クマ被害を防ぐ管理と対策ガイド。“匂い”や放任果樹に要注意!

クマ被害を防ぐ管理と対策ガイド。“匂い”や放任果樹に要注意!

近年、クマによる人身被害が深刻化しています。人身被害では農作業の最中に発生した被害が報告されています。また、クマによる農作物被害も報告されています。園地に侵入したクマが、リンゴや柿などの枝折れや食害を引き起こすのです。

クマによる農作物被害、また人身被害を防ぐために、クマを引き寄せやすい作物や場所、効果的とされる防御策、防御策を運用する際のポイントについて解説していきます。

 

 

基礎知識|クマの嗅覚について

クマ被害を防ぐ管理と対策ガイド。“匂い”や放任果樹に要注意!|画像1

 

クマは果樹や蜂蜜を好むことから、果樹園や養蜂場はクマに狙われやすいといわれています。クマは嗅覚が非常に鋭いため、放置された果実や廃棄農作物、生ごみなどの“誘引物”の匂いによって、人里へ引き寄せられることがあります。

また、ヒグマ・ツキノワグマともに雑食ですが、とくに糖度の高い食物は効率的なエネルギー源として強く惹かれる傾向にあります。

つまり、果樹園や養蜂場は、クマにとって栄養価が高い食べ物が見つけやすい「食料庫」と捉えられやすい場所といえます。とくに秋は冬眠前の高栄養需要期にあたるため、被害リスクが一気に高まります。

 

 

被害が目立つ作物・施設

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リンゴ・柿・栗など果樹全般

果樹園はクマの「一度味を覚えると再訪する場所」の典型だと指摘されています。とくに柿や栗は山際の集落周辺に植えられることが多く、放任状態になっている樹木が誘因になるケースが増えています。

蜂蜜・巣箱(養蜂場)

蜜そのものの糖度の高さに加え、幼虫・蛹・成虫といったタンパク源も含まれるため、巣箱を破壊してすべてを食べるケースが報告されています。巣箱を簡易な小屋に置いても被害が発生することから、匂いに加え、視覚・学習による行動習慣が影響しているとされています。

農産物保管場所・コンテナ

収穫後、一時的に集荷所へ置いたままになっている果実や、蜜搾り後の巣板や搾りかすなど糖分の残る廃棄物は匂いを放ちます。条件次第では、その匂いがクマを誘引する要因になります。

 

 

クマを引き寄せやすい場所の共通点

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研究機関の調査から、クマに狙われやすい管理状態にはいくつかの共通点があります。

放任・未収穫の果実が樹上・地面に残っている

果樹園の外周や山際に「誰も収穫しない果樹」「手入れされていない果樹」があると、それがクマを誘引します。クマは一度食べに来ると、その周辺を安全な採食地と記憶し、果樹園内部へ侵入する行動が強まります。

収穫物の仮置きが長時間続く

リンゴ収穫用のコンテナ、搾りかす、蜜搾り後の巣板など、糖分の残る素材はしばらく匂いを発します。山から風下に漂えば、クマは容易に察知できます。

巣箱が単独で置かれ、電気柵などの防御力が弱い

養蜂場は小規模な分散配置が多いですが、単独の巣箱は格好の標的になります。匂いの強さに加え、壊しやすいという学習が働くため、繰り返し被害を受けやすくなります。

荒れた農地・放置農地が隣接する地域

草が生い茂った場所や果樹が放置された場所は、クマが身を隠しながら移動しやすくなります。

つまり、以下の条件

  • 人の管理が緩い
  • 好物の匂いが残る
  • クマが隠れやすい

がそろうと、その場所はクマにとって非常に魅力的な採食地になってしまいます。

 

 

防御対策の実践例

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公的研究機関や自治体の手引きをもとに、現場で効果が示されている主要な防御策をまとめます。

誘引物の撤去・管理の徹底

  • 落果の数日放置
  • 搾りかすの屋外保管
  • 収穫コンテナを軒先に放置

これらはすべてクマを引き寄せる誘因となり、最優先で取り除くべきものです。果樹園では外周の柿の木を切除するだけで出没が減った例も報告されています。

電気柵の設置(果樹・養蜂共通)

