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日本で有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由

日本で有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由

昨今スーパーマーケットに「有機」「オーガニック」と表記された農産物が並ぶことは珍しいことでは無くなってきました。しかし日本の有機栽培農家の割合はごくわずかです。平成29年度4月1日の時点で、国内における有機JASほ場の面積は約0.23%しかありません。「有機」「オーガニック」農産物に対する消費者の興味は深まっているようにも感じますが、なぜ有機栽培農家がなかなか増えないのでしょうか。

 

 

有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由

日本で有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由|画像1

 

有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由には、以下のものが挙げられます。

  • 栽培技術
  • 栽培管理
  • 認証の手間
  • 認証にかかるコスト
  • 補助金制度の問題

栽培技術

まず有機栽培技術の取得に苦戦する農家も少なくありません。有機栽培の場合、化学的に合成された農薬や肥料の使用は禁止されています。効率の良い農産物の生産は難しく感じるかもしれません。農業は自然を相手にしなければなりませんから、予期せぬ事態(台風等による被害、病害虫被害等)によって大きな損害を受けることもあるでしょう。予防のために農薬や肥料を使おうと思っても、有機栽培を行う場合には使用する農薬、肥料に規制がかかります。

栽培管理

それから栽培管理の大変さも挙げられます。例えば、除草剤を使用することができないわけですから、雑草の防除に人件費がかかってしまう農家さんもいることでしょう。化学的な農薬、肥料の使用が禁止されているので、農作物の栽培に手間暇かける必要があります。決して効率的とはいえない栽培管理に抵抗を感じる農家さんも少なくないことでしょう。

認証の手間

有機栽培農家が増えない大きな理由として考えられるのは、後半3つ

  • 認証の手間
  • 認証にかかるコスト
  • 補助金制度の問題

と考えられます。

「有機」と農産物に表記できるのは、有機JAS認証を取得した場合のみです。この有機JAS認証を取得するには厳格な規定に従わなければなりません。栽培技術に関する規定だけでなく、日々の栽培日誌、農薬・肥料以外の資材、畑の周辺環境、伝票の管理まで、あらゆる範囲に規定があります。

認証にかかるコスト

さらに認証を取得するための審査費用、有機JASマークのシール代・パッケージ代は農家負担です。

補助金制度の問題

そして、補助金制度の問題。決して有機栽培農家の優遇が悪いという話ではありません。農林水産省は化学農薬・化学肥料の使用を減らすため、それらの使用を減らした栽培に補助金を出しています(環境保全型農業直接支払交付金)。しかし補助金を受け取ることができるのは有機栽培農家だけではないのです。慣行栽培と比べてそれらの使用を半減した「特別栽培」や「エコファーマー」認定など、厳格な規定のある有機栽培以外の農家でも補助金を受け取ることができるのです。もちろん金額等にそれぞれ違いはあるものの「規定の多い有機栽培をやらなくてもいいのでは?」と思えるような一面があることは否めません。

有機JAS認証の規定が厳格ゆえ、有機栽培をしていてもあえて申請しない、一度取得しても更新しようとしない生産者の存在が考えられます。有機JASほ場の面積が約0.23%と少ないのも、そういった背景があるからかもしれません。

 

 

消費者側の考え方の違いも

日本で有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由|画像2

 

農業研究者である篠原信氏は2017年11月に以下のようなツイートを残しています。

たとえば日本では、有機農産物は「おいしい」「体によい」という、それを食べる消費者側のメリットがよく強調され、買ってもらおうとする。しかしヨーロッパでは「環境によい」ことが認識され、それが理由で有機農産物は売れている。これ、意外に決定的な違い。

篠原信氏は、日本とヨーロッパにおける有機栽培への考え方の違いについて説いています。特に日本は「体にいい」が有機農産物の購入理由にあがるが、価格の高さを理由に買わない、虫がついているかもしれない、など消費者側の理由で購入意欲が下がる点を指摘しています。一方ヨーロッパは「環境に良い」が購入理由だと挙げられています。「次世代のために良い環境を」という考え方から、”生態系を損なう恐れのある化学農薬は控えるべき”という発想になったとあります。

消費者側の考え方の違いも、日本の有機栽培農家が増えない理由のひとつかもしれません。

 

参考文献

1,有機ってなに?有機野菜は、なぜ広がらない? 大地を守る会
2,国内における有機JASほ場の面積(平成29年4月1日現在)
3,儲かるし需要はあるのになぜ有機穀物栽培は増えないのか? FOOCOM
4,環境保全型農業直接支払交付金 農林水産省
5,日本で有機農業が伸びない理由

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