房総半島で急増加中!キョンの農作物被害と対策について

キョンという動物を知っている人は、一部地域や業種を除くと少ないかもしれません。見た目は小さな鹿といった動物で、元々日本にはいない種類でした。本来の生息地は中国や台湾で、日本では動物園などの施設で飼育されていましたが、このキョンが施設から逃げ出して野生化し、農作物を食い荒らすことで深刻な被害が起きています。

キョンの数は増加の一途を辿り、2002年には約1000頭だった個体数が、2014年度末には約50000頭を超えるまでになりました。現在、環境省はキョンを特定外来生物と指定し、規制や防除の対象としています。

■キョンについて

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キョンは体長70-100cm、肩までの高さが50cm程度の小型草食動物です。鹿のような動物ですが、成獣でも体重が10kg程度しかありません。シカの成獣は50kg前後なので、比べるとかなり小さいです。

日本では千葉県の房総半島や伊豆大島に多く分布しています。群れを作らず単独で行動し、森林や低木林に住みつきます。小さい身体に似合わず食欲は旺盛で、農作物はもちろん自然下ではシカが食べない植物であっても大量に食べてしまいます。ときに家の軒先までやってきて、植木や花壇の植物を食い荒らします。

繁殖期は特になく、年間を通じて繁殖を行います。生後半年程度で性成熟を迎えて妊娠し、生後1年程度で初めての出産を行います。繁殖力が非常に高く、年に36%の割合で増えて行くという試算もありますが、実際にはこの試算以上の割合で増えている可能性があります。日本には大型の肉食獣が熊くらいしかおらず、その熊も容易に得られるエサがあれば敢えてキョンを捕食しないため、個体数は増加し続けています。

寿命に関しては、房総半島で見つかったキョンの場合、高齢でも5~7歳程度だったとされています。一説によれば、野生では10~12年、飼育下では15年ほどの寿命を持っているとも言われています。

 

 

 

■農作物の被害状況

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キョンによる農作物の被害は、千葉県と伊豆大島に多く発生しています。

・千葉県の被害
まず千葉県の被害ですが、2004年度から被害が続いており、イネ・イモ・大豆・イチゴや各種の野菜類が食害の対象になっています。農家への聞き取り調査を行ったところ、581戸中102戸の農家から生息情報を得られ、22戸の農家からは農作物への被害報告がありました。シカによる被害との区別が難しいため、キョンの被害として報告されていないケースもあると見られており、実際の被害は報告数以上であると推測されています。

前述の通り民家に侵入して植木や花壇の花を食べるほか、芝生も食害します。特に別荘地では管理の目が行き届かないため、気付いたときには手遅れになるような被害が発生することもあります。

・静岡県の被害
次に伊豆大島での被害ですが2014年度に個体数を調査したところ、島民数の1.3倍以上のキョンが生息していると推計されました。特産品であるアシタバへの食害が最も多く、他にも苗木や園芸植物への被害が報告されており、2014年度のキョンによる農業被害額は380万円を記録しました。

 

 

 

■キョンへの対策について

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キョン被害の多い千葉と伊豆大島では、キョンを防除するための対策が行われています。千葉県においては農作物への被害に加えて、キョンに付着した山ビルが別の場所に運ばれて人の血を吸うという被害も出ています。このためキョンの生息数が多い、いすみ市、勝浦市、鴨川市、君津市、大多喜町、鋸南町、御宿町を集中防除区域として設定し、防除に力を入れています。

集中的な罠や網等による捕獲に加え銃による捕獲も行い、捕獲した個体は埋設・焼却処分を行っています。それ以外の地域についてもキョンの情報収集に努めており、生息が確認され次第迅速な処理を行うことになっています。
伊豆大島では、2009年度から銃器による捕獲を本格的に行っています。罠による捕獲も行っていますが、銃器での捕獲割合が高く、捕獲数は全体で毎年700-800頭に上ります。また、防除を強化するために「モデル実施区」を設定する取り組みも行っています。これは、ある地域をモデル実施区域と定めて柵で囲い、数年内に柵内のキョンの根絶を目指すものです。その後、柵の外のキョンを10年以内に根絶することを目標として活動するよう定められています。

 

 

■まとめ

日本には、ある程度以上の大きさの草食動物を捕食する熊やオオカミなどの肉食獣がいないため、1度外来種が入り込むと増加しやすい傾向にあります。また、人間が昔のように山に入らなくなったことで山の管理が行き届かなくなったため、外来種が入り込んでも野放しにされやすい状態であることも、問題の1つです。ハンターの減少や高齢化といった問題もあり、増えた外来種の駆除も難しい状態が続いています。

キョンによる問題はイギリスでも深刻で、キョンの生息地域では生態系が破壊されるような被害が出ている場所もあります。日本でも同じような事態に陥らないよう、抜本的な対策が必要とされています。キョンの肉や皮はあまり利用されていませんが、皮は高級品とされ、脂肪の少ない肉質は中華料理の食材としても使われています。キョンを食材や加工品として利用する動きが広まれば、個体数を減らす一助になると期待されています。

 

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