農林水産省や各自治体のマニュアルでは、適切に設置・維持された電気柵が有効な対策の一つとして推奨されています。効果を得るためには段数・設置高さ・通電の維持・草刈りなどの継続的な管理が不可欠です。

ポイントは次の3つです。

  • 最低でも3段(できれば4〜5段)のワイヤー※
  • 下段の高さは20cm前後にし、地際の侵入を防ぐ
  • 通電を24時間維持し、草刈りを徹底する

電気柵は、クマが鼻先で触れたときに強いショックを受け、感電の不快経験を学習することで近づきにくくなる「心理柵」として機能します。以後近寄らなくなる傾向があるため、設置初期から適切な電圧で通電し、侵入成功体験を与えないことが重要です。

※クマ対策の電気柵は、一般に3〜4段張りとし、1段目は地上20cm以下・以後20cm間隔で設置することが推奨されています。執着個体の掘り込みが懸念される場合は、「トリップライン」の追加なども検討します。トリップラインとは、通常設置した柵の外側にもう1段、低い位置(地面近く)に電気柵のワイヤーを追加する補強策のこと。柵外側20〜30cmに高さ約20cmほどの電気柵のワイヤーを追加するなどの対応を取ります。

樹幹バンドの巻き付け(果樹園)

京都大学などの研究では、果樹の幹に金属製のバンドや滑りやすい素材を巻くことで、クマの木登りを抑制する効果が報告されています。特に柿や栗は樹幹を登って果実を取る行動が多いため、外周の木を中心に施工すると侵入を抑制しやすくなります(ただし、効果の大きさは樹種やクマの学習状況・個体差によって異なる点に注意が必要です)。

巣箱の強化・配置見直し(養蜂場)

養蜂被害の調査では、次のような改善策が効果的とされています。

  • 巣箱を単独で置かない(複数をまとめて置き、電気柵で囲う)
  • 匂いの強い蜜搾り作業は山側で行わない
  • 巣箱を固定し、簡単に倒されない構造にする
  • 金属製の保護枠をつける

可能ならば屋内で洗浄・密封保管するか、速やかに処理することが望ましいとされています。

維持・運用の課題と負担軽減の工夫

防御対策は「設置すれば終わり」とはならない点に注意してください。継続的な管理が必要であり、とても重要です。しかしながら、課題もあります。以下に、多くの現場で挙げられる課題と負担軽減のための工夫をまとめました。

電気柵の維持管理負担

草刈りを怠ると漏電し、柵の機能が落ちてしまいます。
→耕作者の高齢化地域では、草刈り頻度を減らすために防草シートの敷設や集落単位での共同管理 が導入されています。

資材費・施工費の負担

支柱・ワイヤー・バッテリーなどの初期費用がネックになります。
→自治体の鳥獣害対策補助金を活用する事例があります。

すべての誘因を取り除く難しさ

すべての誘因を完全に取り除くのは簡単ではありません。
→園地周辺の“隙”が狙われるため、周囲数本の放任柿の伐採やフェンスの出入り口構造の改善などから対処することが推奨されています。

事例から学ぶ

公的機関の報告書・研究資料では、複数の現場事例が紹介されています。その中から、一部を要約して紹介します。

柿の木の伐採で被害が激減(果樹園)

放置された高木の柿が集落周辺に複数あり、毎年秋にクマが侵入していた地域。外周の柿木を伐採し、電気柵を追加したところ翌年から侵入が激減。

巣箱を単独に置かない運用で被害減(養蜂場)

小規模分散配置していた養蜂家が、巣箱を1カ所に集約して電気柵を導入。併せて搾りかすを屋外に置かないようにしたところ、クマの接近痕跡が激減。

地域ぐるみの共同防除で負担軽減(果樹園)

高齢農家が多い地域では、電気柵の草刈りを個人で行うのが難しくなり、集落で輪番制を導入。行政支援を受けながら 管理水準が均一化 されたことで、被害件数が減少したという報告があります。

 

 

まとめ

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クマの被害が多発する背景には 人側の管理の緩みや誘因の放置が大きく関わっています。ご紹介してきた内容と重複しますが、次の3点がとても重要です。

  1. 誘因物の徹底的な除去
  2. 外周の管理強化(放任果樹の伐採・防護柵の整備)
  3. 防除対策を継続的に維持すること

 

参照元ウェブサイト

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