サルの被害はあきらめない事が大切! 予防と対策について

サルの被害はあきらめない事が大切! 予防と対策について

野生動物による農作物への被害額は、平成27年度では総額176億円6490万円にも達しました。動物ごとの被害額と被害農地の面積は以下のようになっています。

 

1位 シカ:5万1200ha/59億6100万円。
2位 イノシシ:9600ha/51億3300万円
3位 カラス:4400ha/16億5100万円
4位 サル:1800ha/10億9100万円
5位 カモ:300ha/5億5900万円

 

シカとイノシシの被害が目立ちますが、1haあたりの被害額は以下のようになります。

 

1位 カモ:186万3300円
2位 サル:60万6100円
3位 イノシシ:53万4700円
4位 カラス:37万5200円
5位 シカ:11万6400円

カモが1位となりますが、被害地域と季節は限定的です。一方、2位のサルに関しては通年で被害があります。この記事ではサル被害への防御策を考えていきます。

■サルの生態について

"サルの被害はあきらめない事が大切! 予防と対策について。"画像1

サルは群れで行動します。10頭ほどのグループもあれば、200頭からなる群れもあります。大きな群れがある地域では、被害が拡大します。群れを仕切っているのは、実はオスではなくメスです。オスは他所から入ってきたサルが多いのですが、メスの多くは生まれた地域で暮らします。そのため、縄張り内の食料の在り処を知っているのはメスです。その場所は母ザルから子ザルへと受け継がれます。

人間のように手足を使うサルは運動能力が高く、他の動物には有効な柵などは簡単に乗り越えてしまいます。知能も高いので、危険を回避する方法を見つけるのに優れており、柵に電気を流していても近くの木や建物に上って柵を飛び越えて侵入します。一度侵入方法を覚えると、群れの仲間も真似するようになります。ただし、学習能力が高いことから、過去に痛い目に遭った場所には近づかなくなることもあります。

それでもやはり知能の高さは厄介で、人間に見せかけた案山子(かかし)の類は危険の有無を瞬時に見破り、何食わぬ顔で近づいてきます。

サルは植物を中心とする雑食性で、山に生えている木の実などを食べています。苦味に強く、ドングリや渋柿も平気で食べますが、苦味のない農作物は大好物です。一方で、生で食べるとチクチクするサトイモやコンニャクは食べません。タカノツメやピーマンも苦手です。シソといったハーブ類も避けることがわかっています。

 

 

 

■対策

"サルの被害はあきらめない事が大切! 予防と対策について。"画像2

・柵

物理柵と電気柵を併用します。物理柵だけでは簡単に乗り越えられるからです。電気柵にも工夫が必要です。1秒毎に通電するタイプだと1秒未満で通過される可能性があります。通電部分に触れさせるため、忍び返しを設けたり電気柵の上に樹脂ネットを被せたりしましょう。電気柵を設置する場合、全部終わってから通電するのではなく、設置が終わった部分から通電してください。そこに触れたサルが危険を記憶し、以後近づかなくなることもあります。

電気柵に電牧ネットを使うのも一案です。電牧ネットとは、樹脂の一部がワイヤーになっており、そこに通電するものです。また、ネットに使う杭を柔らかいグラスポールにすると、登る時に不安定になるので効果的が増します。

・餌付け行為をなくす

サルに直接餌付けをしないだけでなく、間接的に餌付けとなるような行為を排除してください。バーベキューで余った食材やお墓参りのお供えを放置しておくと、サルが寄ってきます。野菜くずや生ゴミを外に置いておくだけでも、サルが山から下りてきます。利用せず放置しているカキやクリの木は、思い切って伐採しましょう。サルに食べられますし、食べに来る途中にある田畑の農作物も食い荒らされます。また、山裾の畑などで「サル用」と称して作物を捨て作りすると、周りの作物も荒らされます。

・追い払い行為

サルを見かけたら、できるだけ大人数で追い払いましょう。サルに恐怖心を与えるのが目的です。ロケット花火や電動ガンを使って、できるだけサルを怖がらせて恐怖を学習させるのです。怒ったサルの反撃を受けたときのため、体力のない人ほど強い武器を持ちましょう。農作物を収穫した後でも、サルが農地にいるのを見たら追い払ってください。特にメスや子ザルは重点的に追い払ってください。犬を活用するのも効果的です。

・見通しを良くする

集落内の藪をなくし、サルの隠れる場所を少なくしましょう。集落と山林の間は特に見通しを良くし、サルが木を伝って集落に入ってこないようにします。サルは人間が木登りできないのを知っています。上に逃げられないように立ち木がない場所を作れば、サルの逃げ場を減らせます。

 

 

■まとめ

サル対策には根気が必要です。人間がどんなに知恵を絞っても、サルは思いがけない方法で畑を荒らします。イタチごっこに思えるかもしれませんが、諦めないことが重要です。既に書いたように、サルは群れのメスが子供に餌場を教えます。つまり、メスに農地を餌場と認識させなければ、その子供に伝わることがないのです。

野生のサルの平均寿命は10~15年です。長生きするサルは25年ほど生きます。群れのメスが生まれてから死ぬまで、農地を餌場と思わせないようにすれば、サル被害は減少して行くはずです。サルの被害があったら、サルの侵入経路や行動を徹底的に分析し、正確な対処法や情報を集め、可能な限りサルを排除しましょう。諦めてしまったら、子孫の代までサルの被害が続いてしまうのです。

 

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