ノー・ディグ農法の始め方。準備から実践、失敗しないためのコツまで

ノー・ディグ農法の始め方。準備から実践、失敗しないためのコツまで

ノー・ディグ農法とは、土を掘り返さずに作物を育てる農法です。地表面に有機物を積み重ねる形で作物を栽培する特徴的な農法ですが、実際に始めるにはいくつかの工夫が必要になります。

 

 

ノー・ディグ農法を始める前に

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ノー・ディグ農法を始める前に、以下の点を確認してください。

圃場の状態を把握する

まず、現在の土壌と植生の状態を確認します。長年耕作されていない土地なのか、すでに畑として使われてきた土地なのかによって、導入前の対応が変わります。特にスギナやドクダミなど、土壌にしっかりと根を張るタイプの多年生雑草が多い場合は、導入前の作業、圃場から雑草を徹底的に取り除くなどの対応を丁寧に行う必要があります。

目的と規模を明確にする

家庭菜園レベルなのか、収穫量をある程度期待するのかによって、必要な堆肥量や作業の頻度が変わります。ノー・ディグ農法は比較的省力化のはかれる農法ではありますが、完全に何もしなくてよいわけではありません。自分がどこまで管理できるかを想定しておくことが大切です。

 

 

ノー・ディグ農法の始め方

ノー・ディグ農法の始め方。準備から実践、失敗しないためのコツまで|画像2

 

以下の手順が基本となります。

  • 雑草や多年草の根を処理する
  • 地面に段ボールや新聞紙などの層を敷く
  • その上に厚めの堆肥や有機マルチを載せる
  • そのまま種まきや苗植えを行う

本記事では、もっとも一般的で失敗しにくい手順を紹介します。

地表を整理する

まず、地表に生えている植物を処理します。草刈り機や鎌を使い、地上部だけを刈り取ります。ただし、スギナやドクダミなどの土壌にしっかりと根を張るタイプの多年生雑草や太い地下茎を持つ雑草、つる性植物などは、根本から取り除き、できる限り除去しておくと後の管理が楽になります。

遮光・遮断層を作る

次に、地面全体を覆うように段ボールや新聞紙を敷きます。これは光を遮断し、雑草が生えてくるのを防ぐためです。段ボール同士は隙間ができないように重ね、微生物による分解を促し、作物の根が通りやすくするために、ジョウロなどで水をかけることで湿らせて地面に密着させます。 これにより風でめくれるのも防げます。

ノー・ディグ農法は環境負荷を低減する一面もありますから、段ボール等を密着させる際にテープやホチキスは使いません。段ボールや新聞紙が自然に分解される状態を保ちます。

有機物(堆肥)を載せる

段ボールや新聞紙で作った遮光・遮断層の上に、完熟堆肥を5〜10cm程度※の厚さで均一に広げます。量を惜しまず載せることが重要です。堆肥が薄いと雑草が突き抜けやすく、土壌改良の効果も弱くなります。

※ノー・ディグ農法の提唱者ら(イギリスの園芸家チャールズ・ダウディング氏など)によると、雑草が多い場所で始める初年度など、より確実に雑草を抑制するためには10〜15cm程度の厚さが推奨されています。

植え付け・播種

苗を植える場合は、堆肥の層に手で穴をあけ、そのまま植え付けます。種まきの場合は、表面を軽くならしてから行い、乾燥防止のため薄くマルチ材をかぶせます。

季節・環境別の工夫

春・夏に始める場合、気温が高い時期は微生物の活動が活発なため、堆肥の分解が進みやすい反面、乾燥に注意が必要です。表面が乾きすぎないよう、ワラや落ち葉などで追加マルチをすると状態が安定します。

秋冬は、翌春に向けた準備期間として非常に適しています。堆肥と段ボールを敷いた状態で数か月寝かせることで、春には植え付けできる状態になります。雑草抑制効果も高まるので、初年度の失敗が少なくなるのが利点です。

 

 

ノー・ディグ農法の注意点

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日本の気候に注意

日本は降雨量が多いため、水はけの悪い土地では堆肥層が過湿になることがあります。そうした場合は、畝をやや高めに作る、通気性のよい有機物を混ぜるなどの工夫が効果的です。

未熟な堆肥に注意

未熟な堆肥を使うと、窒素飢餓や根傷みの原因になります。市販の堆肥を使用する場合は「完熟」「熟成済み」と明記されたものを選んでください。自家製の場合は十分に発酵させてから使用します。

雑草対策に注意

ノー・ディグ農法を始める前に雑草を徹底的に処理しても、「ノー・ディグ農法=雑草が生えない」というわけではありません。特に初年度は雑草の生長に警戒することをおすすめします。多年草が多い場合は、段ボールを二重にするなど物理的対策を強化するのも効果的です。

放置しすぎない

ノー・ディグ農法では継続的に有機物を補う必要があります。毎年、または作付けごとに堆肥を追加することで、土壌の質が安定して向上します。

ノー・ディグ農法は比較的省力化がはかれる農法ではありますが、放置しすぎる(有機物の補給を怠る)と、単なる痩せた不耕起畑になってしまうので注意してください。

 

 

ノー・ディグ農法を続けるためのコツ

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有機物を日常的に集める仕組み、たとえば落葉や刈草、生ごみや地域資源などを堆肥化する仕組みを作れば、コストと手間を大きく減らせます。

この農法は自然のプロセスを尊重する農法でもあります。そのため、導入前に雑草や多年草の根を処理する、特に強く根を張る多年生雑草は徹底的に取り除くことが好ましいですが、多少の雑草や不揃いな作物も含めて受け入れることが、ノー・ディグ農法を長く続けるコツといえます。

また、自分の栽培環境に合ったやり方を構築するには、やはり記録を取ることが欠かせません。作付け時期や堆肥の量、作物の生育状況をメモし、その記録をもとに改良を重ねることで、精度が高まります。

ノー・ディグ農法の始め方は決して難しくありませんが、雑草の処理など導入前の一手間やノー・ディグ農法の基本理念などへの理解が、作物の栽培結果を大きく左右します。ノー・ディグ農法の本質は、土壌生態系を壊さずに育てることです。段階的に取り入れながら、その土地に合った形へ調整していくからこそ無理なく持続可能な栽培が可能になる、という点に注意してください。

 

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