就農情報ニーズ調査から見えてくる、農業への関心、就農に至るきっかけ

就農情報ニーズ調査から見えてくる、農業への関心、就農に至るきっかけ

日本では毎年5〜6万人の新規就農者がいるといわれています。しかし、農業就業者の数は年々減少しているのが現状です。

人手不足を解消するための方法として、農地の集積・集約や省力化を図るスマート農業の参入などが挙げられますが、新たに農業に参入する人を増やすのであれば、これまで農業に携わったことのない人の参入を増やす施策が必要といえます。

そんな中、農林漁業スタートアップ等支援サイト「あふてらす」が実施したウェブ調査より、身近に農業があるかどうかで、就農に至るきっかけが異なることが示されました。

本記事では、これまで農業に携わってこなかった新規就農者に焦点を当て、どのようにして農業へ関心を抱いたのか、なぜ就農に至ったのかをまとめていきます。

 

 

身近に農業がない場合のきっかけ

就農情報ニーズ調査から見えてくる、農業への関心、就農に至るきっかけ|画像1

 

同ウェブ調査によると、農産物そのものや食に対する安心・安全の意識、自然豊かな生活への憧れが、就農のきっかけになるケースが多く、田舎への移住から就農へ関心を向けるケースも少なくないとあります。

ただし、農業の職業としての安定性や移住に関する不安、情報収集や実際に農業を体験したことで農業の大変さや難しさを知ったことなどが要因で就農を諦めるケースもあります。

身近に農業がある場合も同様で、幼少期から農業に触れてきたことなどから自ずと農業に関心が向く人もいれば、農業のネガティブな側面に触れてきたことから農業に忌避意識を抱く人もいます。

 

 

身近に農業がない場合、どのようにして就農に至ったのか

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身近に農業がない人で、就農への強い興味・関心がある、またはすでに就農の準備を進めている人は、田舎への移住や故郷へ戻ることから就農という選択肢に目を向ける場合と、メディアの影響などがきっかけとして挙げられています。

代表的なメディアには、ビジネス情報番組「WBS」(テレビ東京系)や「がっちりマンデー!!〜日曜に勉強!月曜から実践!〜」(TBS系)などの就農特集や、「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)のDASH村、「人生の楽園」(テレビ朝日系)などの農業体験やセカンドライフを扱う番組が挙げられます。

就農を検討する人の場合

また、就農への興味・関心はあるものの就農活動には至らず、検討段階にある人の場合も、自然豊かな生活への憧れやメディアの影響がきっかけとして挙げられています。幼少期に農作業を体験したことや、大学のゼミやインターンシップで農業に触れたことがきっかけとなるケースもあります。

そのほか、筆者個人として印象的だったきっかけには「ふるさと納税を通じた地域や農産品への興味」「産直ネット販売を通じた農産品への興味」があります。

 

 

就農への関心が高い層を呼び込むために

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就農への関心が高い層を呼び込むためには情報発信が欠かせません。最後に、就農に積極的な人たちも、就農を検討している人たちの情報収集源、どのような情報を参考にしているかをまとめていきます。

まず、就農に積極的な人たちの主な情報収集源はインターネット(キーワード検索やSNSの利用)やフェア、イベントへの参加が挙げられます。

都心で行われている生産者によるイベントや大手企業が運営する就農イベント、就農体験イベントなどに能動的に参加するケースは少なくありません。イベントでの直接交流は、新規就農者の呼び込みに効果的といえます。

就農を検討している人たちの情報収集源も同様で、インターネットやフェア、イベントの参加、また一部の能動的な人たちの間ではワーキングホリデーや農泊などを通じて、農業を体験している事例もあります。

就農への関心が高い層が参考としている情報源にも、就農者を呼び込むヒントがあります。

ウェブ調査によると、就農活動に積極的な人たちは移住志向が強い人が多いため、移住予定先の自治体のホームページや移住支援サイトを参考にしているとあります。

また転職者や移住者によるブログやSNSを参考にしているケースもあります。転職や移住に関する不安や課題、それらを克服した方法など、転職や移住を経験した人にしかわからないリアルな情報を求める傾向にあります。

身近に新規就農者がいる場合には、その人たちに協力を仰ぎ、その人たちのリアルな体験を情報として発信すると効果的かもしれません。

 

参考文献:就農情報ニーズ調査業務

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