点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?

点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?

種まきには、大きく分けて「点まき」「条まき」「バラまき」があります。どれも土に種をまく作業であることに変わりはありませんが、実際には、作物の性質、種の大きさ、発芽後の生育の速さ、間引きや管理のしやすさによって使い分けられています。まき方の違いを簡単に説明するならば、「発芽したあとの株どうしの距離を、どの程度きちんと管理したいか」の違いといえます。

 

 

直まきと育苗

点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?|画像1

 

さらに、畑に直接まくのか、育苗箱などで苗をつくるのかによっても、適したまき方は変わります。

直まきは、育苗や移植の手間が少ない反面、発芽直後の小さな苗が、圃場の乾燥・過湿・高温・低温などの影響を直接受けます。たとえば農研機構の資料によると、直まき栽培では、圃場条件によって出芽や初期生育が悪くなり、収量低下につながることがあります。

一方で、育苗箱などで苗をつくる「育苗」は、発芽から幼苗期までを人の手元で管理しやすいのが特徴です。温度、水分、光、病害虫などをある程度コントロールできるため、苗をそろえやすくなります。キャベツ、レタス、ハクサイ、トマト、キュウリなど、多くの野菜では苗を育ててから定植する方法が広く用いられています。

ただし、すべての作物が移植に向くわけではありません。ダイコン、ニンジンなどの根を利用する根菜類では、移植によって根の形が乱れたりするため、移植栽培には向きにくいとされています。

つまり、種のまき方を考える前提として、その作物が直まき向きか、育苗向きかを見る必要もあるのです。そのうえで、点まき・条まき・バラまきを選ぶことになります。

 

 

点まき・条まき・バラまき

点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?|画像2

 

点まき

一定の間隔をあけて、1か所に1粒または数粒ずつ種をまく方法です。株と株の位置を最初から決めやすいため、発芽後の株間をそろえたい作物に向いています。たとえば、ダイコン、カボチャ、トウモロコシ、エダマメなど、ある程度大きく育つ作物では点まきがよく使われます。

1か所に数粒まき、発芽後に生育のよい株を残して間引くことで、欠株を防ぎながら最終的な株間を整えることができます。

点まきのよさは、株の配置をそろえやすいことです。株どうしの距離が確保されるため、日当たりや風通しがよくなり、管理もしやすくなります。

一方で、点まきは一か所ずつまくため、バラまきに比べると作業能率は落ちます。面積が広い場合や、密にまいてあとから間引く作物では、必ずしも点まきが最も効率的とは限りません。

条まき

溝や列に沿って種をまく方法です。畝に浅い溝をつくり、その溝に沿って種を落としていくため、作物が列状に並んで発芽します。種が小さく、1粒ずつ正確にまくのが難しい作物、コマツナ、ホウレンソウ、ニンジン、カブなどでは、条まきが使いやすい方法です。条まきにしておくことで、後から整えやすくなります。

条まきの利点は、管理作業がしやすいことです。列がそろっていると、どこに作物があり、どこに雑草があるかが見分けやすくなります。中耕、除草、追肥、間引きなどの作業も、列を基準に進めやすくなります。最終的な株間は、発芽後の間引きで調整します。

バラまき

種を全面に散らすようにまく方法です。点まきや条まきのように、株や列をはっきり決めず、面で発芽させるイメージです。

バラまきの最大の利点は、作業が速いことです。 広い面積に短時間でまきたい場合や、細かい種を均一に散らしたい場合には、バラまきが向いています。

ただし、バラまきには欠点もあります。種が偏ると、発芽後に混み合う場所と、すき間ができる場所が生じます。混み合った部分では、苗どうしが光、水分、養分を奪い合いやすくなります。また、列がないため、雑草との見分けや除草作業が難しくなることもあります。

 

 

作業効率を左右するポイント

点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?|画像3

 

光の当たり方

育苗箱などにおいて、発芽後の苗に光が十分当たるかどうかも重要です。育苗箱で種をまく場合、どの苗にも光が十分当たるように間隔を取るためにきちんと並べるのが一般的なまき方といえますが、間隔さえ取れるなら、必ずしも整列させる必要はなく、バラまきでもよいともいえます。

発芽後、箱の中で過ごす期間が短く、苗がまだ小さいうちに鉢上げするのであれば、多少の偏りがあっても大きな陰になりにくいと考えられます。一方で、指先で均一に散らすのが難しい種の場合、また発芽後の生育が早い種の場合、育苗箱の中でも葉が大きくなりやすいため、種がかたまると光を受けにくい苗が出やすくなります。

よって、指先で均一に散らすのが難しい種、たとえばウリ科は、列状に並べてまくのがおすすめです。

ウリ科では種の向きも重要

ウリ科の場合、単に間隔をそろえるだけでなく、種の向きも意識します。キュウリ、カボチャ、メロンなどの種は細長い形をしており、発芽後の双葉は種の長い方向に開く性質があります。

そのため、列に沿って種を並べる場合、種の長軸を列と同じ向きにしてしまうと、双葉が列方向に広がり、隣の苗と重なりやすくなります。反対に、種を列に対して直角に置けば、双葉は列の外側へ開きやすくなり、苗どうしの重なりを減らすことができます。

覆土の厚さ

覆土の厚さも重要です。一般には、種の厚さの2〜3倍程度の土をかけますが、育苗用の市販培土を使う場合には、従来よりやや厚めの覆土が必要になることがあります。

というのも、軽い培土は乾きやすく、発芽時に種皮を土に引っかけて双葉を抜け出させる力が働きにくい場合があります。

ただし、深く埋めればよいわけではありません。深すぎると発芽に必要な酸素が不足するなどのデメリットがあります。大切なポイントは以下の2つです。

  • 種が乾かない
  • かつ、発芽した芽が無理なく地上に出られる深さを保つ

 

 

まとめ

点まき・条まき・バラまき。種のまき方は、なぜ違う?|画像4

 

点まき・条まき・バラまきの違いをまとめます。

点まき:株間を最初からそろえやすい。大きく育つ作物や、1株ずつしっかり管理したい場合に最適。
条まき:列を基準にして除草・間引き・追肥などを行いやすい。小さな種をまいて後から株間を整えるのに最適。
バラまき:作業が速い。短期間で育てる作物や、育苗箱で一時的に苗を育てる場合に最適。

つまり、まき方に絶対の正解があるわけではありません。重要なのは、「その作物はどのくらい大きくなるのか」「発芽後にどのくらいの間隔が必要か」「間引きや除草をどう行うか」「育苗箱の中でどれくらい過ごすのか」を考えることです。

種まきは、ただ種を土に入れる作業ではありません。発芽後の光、水分、風通し、根の伸び方、管理作業のしやすさまでを見越して、最初の配置を決める作業です。点まき・条まき・バラまきの違いを理解しておくと、作物ごとに「なぜこのまき方なのか」が見えやすくなります。

 

参考文献:白木己歳「深掘り 野菜づくり読本 農業技術者のこだわり指南」(農文協、2023年)p.32〜

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