することで、地域の活性化を図ろうとしています。

“地域資源やデジタル技術を「活」用して地域の「活」性化を目指す!”とし、デジタル技術等を活用して基幹産業の活性化を図る地域を「デジ活」中山間地域として登録し、取り組みを後押しする活動が始まりました。2027年度までに「150地域以上の登録」を目指しています。2023年6月2日時点で、15道府県22地域が登録しています。

農林水産省は2023年6月2日に公開した「『デジ活』中山間地域Q&A(第2版)」にて、登録するメリットに、地域の幅広い課題に対して、関係府省からのアドバイス支援や関連施策の紹介、関連施策の優遇措置やデジタル分野の専門家による支援やマッチング、セミナー等を通じた情報提供が得られることをあげています。

「デジ活」の取り組みとして、中山間地農業で想定されているデジタル技術の例には農用地保全のための自動草刈り機の導入、ICT を活用した鳥獣罠やアラート、ドローン物流などがあげられます。

 

 

中山間地での活用が期待されるデジタル技術事例

中山間地農業の新しい取り組み。「デジ活」中山間地域とは。中山間地域に求められるスマート農業。|画像2

 

中山間地域の課題解決にデジタル技術が役立てられています。

たとえば2022年7月6日にNHKの情報番組「おはBiz」で、斜面で栽培される農作物の運搬作業に活用されるロボット技術が取り上げられました。

農業ロボットを中山間地に 農作物の運搬が負担となっている農家の助っ人

ベンチャー企業「キューボレックス」が開発した車輪がモーターで動く電動一輪車は、斜面でも100キロの荷物を運ぶことができる動力があります。

川崎重工業株式会社は重さ100キロの荷物を載せて斜面を歩くことができるロボットを開発しました。ヤギ型4脚歩行ロボット「RHP Bex(ベックス)」はぬかるみのある地面の走行も可能で、整地・不整地を問わない移動が期待されています。外観が変わる可能性はありますが、2022年9月10日時点では2023年度に実用化する方針が出されています。

中山間地の稲作に期待される技術には他に、農業用ドローンやリモコン式草刈機、水田センサーがあげられています。

リモコン式草刈機については、平野であれば効率的な機械となるものの、中山間地域によっては畦の角度が急なために使用範囲が限られることが懸念されています。

とはいえ、農林水産省は研究成果より「傾斜角度が明らかで表面の凹凸が少なくまとまった面積の畦畔があり、その畦畔に十分対応可能なリモコン式草刈り機を導入すれば、従来の刈払い機による作業に比べ、作業者1人あたりの作業能率を2〜6倍に高めることが可能」と述べています。

広島県が独自で行う「ひろしま型スマート農業推進事業」の実証事例には、リモコン式ではなく親子式草刈機の導入で傾斜の急な畦畔の草刈りを検証していました。

最大法面角度45度まで対応する小型草刈機も発売されています。デジタル技術のメリットを最大限発揮するためには、まず畦畔法面の状況を把握し、活用可能な機器を導入することといえます。

 

参考文献

  1. 中山間地域(ちゅうさんかんちいき)とはどんな地域なのですか。
  2. 中山間地域等について:農林水産省
  3. 中山間地域における持続可能な農業の展開
  4. 中山間地域等のデジタル活用による 課題解決に向けて
  5. 中山間地域等の重要性
  6. 中山間地域農業の現状と課題 −集落営農の視点から−
  7. 農業ロボットを中山間地に 農作物の運搬が負担となっている農家の助っ人
  8. 可搬質量最大100kg、川重が実用化するヤギ型4脚歩行ロボット「ベックス」の性能
  9. 中山間水田農業に有望なスマート農業技術
  10. 中山間地の稲作に本当に必要とされているスマート農業とは?【生産者目線でスマート農業を考える 第25回】 | 農業とITの未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」
  11. オーレックから待望の小型ラジコン草刈機が発売! 斜面に強い設計で走破性バツグン! | AGRI JOURNAL

コラムカテゴリの最新記事